テーブルその後




あまり面白くないブログが続きますがお付き合い下さいませ。凄い大切な、僕にとって過渡期なのです。忘備録も兼ねて。



昨日は早速、テーブルを見に神奈川南部のアンティーク屋さんに行ってまいりました。





まあ、凄い広さに何でも売ってます。ドアノブからあらゆる家具、グランドピアノに螺旋階段まで、、。気分は最高潮。



早速、例のテーブルを拝見。なるほど、こんなにガッチリして味のあるテーブル。リフォームプランをお伝えして、その場でお願いしました。





そしてお店に帰り、祝日前夜のいつもながらの営業。人が来てワイワイやっておりました。


いつもよりハイテンションで、なるべくソファーのお客さまにも積極的に声をかけてみました。一体感、やり過ぎず、と心に念じて。


カウンターの方は話しかけられたソファーのお客さまに向かって皆振り返る。陽気なみどりちゃんもいるし、このチャンスは逃せない。

思惑通り、見事一体になって会話が始まった。あー、懐かしいこの感じ、、。

でもその後。かなり混雑してきまして全体のボリュームも上がると、会話が維持できません。続いてお一人のお客さんもいらっしゃるし、バランスを維持するには席替えも含んだ、定期的な介入が必要なんですよね。

そして満席。店内の会話のボリュームがマックスになると、全くソファーのお客さまとお話ができない。叫ばないと声が届かないのです。というか目も合わないよ。


僕は、どうしてもソファーにお一人で来ている方とお話がしたいのです!!!


僕のオープンが今の店の広さならばこんなに悩まなかったんだろうけど、昔の狭さで皆さんを巻き込んで会話する喜びを知ってしまっているので、手足をもがれた位に辛い。


このあたりは繰り返しになってしまいますが、僕の役割は下町の長屋のお節介なオバさんなんです。

気の合いそうな人を見つけたら席替えして共通の話を振り、満足げに眺めては次に行く。それが生きがいなんです。



昨日もこんなことがありました。

ソファーの二人組が楽しそうにお話をしている。少し離れたお一人さまがクスクス笑ってる。
そうそう人の会話には入りにくいもの。そりゃそうだ。

僕が笑っているおひとりさまに「ねぇー、ちょっと今のどう思います?」って聞くだけで、もう3人でお話する世界が整うのです。
少し火が着いたら、「ちょっとこっちにいらして。それでさぁ、、」とやれる。でも今は出来ない。


11年間こんな事を毎晩やってたし、もっというとこれしかやってなかった。

手前味噌だけれど、くっつけ技はいつしか磨きがかかり、名人芸の域に達していました。他はあんまりだけど、ここだけは自信があります。(笑)


そして、僕の知る限りでそんな店はただ一軒、ゴールデン街のウカツさんくらいです。

僕が1人で行っても居合わせた誰かをサラリと紹介してくれる、とても暖かいお店なのです。

元々は8年前、僕がお店の舵取りに悩んでいた所、あるお客さんに勧められてゴールデン街に足を運びました。


初めて行ったその日、路面の5坪位の狭いお店のドアを開けると、ママはお客さんに怒鳴り散らしながら柄杓で水を掛けていました(笑)



すごくレアなケースらしく、よっぽどの事があった日に当たったみたいでした、いつもは人情にあふれた素敵なママなのですが、最初が最初だけに、、。
余りの衝撃と、僕が今まで悩んでいた事の小ささ、どーでも良さに翌日から通いつめて技を盗み、真似をしたのが始まりでした。

いつしか師匠と、僕らの店は他に無いよね、って語り合えるまでになりました。本当に今でも感謝しています。ありがと、いーちゃん。




昔の店舗にて、いーちゃん。








つまりそれはスナックの形を取ったサロンであり、主が全てをコントロールして、安定の人間関係を皆さんに提供する素敵な空間であった訳です。


今の僕は、せっかく彼女を真似て習得した名人芸が全く活かせない。こんな苦しい事は無いのです。



もうやだ。お金も広い店もソファーもいらんからあの充実した日々を取り戻したい。


テーブルやソファーの小細工をしても、根本的な距離が阻む問題は解決されないって、昨夜の営業中に確信してしまいました。思い知らされた感じ。




今朝起きて、家具屋さんにテーブルをキャンセル。間に合いました。本当に申し訳ありませんでした。



やはり、そのお金を使って根本的な改善、つまり客席自体を狭く改装しようと思います。騙し騙しやっても、距離は縮まらない。余計にお金が出ていくだけなら、一気にドカッと解決した方がいい。


僕のお店なのだから、僕が納得いくように、大好きな空間にしようと思います。ソファーがお好きだった方には本当に申し訳ないけれど、やっと吹っ切れました。




好きにやらせて貰います!



ゆくゆくはソファーを外してレンタルBoxにブチ込み、ひな壇にします。



ソファー外すとこんな風になってるのですよ。





そこに、薄くて背の高い温室のようなガラスの空間を作ります。そんなの要らないよ、なんて言わないで。




神戸の御影公会堂の食堂のガラス。こちらがイメージです。






植物の間にはトルソーがあったりして、お客さんが作ったジャケットやコート、帽子なんかを飾って、いずれは売れるようにする。

他にも、僕の好きなアンティークをゴッチャゴチャに飾りまくります。


要はデパートのショーウィンドウのようなやつですな。クリスマスツリーもこの中でもいいかも。


わかんないけど、こんなの?何か懐かしくて夢が溢れてて素敵なのになれば。








客席を半分程度の狭さにしたところで、ベンチかスツールを置いて、和気藹々と密着して飲んで頂きます。


以上!



そんなでも良ければ着いてきて下さい。いや、もう一度チャンスを下さい。



工事は時期を見て慎重に進めます。先ずは自分で仮工事。明日より、ソファーが高くなりますよ。


まだまだ続く。



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