酉の市というカオス




小学生の頃に、近所の広大な空き地が再開発されるまでの土地を利用した、鬼市場、という謎のイベントがありました。

ただの空き地だったのが、ほんの10日ほどで足場が組まれて、背の高い櫓や円形劇場、そして入り組んだ屋台村が忽然と出現し、毎晩アングラ劇団の公演や、ハッピーで怪しい人々による屋台村、個性的な謎のパフォーマンスが繰り広げていました。


本当に、映画のような、いや、浅い夢で見たような景色でした。


飴を煮るおばさんやら、干した怪しげなハーブを売る兄ちゃん、道の真ん中で何かの台詞を読み上げる貞子みたいな髪の長い女優さん、、。ヤクザ風の露天商は一切なし。

まるで、サーカスのような退廃的な世界でした。いや、サーカスなんてエレガントなもんじゃない、最早そこは各戦争後の未来都市さながら。人が食い物を獲る為の原始時代の物々交換社会なのか、自己表現なのかも分からないくらいにエネルギーがほとばしっていました。

真ん中の円形劇場は鉄骨で組んだ、すり鉢型の観客席で、これまた意味のわからないシュールな舞台を演じていました。

多分今見ても理解できないと思うけど、、、。


僕はその後アングラ演劇には傾倒する機会はありませんでしたが、何かを表現する自由さ、そこに派生する食とお酒による快楽の文化、つまりは異常な活気の産み出すマンパワーに圧倒されて、呆然と数日を過ごした記憶があります。



つまりは、祭りなんでしょうね。大いなるものに対する畏敬の念と憂さ晴らし。芸能と食とお酒、万民共通にある何かしらの打ち上がったあの 感じ。






***



今日は25時辺りでお客さんが引いてしまったので、残った8人で花園神社の酉の市に行こうという話になりました。


バラバラの8人で、ごった返す神社に突入しました。





そして、、。僕がどうしても見たかった見世物小屋。8人でお邪魔致しました!





もう、大好物です!!





以下は拾い画像。









もうね、全てが格好いいの!!!


中で何があるかはお楽しみとして、とても洗練されていました。メイクもフレンチポップみたいな可愛い感じで、テンポよく奇天烈な人魚女のパフォーマンスやら、奇術やら何でもあり。


人魚のお姉さん、痛いのを我慢して自ら引き抜いた鱗を、僕にプレゼントしてくれました。(笑)






油で揚げたらお煎餅になるそうです(笑)


後ろは僕の寝室の本棚です。花園神社とは関係ありません。





で、ネタバレになるのですが、後半は大スペクタクルな展開に!!


舞台の上段、後方の幕が開いたら生バンドが鎮座していて、サラリと生演奏が始まるのです!!!


あー、悔しい。僕の憧れる事全てやられた。


古臭いアレンジのお芝居にレトロなダンスに間の伸びた歌に軽妙な口上、そして隠しバルコニーにて生バンドまで、、、。


こちらも拾い画像。バンドの方と思われる。







赤坂の迎賓館の羽衣の間のオーケストラ専用バルコニー。僕にはこのくらいの衝撃でした。下ではダンスに歌にを繰り広げ、一段上で音曲を奏でる。なんて優雅なんだろう。








呆然としつつ、迎賓館、じゃないや、見世物小屋を後にする。


日本で見世物小屋はこの一軒だけだそうです。皆さんも是非とも。


もう少しお酒を飲みたくて、誕生日を迎えたばかりの伴侶と掘っ建て小屋の酒場に入る。熱燗にモツ煮、煮貝にホタテ。






あー、こりゃディナーショーだな。行き交うクソみたいなホストもギャルも最早気になりません。






ここでも、またヤられる。後ろの酔ったギャルをふと見ると、天然の樹の下で飲んでるではないか!!





