昭和ファンシーを考える
旅行先の鬼怒川温泉、某旅館よりお送りいたします。
この旅館は、どう見ても高度成長期に建てられたであろう古い施設を上手くリニューアルして、現代的な内装の元頑張っています。
渓谷沿いに掘りごたつなんかあって。
お風呂も去年だかにリニューアルされたようです。
お掃除が行き届いていてどこも清潔で、それにかなりお安いんです。一人二食付きで12,000円くらい。今はこの金額だと箱根あたりはアウトです。この数年で随分値上がりしちゃいました。
ロビーにシャンデリアとかマグロ解体ショーとか要らないのです。気楽でラフに楽しめるお宿が一番です!
しかし、安さには理由が。鬼怒川という寂れた温泉場の寂れた外観の建物、そして随所に隠しきれない昭和の設備が残っております。電話とかスイッチとか、完全に昭和40年代のままのデザインです。
中は本当にリニューアルされているんだけど。
お食事個室の電話なんか顕著だなー。こんなの見たことないもん。
お部屋でもそんなレトログッズを見つけてしまいました。絶対見逃さない(粗探しとも言う)
電話の横に何か箱があるぞ!
裁縫箱!しかし何年前のデザインやねん!!
アイラブテニスって書いてあるしw
こういうテイストのファンシーさって、僕の姉とかよりもっと上の世代かな。
内藤ルネさんより手前で
そうそう、ちょうど水森亜土さんくらい。1970年くらいかな。
僕の子供の頃のファンシーといえば、サンリオ全盛期だった。キキララとか、キティちゃんとか、もう完全にキャラクター化されていたような。
ファンシー全盛期のデザインってどんなだっけ、と思い、裁縫箱からそれぞれの時代の紐解いてみたいと思います。いつものネット検索頼りです。
うちの母の時代、だいたい1955年辺りでしょうか。
構造は大抵が薄いセルロイド製か、たまにベークライト。
デザインは中央辺りにポツンと1つ描かれていて、黒い人物だったり、割とシュールだったような。かなり抽象化されデザインされております。
なんか怖い。実家にこんなのありましたけど、かなりシュールだったな。
その後の時代は比較的具象的というか、アニメ的な可愛さを求めるようになるのでしょうか。
色も以前のより明るい色を選んでるように感じるも、少女のタッチは依然として怖い。
彼女も、やはり怖い。
そして時代は下り、旅館にあった水森亜土系のファンシー時代に繋がる、1970年代。
アイラブテニスのシリーズなのか、ハッピーサイクリングと書いてある。なんなんだろう、この全体に漂う無意味さは。
そのほかにもリトルチャンピオンというコピーのデザインも。おおよそチャンピオンに見えないアホそうな眼差しが見るものに安らぎを与える。
なんだ、またサイクリング案件かよ。この時代の裁縫箱はテニスかサイクリング限定なのか。
と思ったら、他にもありました。
木の下で愛を語る風のとか、
妖精風なやつ。羽生えてるけど平気なのかね。
定番の男女向かい合う愛の図案、など。ただひたすらに夢見心地な、穏やかな世界感。
この頃のファンシーさは、共通した徹底的なボンヤリ感にあると思います。四葉のクローバー、テニスラケット、自転車、花や風船。
そして、人物は下膨れの頰に金髪。悩みなき欧米の少年少女に題材を取っているものが圧倒的に多い。
そして、僕の時代。1985年辺りから。
キャラクター全盛時代。謎の生き物が大量に到来します。
まずはキキララ先生。
物凄く懐かしいんですけど。なんか、グッと来てしまいます。落ち着くと言う表現がぴったりな。
うちのタマ知りませんか、もはずせません。
なぜこんなのが流行ったのかわからないけれど、身の回りの女子の持ち物は全てタマでした。
その他、謎のキャラクターモノが氾濫していたようです。
この時代のキャラクターは犬とか猫とかペンギン、恐竜を可愛くアレンジしたようなのばかり。
今でも軽井沢の潰れそうなファンシーなお土産もの屋さんに行ったら陰ながら生存してるかもしれません。
同時代には、ライセンスによる垢抜けたキャラクターが並行して存在していました。今でも通じるような洗練されたデザイン。
ミスターフレンドリーとかいう気味の悪いキャラクターも、学校採用のデザインだったそうです。
冷静に考えるとこんなの怖いですよね。神社で頂けるお祓いの人型の紙にしか見えない。
さて、時代は下り、今はどんなデザインの裁縫箱を使っているのか。
なんじゃこりゃー!!全然モノを縫う気にならないデザイン、、。
まあ、男の子ならこんなので良いのか。気持ち悪いなぁ。
因みに、僕の小学生に充てがわれたのはベージュの箱で、何の可愛げもないこんなデザインでした。
没個性、生徒が争わないようにとの配慮なのか。
女の子は「鞠」、男の子は「独楽」でした。共産主義国家みたいでしたが、こんなもんかなと疑いもなく大切に使っておりました。
他の共産主義裁縫箱も大体こんな感じ。
小鼓もあれば
扇もある。
何で違和感があるのかって、ベージュの箱にフルカラーイラストだからなんだと思うのです。
黒字に金だったら、渋いながらも違和感なかったと思う。
中にはこんなシュールなのも、、、。
「鞠」にあんまり可愛くない熊をプラスしたデザイン。改革開放路線の経済特区みたいだな。
そして、限界集落みたいなデザインも。
嫌だなー。ここまで来ると無地じゃダメなの?と思ってしまう。
裁縫箱の表という単一キャンバスに描かれる時代絵巻。裁縫箱以外にも興味深いグッズがあるかもしれません。
また次回、掘り下げてみましょう。お風呂行ってます。
- 2019.01.16 Wednesday
- 独自研究
- 17:40
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- by シンスケ