クリスマス準備とか。

 
ブログが全然更新できませんでした。すみません。しかし、こうも色んな事が起こるのか、と我ながら唖然。

NYC帰ってきてすぐパーティー、その二日後に肉親の病気で京都にトンボ帰りして、疲れたので熱川温泉に行ったら、その夜道でドブに落ちて怪我したり、、(まだ痛いのです)

その間も、平日も週末もお店はお祭りみたいに忙しかったりする。(本当に有り難いのだけれど)さすがにヘトヘトになってしまった。

じゃあ休めば、寝れば疲れが取れるって、今はそういう感じでもないんですけどね。試練?の時期なのだとグッと歯を食いしばって吹き飛ばされないようにただ立ち尽くす、のみです。年末までは。

今は店の事と寝る事以外、何もする気が起きません。実際何もしていないし、する気も起らない。しいて言えば食う事くらいか。

でも個人経営の場合、本当に耐えられらなくなったらその翌日から、いや、その場でお休みに入る事ができる。いわば解散権があって、それは大きな保険ですよね。お勤め人の方だと中々そうはいかないですよ。

かといって、そうそう休むと落ち込むし、売上も入ってこない。中々そうもいかないのが現状で・・。

あー、そういや衆議院、どこに投票しようかな(汗)


それはさておき、街はクリスマスモードですね。もちろんウチも張り切っています。

以前に書いた日記で、バレエのセットのような天井ツリーをやりたい!というのの続きなんですが、、、

20081215nutcracker.jpg


なんだか雰囲気が出ない。出ないのです。

昔の色あせた童話の最後のページの、クリスマスの挿絵。暖炉の炎に照らされた温かくて懐かしいクリスマスツリー。焼き菓子やバター、七面鳥の焼けるオーヴンの匂い。
煤けて色あせた、埃っぽい、神聖で懐かしいあの感じ。

うむむむむむむ。(眺める事数日)


「あっ!」

どうやらLEDが全体のレトロ感をぶち壊しているのではないか、と気付く。

まず色がダメ。温もりがない。あと、点滅の加減が機械的すぎる(電球も機械の一つでは、、)

あと、懐かしツリーによくあった、色とりどりの電球が足りねーじゃん、という結論に至りました。あれはノスタルジックだわ。



そこからネットでくまなく探す。Christmas電飾はほぼすべてがLED化していて、そりゃ小電力で火事も起こりにくいんだけれど、そうじゃなくって、みたいな。


三日かかって岐阜県のレトロな業者を発見。最後の1点を確保しました!!!

こういうのが嬉しい。やっぱこだわって行こう!

電球径は三センチ。理想の色どり。サイズも腐った色目も完璧でございます。

IMG_2649.PNG

透明球もあるとのことなので、五色球を試して気に入ったらLEDと交換します。たったこれだけで7000円近くもする。壊れやすくてバカ高いし勿体ないけど仕方ない。

判って貰える人にだけ、判ってもらえたらいい。むしろ、判ってくれなくても「何だかこのツリー、ちょっと雰囲気違うよね、なんでかな、、、?」で十分。



だって好きなんだもの。



神は細部に宿る、らしい。



連休明けに届きます、お楽しみに。(写真は現状)

IMG_2536.JPG




今年の12/23、一晩だけなんですが店内に男女のジャズシンガーをお迎えしてショウをやります。
キャッシュオンデリバリーでチャージは今考え中ですが、カウンター上に深紅で黄金のフリンジ付きのオペラカーテンを設置して、劇場仕立てでお送りします。
カーテンはお客さまで友人の、これまた素晴らしいこだわりのオートクチュリエ兄貴に縫ってもらいます。

カーテン開閉に加えて照明五か所のスイッチングと開演ブザー、ジングルベルを駆使して、古き良き劇場のように設える予定です。

僕がピアノ弾くのですが、ちょっと衣装も考えています。凄い可愛い、でもサンタでもなくタキシードでもない、「おとぎの国の紳士」なアイテムです。(もう37歳なのに・・・)


ヴォーカルの歌声、古いSPレコード音源を再現するためにエフェクト小物も。

これ、本当に素晴らしいんですよ。椎名林檎さまもご愛用の拡声機。


IMG_2610.JPG

当日のお楽しみです。もしかして天井から雪も降るかも!