もー!!わざわざ僕が作って、全然気に入ってない未完成の樹の下の席が、こんなにさりげなく、自然に完成されている。






恐るべし花園神社酉の市。


今一度、ショックを受けました。僕が何がしたいか、どんなものに憧れてるのか、マザマザと見せつけられた気がしました。



そして、子供の日にショックを受けた鬼市場を急に思い出しました。



場末な雰囲気の中で、遊びのように純粋芸術を散りばめつつも、上品も下品も混ざってのどーでもいいカオス感。これこそが僕のしたい一夜の演出なのです。


あと、木が生えてる下で飲むとか一々生演奏とか、非日常の空間で淡々と仕事してる様とか、僕にとっての贅沢な雰囲気。


それが、全てここにありました。



一からやり直します。ありがとうございます、酉の市さま。




数時間前に伊勢丹でハンドソープを買い漁っていた自分が恥ずかしい、、。





まあ、これはこれでおもてなしではあるんだけど、僕が再現したいのはこんな浅いアプローチじゃないんです。



子供が、大人がしばし呆然とするようなカオスな快感の坩堝を再現できたら、、僕はそれで生きていけます。

それには僕のアイディアだけでなく、照れを捨てることや、それとマンパワーがどうしても必要になるんだけど。引き出すのも僕の力量なわけで。

明日も頑張ります。




月曜火曜は湯河原の激安温泉につきお休みとなります。水曜日にまたお会いしましょう。





食品を彩るフェイクな脇役たち




子供の頃から、食品に添えられるおもちゃの飾りに異様な関心がありました。

例えば、クリスマスケーキに付いてるもみの木のピックとか。




安物のプラスチック製なんだけど、ケーキを食べ終わってからそっと閉まって、宝箱に入れて保管していました。

多分だけど、手のひらの中にクリスマスのこーいう景色を閉じ込めておきたかったのかも知れません。





あれ、何処に片付けたんだろう、、。




今のお洒落なケーキには、食べられてかなり具象化されたデザインの飾りが付いてたりなんかしますが、僕はあれじゃダメ。




どこかの裏路地でおばちゃんが内職して作ってるような、昭和で安物なツリーが好みです。



他にも、食べられないけど大切な飾りが沢山あります。


お子さまランチの旗とか、





カクテルに付いている傘とか、、





鳥の脚に付いてるピラピラのアレとか、







紙が付いてないと、こんなに地味なんですが、





つけた瞬間、パーティー感がアップ!!






あゝ、何て可愛いんだろう!!



食いモノでもないのにグッと主役を引き立ててしまう、謎のグッズ達。お店を始めてから、トラウマを埋め合わせるかの如くに、順番に集めています。


もちろん、旗も傘も持ってますし、こんなのも。





画像が悪いですが、このように取り付けます。(元日限定)








そして先日、、、。今までにない大物と出逢ってしまいました。過去最大サイズの新アイテム。



旅館を探していた時の事。舟盛り画像を沢山見ていて、ある事に気付きました。























変な松の枝が刺さってる!!


ニューアカオとかハトヤとか三日月とか、高度成長期をそのまま引きずってるようなホテル旅館の画像に多く刺さっていた。


邪推だけど、実際注文しても十中八九は松なんて添えられていなく、さらに盛りも少ないんじゃないかな、と勝手に杞憂する。


しかしこの岩松。これはツボに来た。切り枝でもなく盆栽でもなく、樹脂製に違いない安っぽさに反して追いついた枝ぶり。


ググってみると、業務用松飾りと言うらしく、一万円ぐらいする。





諦められないので中古品放出なんかで探して見たら、岐阜県で大きいのがひとつ800円で売ってた!




二本注文するという大人っぷり。テヘヘ。


色々使えそうなだぁ。例えば流しそうめんのレーンに取り付けたり、お正月にカウンターにさり気なく配置するとか、壁に開けた戸棚に雛人形を飾る時とか、いつの日か、和物のショーをやるときに手に持って踊るとか、カツラに組み込んだり、、。


いや、和に拘らず、ロールケーキに刺して和風ブッシュドノエル「老松」とか、ナッツを敷いたお皿に置いて「高砂」とか、和モダンでいいかも知れない。

あー、素敵な買い物でした。早く届かないかな♪




大好きなお正月の前に、大きく横たわるクリスマスがあるんですけどね。クリスマスはどうしても死ぬほど忙しくなるので、サービス業に付いてからはあんまり好きでは無くなりました(笑)


お正月の方がお客さんと平等にお休みがあって(年間にわずかこの時期だけ)、街も空いてて、そして何よりピリッと空気が引き締まる感じが好きです。

まあ、クリスマスも好きなんですけどね、、。
先に筋子と数の子を買ってしまいました。紅葉もまだなのに、既に魚卵まみれです。






これを、冷蔵庫の前を通りがかる度に口に放り込みます。そう、イルカショーのエサのように、、。

いや、どっちかっていうとトドですかね。


冬はクリスマスのイルミネーションよりも魚卵にワクワクします。早く来い来いお正月。





大学コンプレック(かなり薄れたけど)




あんまり人に自慢することではないんだけど、僕は音大も出ていなければ大学すら出ていません。

実は、京都の立命館大学というところの文学部を落ちております。

18歳の若き日。受験失敗により、これ以上ない絶望感を味わいました。そもそも音大には金銭的事情で進学は無理で、(技術の問題と多額の寄付金)というか、音大に行っても僕レベルなぞが潰しが利くとも思わず、一般大学を目指した訳ですが、先生からは絶対に受かるから心配しないよう、と不確かな言伝がありました。


四半世紀前のことなのであんまり覚えていないのですが、結果的にいうと先生の読みの甘さと僕の学力のせいで単に落ちてしまった。それだけなんです。

まるで、明るい将来の一本道に鉄の壁が立ち塞がったようなショックでした。

で、その場で両親と相談をして大阪の辻調理師専門学校に進学をしました。両親も僕も、浪人するという考え方は全くありませんでした。今思えば不思議なんだけど。

その時ぼんやり思い描いたのが、いつか料理を学んで、好みの空間を作る。そこに音楽や好きなものを取り込んで、会話が弾むような、、。まさに今の店の原型となる寄せ集めカルチャー飲食店のアイディアなんですが、当時は大学に落ちたことがショックで、ショックで。


理想のお店をやりたいなんて思ってもなければ、単なる逃げでしか有りませんでした。


大学って言うのは正に学ぶ場でありながら、当時の僕は社会人になる前の猶予を与えられる場だと思っていました。つまりは、やりたい事が見つからない18歳なりを集めて、さらに四年間職探しをさせる猶予の場だと。

僕は調理師学校に入ったのが18歳、たった一年の学校生活の後に始まる社会人生活なんて想像もつかない。当時は自分のやりたい事が分からず、世の中の不条理さに嘆いていました。



大学に行ってさえいれば、もっとゆっくり将来について考えられたのに!


