不朽の名作「マキさんの老後」




群馬県前橋市に住む、ニューハーフとオナベの夫婦を描いたドキュメンタリー、マキさんの老後。


こちらにリンクを貼っておきます。リンク切れの際はご容赦下さいませ、、、。

僕は、数ある現代のドキュメンタリー番組の中でも最高峰の完成度といっても過言ではないと思います。




圧倒的なリアリズムと、カメラを意識しない自然さ。圧巻です。


僕は酒を飲みながらこれを何度も観て、セリフを覚えたりしています。

見るたびに新たな教えが詰まっているし、二人を通して今現在の僕も頑張って生きていることを改めて実感したりします。(オーバーですかね 笑)

水商売従事者へのバイブル、と言っても過言ではありません。




旦那様はジョンさん。かつては大繁盛したオナベバーを営まれていたという男装の麗人。

更年期障害と鬱に悩まされた過去がお有りです。




その昔はこんなご尊顔だったとか。






奥様はマキさん。早稲田教育学部卒のエリートだそう。バブルの時代に赤坂プチシャトーなど、有名店で稼いだ経歴の持ち主。




昔はこんな風に凛々しかったそうです。




このお二人がパートナーとなったのは、ジョンさんが営むバーにマキさんが飲みに来たのがキッカケだとか。華やかなオーラに圧倒されたジョンさん。



程なく、二人は夫婦となります。






いつも仲良しのお二人。仲睦まじい姿が印象的です。






しかし、年老いたマキさん。昔のように仕事はなく、たまにニューハーフクラブのヘルプで働くばかり。

マキさんはバブルの頃の優雅な時代が忘れられません。




そんな中、運悪く怪我をしてしまいます。ギプスで固定されている為、ショーはおろか、お給仕すら出来ないのです。

寝たり起きたりを繰り返すマキさん。



見かねたジョンさん、思わず「腕引きずってでも(仕事に)行けば?」の一言がマキさんの癇に障りました。

「こんなんじゃショーもお給仕もお運びも出来ないの!!」と怒鳴り散らします。


そして、水商売ならではの不安定さをジョンさんに強く訴えます。





ジョンさんに「アンタは良いわよね、保証があって!」と罵る。

「あるわけないじゃない!」と切り返すジョンさん。

お前ら夫婦でそんな事も知らなかったのかと突っ込みたくなりますが、彼もまた、介護職のパートなので保証はありません。唖然とするジョンさん。



ジョンさんは、介護福祉士の資格を取るために猛勉強中。現在の介護職から、さらなる飛躍を目指してらっしゃいます。(撮影当時)





不安定な二人生活。もうお金も余裕がありません。

マキさんは一発逆転を狙い、秘策に打って出ます。



それはなんと宝くじ!!

生活費を限界まで切り詰めたお金で宝くじを購入します。






風の中、帰宅するマキさん。外れだったみたい。





こんなに宝くじを外した人にピッタリの表情があるでしょうか。

素晴らし過ぎます。

マキさん、残念です。またもこのショット!!(この番組は終始、こんな美しいマキさんのお姿に溢れています)




ハズレくじを見て、睨みつけるジョンさん。


ジョンさんは奥目だから怒ってるように見えます。






程なくして、マキさんの腕の怪我も治ります。お金もピンチ、そろそろ働かなくてはなりません。


マキさんは先輩のステファニーさんを頼って金町駅前にて待ち合わせ。

ステファニーさん、激しく気になります。(情報求む)





ステファニーさんのお陰で仕事が決まり、いざ出勤。


レギュラーのニューハーフさんではでは無いので、仕方なくトイレの前で着替える可哀想なマキさん。





このドキュメンタリーでは、華麗なショーガールの一面も垣間見ることが出来ます。

トイレ前でも、美しく装うマキさん、バブル時代に負けず劣らずの華やかさが全身から溢れ出ています。






マキさん曰くの「おチップ」を貰う姿。思わず「うれちぃ〜」と声が漏れてしまいます。

何故かお仕事の映像には沢山のモザイクが入っています。かなり露出なさっているのでしょうか。










季節は冬になり、住み込みのマキさんは疲れた体を引きずり、群馬県前橋市に帰ってくることになりました。正月くらいは水入らずで過ごしたいもの。


徹夜を押して電車で帰るマキさん。疲労もピークです。




迎えるマキさんも不安げです、、。怒ってるみたいですが、決してそうではないようです。ジョンさんは常に表情にバリエーションが少なめ。渋くてダンディならでは。




自宅に戻り、年越しの料理を始めるジョンさん。料理が整い、マキさんを起こしに行くと、、


『気絶してた、、』




この番組一番の見どころ。気絶だなんて、マキさん。どこまで素敵な方なんだろうか。


後で起こせと頼んだ癖に、起こされるとキレるマキさん。予想どうり、また喧嘩が始まります。



ここでまたマキさんの名言。

「トイレから戻って来た時に笑顔じゃないと」




「ガーンとやられるよ!!」




トイレから戻ると、笑うように強要するマキさん。歯を出して笑え、と。

ジョンさん、仕方なく作り笑いをします。



マキさん、どうしてそこまで言うんでしょう。お正月から身勝手が過ぎます。余りにも度が過ぎています。これではジョンさんがあんまりにも可哀想です、、。




でも、すぐ仲直りするお二人。


「バカねぇ」と笑顔のマキさん。何と身勝手な人。






伸びたワカメ蕎麦が物凄く不味そうです。








そして、後日。



眠いのを叩き起こされるマキさん。




二人は仏壇に拝みます。





凛々しくネクタイを締めて、、





向かった先はハローワーク!!





マキさんの就職先はどうなるでしょうか。上手くいくと良いですねわマキさん!






そして、ジョンさん。


介護福祉士の合格発表の日です。

緊張して画面を見られないジョンさん。













続きはYouTubeにてお楽しみくださいませ。







ドキュメンタリー番組。YouTube内にも沢山の作品が数限りなくアップされていますが、これ程までに赤裸々に、がむしゃらに、ワガママに、そして力一杯生きている作品は稀です。


この番組の素晴らしさは、ニューハーフとオナベという特異性を遥かに超えていると、僕は考えます。


どこか憎めないマキさん、不器用で真面目なジョンさん。

他に出演者といえるのはわずかに映るステファニーさん、宝くじ売り場のお姉さんくらいで、ほぼこの夫婦だけの45分間。恐ろしい充実感です。


マキさんの珠玉のブス動画に彩られた性的マイノリティ、サービス業従事者の不安や老後の問題を見事に描いております。


って、迫る問題が、全く僕と同じじゃないか!!!


笑えません、が、笑えます。


どうそ、お暇な方は昼休みにイヤホンしてご覧ください。


マキさんとジョンさん、、、いつかお会いしたいような、したくないような、、。(笑)




お時間のない方は、このセリフだけでも。

開始から2:43後のこの一言

「所詮女ねぇ」




僕はこの言い回しに圧倒されました。

何と言うか、素晴らしいの一言。マキさんの、いや、飲食業従事者特有の情緒の全てが詰まっています。












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