次回こそはニューヨーク旅行記 音楽旅情編です。更新遅くなっちゃってすいませんでした。


シンスケ

マンハッタン旅行記(その2 食い物編)


旅行と言えば食い物です!!

僕は食べる事が大好き。お店を始める前はずっと64キロだったんですけど、半年で15キロも太ってしまいました。

なんどか落したんですが、またリバウンド。いまは玄米食をはじめたので緩やかに落ちてきて、、いればいいのですが。ちなみに現在74キロです。ああ、言っちゃった(汗)


旅行で、まず気になるのが旅先の文化。すなわち食生活もです。

名物料理は勿論、街の生活の断片として、働く人の簡単なお昼ごはんは何を食べるんだろう、とか、家族で集まった時のメインディッシュは何なんだろう、とか一人暮らしの簡単ディナーは、とかキリがありません。。。


まず、街にたくさんあったのがホットドック屋さん。(沢山ありすぎて写真撮り忘れた)

茹でたソーセージを生のパンにはさんでトッピング、それだけですけど街中にある。僕のマンハッタンのファストフードといえばまずホットドックですね。

大体一つが1ドルから高いもので4ドルくらいまで色々ある。味は全部一緒(笑)

滞在中に5本は頂きました。

場所によって違うのだろうか。5番街、メトロポリタン美術館の前のが一番高かったような。

そしてピザ屋。ロンドンに行った時もそうだったんだけれど、ピザはみんな食べていたような。
日本で言うマック、吉野家にあたるくらいの普段の軽食なんだろうか。

着いた夜に歩き疲れた所、焼ける匂いに耐えられず早速食いに行く。

IMG_2037.JPG

驚いたのはお店に入ったのは全ての食器が使い捨てだという事。これは他のお店も同様だった。
NYCは使い捨て食器の街だと思うぐらい、ファストフードにおいては使い捨て食器、巨大なゴミ箱もガンガンある。

280円の牛丼にも何度も使えるどんぶりにお箸で出てくる島国がちょっと、愛おしくなった。

ピザの種類はかなり肉の乗った、パンチのあるラインナップが多かったようです。どこも美味しいのなんの。

滞在中に5回は頂きました。


そしてシーフード。この街は海に近い、という事を忘れていましたが、ボストンもNYCも港町なんですよね。

季節は秋、ということで牡蠣が大売り出しでした。大きな器でジャンジャン出てきます。
ここのは一個2,5ドル。安い!


IMG_2051.JPG


ダウンタウンのカフェのハッピーアワーだと、一個99セントってのも有りました。20個食べても1600円!

新宿の鮨屋でたまの御褒美に一個800円の牡蠣を食べていたんですけど、勿体なくてもう行けなくなりました。この街には秋から春に来て牡蠣を食べる事にしよう。

街中にはカフェとバーの中間のような店が沢山あります。ニューイングランドのような雰囲気のカッコいい所や、イタリア人のやってるバールそのもの、安普請の合理的なのや現代的なの、もちろんスターバックスも山ほどある。

IMG_2083.JPG

ケーキ屋さんもありました。ここはとても仏蘭西的な設えなんですけど、本当に美味しかった。
通りがかりに見つけて、用事を済ませて買いに行ったらビックリ!もうスッカラカンになってるんです。

さすが、美味しいはず。

IMG_2094.JPG

モカのエクレアが絶品。童話の挿絵のような見た目と、これぞフランス菓子!と思わず唸るほどの濃厚で香ばしい味。

IMG_2080.JPG


「楽しみは後で」が体に染みついています。滞在のディナーは日程を重ねるごとにどんどん重い食事を、という今回の行程表。

機内     機内食
初日     ホットドックなんかを食べ漁る
二日目   軽食のちょっと凝ったモノを
三日目   オイスターとイタリアン
四日目   和食(敢えてNYCで食べたかった)
五日目   凄い有名な中華街の汚い飲茶屋でガッツリ
六日目   オマールとシーフード
七日目   ステーキ!