そして、キャンパスライフそのものも僕にとって憧れでありました。


蔦の絡まる緑深きキャンパスで、楽譜を広げて歌う。そして、将来を語る。


検索で「キャンパスライフ」と入れると想像通りの画像が2番目に出てきて爆笑してしまいました。朝の4:30、何やってんだろw





芝生に寝転んで愛を語る。枕には、憧れの教科書をベルトで縛り上げた、正にキャンパスライフそのもののグッズです。




あゝ美しきキャンパスライフ。鳥は歌い、学生は恋を語る。未成年ながら酒を飲み、将来を悩み、そして学べる、、夢の楽園。



関西なら同志社か関西学院大学。東京なら早稲田に行ってみたいなんて思っていました。(行けるわけないんだけどさ)



どーでもいいけど、女子大なら同志社女子、それか奈良女子大。東京なら御茶ノ水。大妻でもなければ、フェリスでもなく、津田塾でもない。


少しお固くて清楚な、伝統のある学び舎で、しかもバンカラ風に型破りな大学生活に憧れておりました。


学ランを着て下駄履いて銀杏並木の下でヴァイオリンを弾いてるようなイメージw


上智のお堀端の桜並木も捨てがたいなぁ。


どーでも良いんですけど、あんまり東大、慶應には興味が有りませんでした。ブランドが確立してますし、周りの学生に疲れそうな気もして(立命館落ちたくせに偉そうですな 笑)



でも、現実は違いました。調理師学校では調理実習の日々。じゃがいもをラグビーボール型に剥いたり、鯵を三枚に下ろしたり、銅鍋を磨いたりの地味な日々。キャンパスはおろか、芝生なんてどこにもありません。

恋を語るにも、放課後はみんなバイトに行くので誰も余裕がありません。

調理師学校ってのは調理実習の食材にお金が掛かるので、一年で250万くらい学費が掛かります。ご存知でした?


僕もアルバイトに明け暮れました。1時間半かけて大阪の天王寺から京都の四条烏丸の喫茶店に向かい、終電まで洗い物とパフェを作る日々。

確か時給が800円でした。バイト先は優雅な大学生が大勢おり、京大のアメフト部員と見目麗しい同志社の女の子がデキてたり、寡黙な外語大の男の子がバイトの休憩室でロシア語の辞書を引いてたりと、なんともアカデミック。


僕は周りが凄く羨ましかったのです。そして、とっても、四年制大学に行きたかったのです。


暫くして今はなき皇室御用達の仏蘭西料理に就職し、余りの理不尽さに辞めて逃げ場としてロンドンに行くことになるのですが、その後も大学卒の友人を横目に流転の人生は続きます。

当然、大学コンプレックスはその後も暫く続きます。


***



とは言え、大学とは一体何なのか。勉強をする機関であることは間違い無いんだけど、僕にとっての大学生活とは就職への猶予期間と、恋とか友情とか、甘ったるい思い出作りの箱庭でしか無かったんじゃないか。


最近、ブログを書く頻度が下がった理由に、毎晩長い時間、本を読んでいまして、それは正に文学そのものの何冊かなんですけど、僕が曲がりなりにも文学部に行きたいと思っていた頃には手にとっていなかった本なんですよね。


学びたいなら何歳でも出来るし、今何かを学ぶことは何の猶予でもなく、探究心そのものであり、純粋な欲求であります。


歳をとる、つまり老化することを遅らせるのは不可能だけど、知的探究心を持つ事でそれを気にならなくさせる事はとても関係があると思う。



求める限り勉強する事は無限にあるし、何歳になっても好奇心を抱く事は人生においてとても素敵な事だな、なんて思ったりしています。




あー、でも、大学って素敵だなと。その場に学んだ方が、凄く羨ましいです。

また最初に戻りますが、芝生で寝転んで恋やら悩みを語る、そんな生活を人生のうちでしてみたかったです。


なんでこんな事を思ったかと言いますと、今日いらしたお客さんが、早い時間からかなり満席だったんですが、肩を寄せ合ってまるで学生のように楽しそうに笑いながら飲んでらしたんですよね。


かつてはみんなこんな大学生だったのかな、なんて想像してると、そのまま上の画像のような芝生の景色が浮かんできまして。



お酒を飲んで酔っている瞬間は、みんな等しく若い頃に逆戻りするのかも知れませんね。カウンターの内側から見ているとそんな気がします。





竜宮城じゃあるまいし、夢見たいな話だけれど、酔って楽しそうなお客さんを見ると、いつも「あ、またみんな若返ってるな」って思います。そして、永くそういう場所でありたいとも思います。


