僕の琴線に触れるいくつかのパターン

 
ブログ内のお勧め書籍を書いていて思ったんですけど、女流作家の女性が主人公の作品しか読んでいない事に気付く。(遅い)


普段遊ぶ仲間は男性が圧倒的で、オペラの歌手以外は女性の音楽も全く聞かない。

お客様以外で普段接する御婦人といえば、三丁目の行きつけのカウンター和食屋さんの花ちゃんと、お花屋さんの女性店員さんくらい。(両方、ハナがあるなぁ)

なのになんで、こんな女の小説ばっかり読んでいるんかよくわかんないけれど、とにかく好きだ。


黄金律があって、だいたい以下の3つくらいのパターンに分類される。


パターン1

何不自由ない生い立ち(美人)

幼少時の突然の病

治療、窮屈な幼年期

ささやかな恋は失敗

不本意な結婚

泥沼離婚

人生への目覚め

経済的自立

達観した老後

病魔再び、闘病

完治

財産は残らず、子もなし

でも幸せ


2、

劣悪な環境に生まれる(美人)

売られて芸者、または娼婦

真実の恋と出会う

裏切りに合う

自己確認後、特技を生かしての自立

太平洋戦争勃発

一から出直し

押しも押されぬ大富豪へ

美貌こそないけれど幸せ、しかし子は無し


パターン3

何不自由ない裕福な生まれ

病魔が襲う

回復、一生の恋に出会う

嫁ぎ先の連れ子に苛められる

太平洋戦争勃発

ヤミ米背負って三度の支度

子と和解

亭主の女問題発覚

それでも尽くす

連れ子も味方に

ああ、幸せ(ただし実子は居ないけど)



そう、有吉佐和子も山崎豊子も宮尾登美子も主人公は大体は美人で影があって子無し。

なんでだろう。理由を考えてみた。



まず、美人のほうがなんとなく気持ちが良い。これは僕だけだろうか。

ブスに生まれてお里が悪くて持病があって恋に破れて、それでも男を翻弄して這い上がって大資産家になるにはブリタニカ百科事典みたいな分厚さになるんではないだろうか(読んでみたいけど)

美人だと不幸が積み重なっても一発逆転の際にドラマ性がある。ブスにはそれがない。

影がある美人、でないと読み手が許さないのではないか。華のある美人の終始、順風満帆な自叙伝なんて間違っても読みたくない。

子無しに関して。

結局子供が出来るとある種の永遠の幸せが約束されてしまい、前半の不幸が帳消しどころかプラスになってしまうのではないか。

もしくは美人+成功への対価か?


なぜ女性が主役なのか。

主人公が男だと細々したエピソード、つまりディティールが上手く描けない。宝石や着物、音曲や室内の設え、イジメのディテールにも男性はあまり登場しない。

野心のある男性が集まると、結局は「三国志」みたいな話になってしまう。それもいいけど。

書かれた時代背景を鑑みて、「女はそもそも不幸な生き物である」という仮説があるのかもしれない。


女性の権利はこの際他者に譲るとして、、、


ドラマとはすなわち悲劇性だと思う。


つまり、実生活に置いては万人が当然のように幸せで明るい日常を送りたいと思うわけだけれど、
それを一部切り取って「物語」にした場合、悲劇性がベースにないと幸福感が伝わりにくいのだと思う
あんまり見ないけれど韓流ドラマもそういうルールなんだと認識している。


僕の好きな往時の女性たち、皆さん儚くも美しいですよ。


差別、制約がある中での輝かしい活躍の方が、僕は美しいと思う。


つまり共感する部分が多いのかもしれないです、僕にとって。



酔っています、失礼しました。




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