そしてそれは単なるバーとして、とても嬉しい瞬間です。




明日も何か本を読もう。まだまだこの世に、未知なる興味のある事は尽きません。





長くなりましたがおしまい。





話に聞いた「変な店」





世の中には沢山の変な店があります。想像を絶するユニークなお店に、こだわり過ぎてお店の程をなさない店など、話では沢山聞いた事があります。


聞くたびに、ウチは普通だなーって痛感します。まあ、凡人がやる事だからそれが自然なのだけれど。


聞くのは良いんだけど、どんどん忘れていってしまうので、今後覚え書きとして書いてみます。

実際に行ってないので、(既にない店多数)細かいソースなどはお許しください。



***


オネエが入店管理する謎の美容室バー


芦屋の高級住宅地の山の奥に佇む閉ざされた美容室。オーナーは明らかに公家の出身と判るご苗字の男性で、元モデル。死ぬほど格好いいらしい。

お昼は美容室をなさり、夜は友人が屯してバーのようになったのを機に、超会員制バーとなった。


夜な夜な集まるお客さんは皆さん個性的で、底抜けにセンスの良い人達が毎晩集っていたそうです。


噂が噂を呼び、お金持ちや芸能界まで、その店や彼を一目見たくて目指すんだけど、名家出身の美しいオネエはお金に困ってなく、意地悪なので、ミーハーな人たちを一切受け入れない。



時はバブル期。裕福そうなOLさんと思しき女性3人組が「入れますかね、、?」とドア越しに尋ねる。

「じゃ、何か面白い事やって。」


えー、何それー、出来ないしー、ダメですかー?と言った瞬間、ドアが閉まる。それ以降ニ度と開かない。(笑)



ある日、ハーレーにて乗りつけたカップルがご来店。

大きなバイクの横にはサイドカーが付いていて、飛び切り美しい女性が澄まし顔で座っていた。







オーナーはいつも通り「じゃ、あんた面白い事やって。」と女性を指名。


その女性は立ち上がり、履いていた網タイツを手で破り、その千切れた両端を固く結ぶ。

女性はそのまま店の前を全力疾走し、タイツが絡まって転ぶ。また立ち上がり、また転ぶ。サングラスが外れ、シャネルスーツが泥だらけになる。

また立ち上がる。黙って見つめる彼氏。



「はい、中へどーぞ。」







***


意地悪ババァのうどん屋



讃岐のあるうどん屋さん。婆さんがご亭主と2人でやっているんだけど、厨房に居るのはご亭主のみ。婆さんは店の前に椅子を置いて何やらお客に指示をしている。


店に来た客は丼を手に取り、セルフで麺を受け取る。ここまでは街によくある「はなまるうどん」なんかと同じなんだけど、ここからが少し違う。


店の隣は広大なネギ畑になっていて、ババァの指示でネギを刈り取り、付属の流し台のまな板にて自分でカットするんだそう。


しかもババァが「あんた早くして」とか「もういい、早く次に譲れ」とか口うるさく指示を出す。


グズりながら食べる子供を慰める家族や、呆然とするカップル。

食べ終わったら隣には流し台があって、自分で使った丼を洗わされる。洗い方が悪いとまた叱られる。


ババァはその間、一度も立ち上がる事がない。




***


六本木にあった華道家のバー


六本木の中心地、あるビルの地下にあったバー。完全会員制。


こちらも時はバブル絶頂期。天井には二億円のエミールガレのシャンデリアが下がり、壁という壁に蘭やバラや百合など、百花繚乱の花が活けてあり、花のむせ返るような香りが店内に充満している。


お店を経営するのは今もご存命の華道家の御仁。やんごとなき方にお花を活けたりなさる傍ら、バーを経営なさっていた。


店のスタッフは紋付袴を来た若い美しい男性達。お客さんは超富裕層に俳優、世界的なデザイナーやアーティスト、銀座でもトップのホステスさんなど。


店主は時に、連れて来られた若い客を試す。

大相撲で優勝したときに使う、タライのような朱塗りの盃に日本酒を一升注ぎ、飲み干せと指示する。






飲み干したら、認めて貰えるんだそう(汗)

人に飲ませるだけではなく、自分でも飲まれる。時に酔った店主は全裸になり、能装束のような透けた衣を一枚羽織って、能面を被り、巨大盃を掲げて音も立てず静かに踊り出す。







カウンターには女優の杉村春子さんやデザイナーのピエールカルダン。


ある時はやんごとなき方面の男性が店を貸切になさり、当時高価なドンペリのヴィンテージを開けられた。この時の器は朱塗りの盃でもバカラのグラスでもない。

紋付袴を来たスタッフの1人が体操選手で、逆立ちをさせて彼の玉袋を引っ張り、そこにドンペリを注いで召し上がったという。


眉目秀麗なスタッフの面接はハワイ旅行。そこで生活を共にして、採用の判断をするらしい(汗)





***

祇園にある某店



こちらもオネエの経営するバー。


いわゆる祇園の花柳界の位置にあり、高額なお会計で有名な某バー。


カウンターに座ったお客さんが会話の中で「誕生日なんですよ」なんて口走ったらそりゃもう大変なことになる。


夜中の2時にもかかわらず、5分くらいしたら巨大な丸いバースデーケーキに、自分の名前入りのプレートが乗っていて、盛大に蝋燭が灯っている。

「お兄さん御目出度うさんどす!これは店からどす!!!」


タダで食べるわけには行かないので、言われるままにシャンパンを開けると、お会計は大変な額に膨れ上がる。


実は馴染みのケーキ屋を毎晩開けさせ、裏の電話で指示して配達させているのだそう。


ここのお会計が高いかどうかは別の価値判断にあるそうです。急にお客さんのリクエストで「明日、歌舞伎見たいんだけど、何とかならんか」みたいなオーダーに答えられ、最前列を並びで確保出来るらしい。


その際にもお金はとらず、再訪した時にシャンパンが開くという仕組み。




世の中には恐ろしいお店がたくさんありますねぇ、、。ウチはそんな事しようなんて想像も出来ないけど。



って、ババァとオカマの店ばっかりじゃん、、、、。





他にも沢山あるのですが、また思い出したら書きます。バーに立ってて面白いのは、トンでもない店の思い出話を聞かせてもらえる事もその1つです(笑)





あなたならどうする?





更新遅れましてごめんなさい。生きてますよ。

なんやかんや忙しいです。有難いです(笑)






アメリカ、ABCの番組のコーナーに「あなたならどうする?」というコーナーがあります。

what will you do?ですね。


この番組は、沢山の差別の現場をドッキリ形式にて俳優が演じ、周りがどう反応するかを見るスタイルなんです。僕の大お気に入りYouTubeの1つ。


ダウン症のスーパーマーケット店員を罵る客や、イスラム教徒の服装を差別する若者、ホームレスに暴力を振るう若いチームなど、ショッキングな映像が続きます。



俳優が演じる差別や暴力に対して、腹を立てて立ち向かう一般市民もいれば、逆に差別をした事にハイタッチをして「よく言った」と激励するシーンも。様々です。


多民族国家アメリカならではの問題が浮き彫りになっております。


見所は沢山あるのですが、個人的に気になったのがテキサスのレストランでのレズビアンカップルと子供の設定の映像。


映像はこちら。リンク切れの際は御免なさい、、。




ありふれたレストランにて、手を握って親密なレズビアンカップルと子供が着席。こちらは俳優さん。





これまた俳優さんのウェイトレスさんが、喧嘩を売ります。





かなり激しく罵ります。(汗)





更に激しく!!




沈黙の店内。







やがてお客さんが立ち上がります。ウェイトレスさんに注意をする人続出。


他の方も同様に。ある男性は出て行ったかと思いきや、手紙を書いていたようで、そっと手渡します。





「初めまして、友よ。こんな手紙が大したことないのはわかっている。君たちは素敵な家族だと言うことを伝えたかった。そして、ただ1人の他人の偏見と不寛容が君たちの心が折れないよう祈ります」といった内容。



これには俳優のレズビアン役の方も涙してしまいます。

実はこの俳優さんも私生活ではレズビアン。


思わず手紙の主とハグします。






この映像の見所は、今もゲイに対してかなり偏見の強いテキサスでの実験。

そんな中で約半数の人がウェイトレスに批判をしたのが驚きです。つまり、レズビアンカップルの肩を持った、ということ。


数年前に同じシチュエーションにてニューヨークで実験をした時には、何と10パーセントの人しか立ち上がらなかったらしいのです。





うむむ、、、深い結果だなぁ、、。都会の人は関わりたくないのかな。


日本でも是非やって欲しい。



宗教、人種、貧困、セクシャリティ、階級にマナー。


僕はこれを順番に見ては「なるほど」と頷いたり、自分もこうするべきだ、なんて啓蒙されたり、アメリカってややこしい国だな、と驚いたりしています。





こういう美しい、自由の国アメリカらしい映像は見ていて羨ましくすら思います。


僕も部分的に欧米人気質なところがあるので、うっかり街中で迷惑な人に注意したりしてしまうのですが、こういう部分では早く日本もモノが言えるようになって欲しいな、なんて思っています。







***




話は変わるのですが、最近どこかのサイトに店名が載っているらしく(どなたかのリコメンドとか何とか)それを見て関心を持たれ、強行突破なさったノンケの方がいらっしゃいました。


そういうのね、すごく困るのですよ、、。入り口にも一見さんお断り、会員制と書いていますし、、。


(良識あるゲイの方なら初めてでもどーぞ)




貴方さえ満足しても、居合わせた他のお客さんも僕も困ります、、。


ブログ読まれているとの事で、この辺りの事は何度も書いているはずですが、、、。よしんば読み落とされていたとしても入り口に大きな注意書きがありまして、、全く謎に包まれた方でした。


他のお客さんのささやかな時間を奪うことになります。ご興味があっても、どうかそっとしておいて下さい。



上のYouTubeに話は戻りますが、こんな映像を見ていると自分のお店はストレートを拒絶し、まるで差別主義者なんじゃないかな、なんて思う時があるんですよね。(笑)


それは冗談ですけど、僕には持論があります。繰り返しになりますが。

ゲイが社会に対して権利を得るのと同じくらい、ゲイの集まる閉じたサロンのような存在は大切だ、というもの。



つまり、僕がゲイの為の秘密基地を作りたいっていう理由そのものなんですけど。

もう何度も書いていますが、社会や職場でゲイである事を隠して生きている方が今現在もどれだけ多いか、その仕事の帰り道に少し息を抜ける場所があるのは、ある一部の人においてはとても存在意義があると思っています。


僕は高校生からゲイを隠してなかったのですが、その必要性は肌で感じています。

一見さんのノンケが増えると、いずれカウンターに混ぜこぜになってゲイとノンケが座ることになる。そうなると、どうしてもセクシャリティの話になってしまうし、そこでお客さんのパーソナリティを切り売りするような営業はしたくないのです。

僕も、初対面の方に毎回1から説明するの苦手です。(汗)他にそういう店は沢山ありますし、生意気ですが他に譲らせて頂きたいです。


仮に、女子会が開かれるとして。その中の1人が突然彼氏を連れて来たら、その為に他の女子が話したかった事を話せなくなるかも知れない。

安くて良い化粧品の情報や小さな愚痴、生理不順に纏わる話とか、男性がいると難しい話題も沢山あるのです。

そんなら、彼氏は「非女子会」の時に行くべきではないか。そう考えて頂けると助かります。



とはいえ現在も全く禁止ではないし、現にご同伴にていらしている方もいますが、ご縁を大切に厳選させて貰ってます。

本音で言えば今以上増やしたく有りません。


結果的にストレートの方を排除する方向に向かっているのですが、現状にて両立できない以上、いつの日かミックスの二号店を出しますのでその日までお待ちくださいね。


その時は夢のようなお店をやります!



まあ、その辺りを察して頂けたら嬉しいなぁ、くらいでこちらも進めて行きたい所なんです。


あまり沢山、張り紙貼りたくないのね。

そして、ゲイの皆さんにはそんな小さな店を支えて頂けたら嬉しいです。老後のためにも(笑)




撮影の例のやつ、オンエアされたらまたこんな悩みが増えるのかしら、、。


店内のロゴとか、外の景色は全て隠して貰ったけど、ネット社会の今、どこで漏れるか全然わからない。想像するだけで疲れてきた、、。




本当は人を分けたくないのです。誰だってそんな事したくないよ。 本音は毎日、少しザワザワした気分です。

だけど、自分で選んだ道です。ブレずにしっかり進みたいと思います。


相変わらず頑固ですが、ご理解賜りますようどうぞよろしくお願い致します。







5/21 一夜限りの三丁目営業!




目前の12周年の事に集中すればいいのに、ご縁というのはそうもさせてくれません、、。


キヌギヌ旧店舗のあった3丁目の場所で現在お店を営まれている、マーキーのお店に飲みに行った折に、、




「一晩貸してよ!」


「イイよ!」





というわけで。一夜限りの復活営業を致します。



5/21(日)20:00〜適当に


場所:新宿3-1-32 4階(キヌギヌ旧店舗)


この日ばかりは狭いので会員制に戻させて頂きます。


メニュー 赤ワイン、烏龍茶のみ



楽器は、電子ピアノを持ち込みまして、初心に帰り、僕1人でお迎えします。



往年のお客様は昔を懐かしむもよし、新店舗からのお客様は「ふーん、こんな感じだったんだ」など。

それぞれの楽しみ方でどうぞ。



別に昔の店に未練があるわけじゃないですよ。今の店が大好きですし。

ちょっとしたイタズラ心というか、、、。


僕は、ケヤキの並木を眺めながら1人、答え合わせをします。(笑)



現在のテナント、カオスさん。













懐かしいなぁ。全く変わってないように見えるのは僕だけだろうけど。
















キヌギヌ自体はこの日曜日、12周年パーティーとなります。

4/23 14:00〜26:00まで。
いずれもご興味のある方はどうぞ。




オムライス悲喜交々




1990年頃、京都の実家で両親と姉と暮らしていた高校生の頃。






まだ携帯もパソコンもない時代。今思えば毎晩、帰路で友達と立ち話をしていました。家に帰れば長電話かテレビ、ラジオ、そして読書。

その頃は高校の吹奏楽に熱中しており、練習が終わるとまたそこから部の友達と話しこんで家に帰るのが11時くらい。

その後は飯を掻き込んで風呂に飛び込み、すぐに部屋に篭り、夜中に腹が減ると台所へ出て夜食を作るという、親のスネをかじりながら一人暮らし気分を味わうという世にも生意気な生活を送っていました。



親と接する時間を減らしたかったのか。そりゃもう、思春期真っ盛りですもの。15歳とかですから。


僕の実家は割と都会なんだけど、夜中にコンビニで弁当を買うという習慣なんて全くなく、、、というかコンビニ自体がそう沢山ある訳でもなく、仕方なく夜食を自分で作って食べるのが癖になり、そのうちライフワークと化していました。

若い方には分からないかもだけれど、昔は夜中や正月三が日はお店が閉まるので、みんな家にあるものを食べていたんですよ。



最初は夜食らしいお茶漬けや焼きそばなんかだったのだけど、段々凝り出してキッシュを焼いたり、手捏ねピザとか、終いには土鍋で炊き込みパエリアを作ったりしてました。

その頃よく作っていたのがオムライス。伊丹十三の映画「タンポポ」に出てくるオムレツが乗っている、卵で包まないタイプのオムライスでした。



オムレツ部分にナイフを入れるとパラっと開き、中から半熟卵が流れ落ちます。





その頃僕は思春期真っ盛りで、特に父親と上手くコミュニケーションが取れなくなっておりました。

自分がゲイである事への引け目や、何かと頑固で怒りっぽく口煩い親父に対して距離を置いていました。



とはいえ、家にはテレビが一台しかないので、自ずと皆集まるのはリビング。

静かな部屋に父と二人きりです。



僕は、今思えば本当に恥ずかしいんだけど、親父に対して意地悪をしていました。夜中に豪華に盛り付けた料理を、親父の前でこれ見よがしに食べるっていう(汗)



親父は気にしないような態度で、黙って新聞なんか読んでいました。





そんな事が長く続いたある夜。


オムライスを作って食べようとしたら、親父が「旨そうやな」と声を掛けてきた。


僕はなんだか、とても複雑な気分になった。


料理を褒められて嬉しかったのと、我ながらバカな意地悪をしたもんだっていう恥ずかしさと、親父は親父で随分と長い間話しかけなかったなってのと。


僕は「うん」とだけ答えて、オムライスを掻き込んだ。



次の日の夜、オムライスを2つ作ってラップしておいた。親父の為に。

恥ずかしいので部屋に篭って、夜中に様子を見てみると食べ終えたお皿がキチンと洗って水切りかごにあった。


翌朝、お互いに特にオムライスの事は話題に出ないんだけど、何となく気持ちが楽になった。


それから、3回に1回くらいは二食作るようになった。毎回だと押し付けがましいし、全く作らないのも変だ、という事で。



ラップを掛けて置いておくだけ。



その後の親父との関係は、特に仲良くなるわけでもないし、話が弾む訳でもなきんだけど、メシを作る側、食う側という役割が与えられただけで、途端に気持ちが楽になった。


僕は、人間関係なんてそんなものだと思う。口を利かなくても通じていると思えればそれは立派な信頼関係だし、何も演じてまで会話が弾む必要なんて無いんじゃないかな。


カミングアウトに対しても、そういうスタンスです。言わなくても、通じ合っている何かが本人同士にあれば、言葉にする必要なんてない家庭もあるんじゃないか、と。


僕は20歳の時に全て話しましたけどね(*´-`)







親子や恋人、友人に同僚。一度冷めてしまった関係は中々戻らないと思う。

僕は、そんな風にコミュニケーションを取るのが難しくなったら、食べ物を作って食べてもらう事がたまにあります。

この時のオムライスのように。



「ゴメンね」とか「許すよ」とか、言葉は要らない。ただ食べてくれたらそれでいいのだ。


そんな親父は今日が誕生日。






親父に誕生日おめでとうのメールをして、その後に思い出して自分のためにオムライスを作ってみた。





そして、まだ関係の冷めていない、仲良しの伴侶にそれを食わせる。美味しいと何度も言いながら、バクバク食べてくれました。



当時の親父もまだ大人になりきれなくてモガいていたのかも知れない。僕には高校生の息子なんて居ないから、想像もつかないけど。



夜中に親の買った食材で飯を作り、淡々と食らう。

家の固定電話で毎夜長電話を繰り返す。

親父が大切にしていた8ミリ映写機のレンズが欲しくて、バラバラに分解して取り出したりもした。

駄々をこねてはクラリネットを買ってもらったのに、卒業後にあっさり売り払ったりもした。





今思い返すと、親父はそんな事には何も小言を言わなかった。



そして、僕が高校一年生の時の親父は42歳。


奇しくも今の僕と同じ歳になります。(汗)




色々な思いを巡らせる、春の雨の夜でした。





1/37000の大当たり



駄菓子屋タクシーってご存知ですか?

ニュースなんかで取り上げられております。駄菓子を積んだタクシー。


東京のタクシーの中で一台のみ、何と37000/1の確率なんだそうです。


ついに、今朝当たりました!




運転席のシートには駄菓子がいっぱい。食べ放題。(食えなかったけど)
お兄さんも頑張って下さい、僕も頑張ります!と言い残して降りました。

なんかいい気分。






宝塚歌劇という曼荼羅




宝塚歌劇、友人の関係で行って参りました。


正直いうと少し苦手でありました。

女性ばかりという違和感。中には少数だけれど、男役として完成度の低い人も混じっている。そして独特のセリフの抑揚。

初回に見た時に好きになれなかった、閉鎖的な内輪ギャグ。それにやたらと爆笑するコアなファンのおばはん達。

今回はどうだろうか。(汗)




一部のお芝居、18世紀のスウェーデンの独立への歩みを描いた作品。

女性ばかりの閉鎖的な甘ったるさや、内輪ノリの不思議なギャグもなく、今回はなんとも男性的(笑)でテンポが良く切れ味もいい。

盆に載せたセットが周りながら色々な表情を見せ、景色が変わって飽きさせない。

演出によるのかな、、。全然違う。


個々のキャラクターもよく描かれており、心の動きがバランス良く頭に入る。

主人公の平和への願いはとても深く、現在の政治情勢を考えさせるような風刺も感じる。

ラストの舞踏会のシーンでは、それまでの派手な色とりどりのドレスとは打って変わり、イエローとベージュのみ。一番盛り上がるべきシーンでの敢えて抑えた色目は、とても効果的で心に残りました。

全編に疾走感があり、メロドラマに陥らない、とても後味のいい素晴らしい作品でした。


お芝居を語る資質が僕にはないのでこの辺りでやめておきますが、後半は女性劇団という事を忘れていました。


そして、レビュー。(大階段、羽根の付いた例のやつ)



参考画像


実はまだ3回目なのです。一度目は8年位前にベルサイユのバラ、そして一昨年。いずれもレビューが無かったのです。


今回は初のレビュー。あれは、一体どんなものなんだろうか。



幕が開くと、大階段に布を纏った男役が独り。



それが剥ぎ取られると、階段が現れて、めくるめく色の洪水。

まー、これが凄い。洪水というより鉄砲水。これが延々と一時間以上続く。

流しそうめんのレールにお節料理をありったけ流し続けるような感じ、とでも言えばいいか、、。

味わう前に、こちらはひたすら余韻もなく飲み込むだけ。咽がつまりそう。

何だこりゃ!!僕は軽くショック状態に、、。


と、周りを見渡すと妙齢の女達が恍惚とした表情で見つめている。


そう、それはパチンコのフィーバーを眺める顔と同じであった。

打ち上げ花火のラストのバンバン畳み掛けるアレとも似ている。曼荼羅のようでもある。


とにかく、女性の脳からアドレナリンを出させる何か装置の類いに間違いない。


そんな事を考えながら見ていると、演者の表情に気づく。作り笑いではない、気持ち良さそうな笑顔をして踊っているのだ。

こんなにも人を楽しませようと、畳み掛ける笑顔の女たち。何と美しいのか。無邪気なまでに無垢な笑顔と、何かに打ち込むひたむきな横顔。

アドリブで手を振る、投げキッスにウィンク。
運悪く、客席に降りてきた端の方の男役の方のウィンクが僕のど真ん中に命中してしまった。

!(◎_◎;)



そして、最後まで目を剥いて夢中で見てしまった。




昔から僕の人生の中で、陥るまいと心に誓っていた三つのものがあります。

その三つとは、レース編みと女装と宝塚の追っかけであります。それらは僕の主義ではないのです。

しかし、裏を返せば興味があるっちゅー事かもしれませんね。(うーん)



あのパチンコフィーバー、いや、花火の乱発は現実だったのか。いつかもう一度確かめてみたい、、。


とりあえず落ち着こう。日比谷を後にして、新宿のいつものスーパーに行く。

ここには現実がある。

鯛のアラが二匹分、半額になり400円で売っていたので牛蒡と大根と炊くことにしてみた。もちろん生姜も入れよう。




正月に飲み残した菊正宗がかなりあるのでそれもブチ込む。




部屋がアルコールで充満する。頭がクラクラしてきた。


うーん、さっき僕が見たものは一体何だんだろうか。


バンジョーのお兄さん


僕が小学校低学年の頃の話。

京都のあるお寺に今では当たり前のフリーマーケットの先駆けのような市がありました。


そこはいわゆるヤクザの露天商のような専業の店は一軒もなくて、主に素人さんの作品の発表の場になっていました。


その場で散髪屋さんをする人、編み物を編んできて売る人、自分の山からミカンを摘んできてジャムを煮て売る人、流木で何か作品を作る人、漬物を漬けて売る人、洋服やバッグ、アクセサリー、コーヒー豆の焙煎したのから、ありとあらゆるモノが売られていた。

素人臭いと言えばそれまでなんだけれど、個性のある人達が集まり、毎回楽しそうに物々交換が始まる。帰り際は決まってみんな互いに別れを惜しむ。

そう、そこは夢のようなマーケットなのです。


そんな中にクッキーを売りに来るお兄さんが居ました。

大きな丸いゴツゴツした素朴そのもののクッキー。

お兄さんは今の僕より若い、30代中頃くらいか。物静かで少し影があり、ムーミン谷のスナフキンのような見た目だった。悪いけどおおよそ対面販売を職として選ぶ、しかもクッキーなどを売る人には見えなかった。

更に当時の僕は、クッキーなんて女の人が好きな男にプレゼントするために作るようなものだという固定概念があったので、余計に不思議に見えた。



お兄さんはとても美味しいクッキーを作るのだけれど、見た目からか(失礼)あまり人が寄り付かない事がままあった。


そんな時はトラックからかなり年季の入ったバンジョーを取り出し、徐に構えて弾くのであった。





その曲がまた凄い。よくロデオのシーンなんかに流れるアレを世にも盛大に、それも大音量で演奏するのです。


もちろん、毎回みんなビックリする。

僕は前から知っていたので、お兄さんのそばに寄り、お世辞の一つも言って割れたクッキーを頂きつつ、その時を待った。


そして、相変わらず爆音での演奏が始まるとクッキーを齧りながら驚く通行人を見物するという寸法。


暗い男の弾く、底抜けに明るいバンジョーの音色。

ギャップに笑いながらも誇らしげな気分になる。


いつも短い曲を超特急で弾き終わると照れ臭そうに楽器を仕舞い、頭をポリポリ掻くのでした。

彼が何故、クッキー屋さんになろうと思ったんだろう。そしてバンジョーは素朴なクッキーとそこまで相性が良いのかという疑問。


、、、まあ、自分もそのお兄さんの年を越え、何の因果かお兄さんより少しだけややこしい店をやっている。今日も雅楽をバックに鈴を振り回して日本酒を振舞った。それも20回はやった。



お兄さんが見たら何て言うだろうか。

(´・_・`)


どうしてお兄さんを思い出したかと言うと、ホットワインのフランス語がヴァンショーでね、という話になったとき、急にバンジョー、、、と脳の回路が繋がった、それだけなのですが。


にしてもあのクッキー、演奏聴きながらもう一回食べたい。






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