と考えていたら、本当にその通りになりました。


今NYCで一番元気というオマール屋さん。現地のお友達に教えてもらいました。
前回お伝えした通り、こちらはチップ文化。カリスマ的人気でチップを溜めこんで店を一軒構えたツワモノもいると聞きます。

ここの姐さんも凄い気合入っている。愛想もいいし気も聞くけど、お皿を置くときに毎回乱暴に「ガチャン!」とやる。
カウンターが狭いのに大皿料理を持ってきて、その大皿で僕のグラスや取り皿を押しのけて配膳する。全く気にしていない。

・・・最初の数日はこのガサツさに閉口したんだけれど、おおよそ街中のほとんどの店でこの調子。
(高級ホテルやレストランは違うと思うけど、それでも日本よりはラフだと思う)

IMG_2197.JPG

だんだん考え方が変わってきて、ひょっとして日本が特殊なんだと思うようになった。こちらの人は合理的で、美味しい食事と人間関係を第一に、大事にしているのだと。

けっして持て成す気持ちはおろそかになっていない。ただ、ちょっとしたマナーや配慮が日本人から見ると足りないだけで、他の国の人はさして気にもしていない様子。

逆に、日本人よりコミュニケーション好きで温かい人が多いようにも思えた。


うーん、勉強なります。


前菜の海老のカクテル。一本が凄く大きいんです。追加して一人6本たいらげる。
一本120円くらいだったかな。

IMG_2195.JPG

ムールの白ワイン蒸し。小さなパケツ一杯で1000円くらい。安い!

スープが絶品でした。


IMG_2196.JPG
オマールのスチームド。済ましバターを付けて、口直しのコールスローとともに。
一匹3000円しなかったと思うんだけど。

IMG_2200.JPG


ワインをがぶがぶ飲んで、写真以外の前菜にサラダ、クラムチャウダーとを頼んで、二人で8000円ちょい。安い。安すぎ。

シーフード好きの僕としては天国でした。



市場にはオリーブ、ピクルス、野菜に肉、色んなものが売っています。

IMG_2229.JPG

片っぱしから食べてみたかったけど、オリーヴでだいたい1リットルくらいからしか売っていなかった。旅行中に消費する勇気がないので残念ながら。

IMG_2231.JPG




しかし、今回、一番おいしかったのが中華街にあるjoe's SHANGHAIという中華料理。


この店の蟹肉と肉汁のつまったショウロウンポウが死ぬほど旨かった。病人が起き上がるくらいの旨さ、と表現したい。

見事!と言わんばかりの大行列でした。

どうしてももう一回食べたい、と最終日に無理やりもう一回行ったほど。味も盛り付けもとってもワイルドで、何とも言えない野趣溢れる滋味に満ちていました。

香ばしくモチモチした褐色の薄皮の饅頭の中にはカニの卵と豚の肉と汁をゼラチンで固めたものが蒸されて溶けている。饅頭を割ると黄金色のスープになって流れ出す。この美味しい事!!


なんでNYCで中華なのって聞かれても困るんだけど、だいたいニューヨーク料理なんて何かよくわかんないし(肉かシーフードくらい?)、だいたいこの街には食い物のジャンルが多すぎ。

中でも最大の移民街、チャイナタウンは本当に元気でした。

移民の街、マンハッタン。現地人だのアイデンティティだのバックグラウンドは現在進行形な街。中でも中国の人の元気は凄まじかった。だから中華が美味しかったのも当然なのかも。

ショウロンポウの写真は撮ってないんですが、とっても美味しそうな軒先の写真を。

IMG_2098.JPG

IMG_2099.JPG

中華食べたくなってきた・・・。





次回は音楽その他の旅行記です。

あ、お店の天井に恒例のChristmasデコレーションを施しました。今年も古き良き童話の挿絵のような世界にあなたを誘います。

どうぞお待ちしております。


パーティー準備室 完結編

 
昨夜、お陰さまで7+1/2アニバーサリーパーティーが滞りなく終わりました。

お忙しい中お越しくださいました方も、予定が合わなかった方も、皆さま本当にありがとうございました。

当初思い描いていたような、ご機嫌なんだけれどちょっと怪しげで、しかもオタクっぽくないあか抜けた仮装パーティーになりましたw

あまり写真を載せられないのけれど、本当に色んな恰好のいろんなキャラクターの方がいらして下さいました。

テキストで振りかえってみますと、、

ロンドンの儀仗兵三人組(長い帽子付き)
草間弥生
金髪ボンデージのヒゲ女装
オペラ座の怪人
バレリーナ
ゾンビ風アメリカの警官(拳銃所持)
ホテルのポーター
レミゼラブルのマリウスとアンジェルラス
陸軍士官第一級礼装
陸軍二等兵(上の方とは別でお越し)
総刺繍の大礼服(ランバンのアンティーク?)
モンゴルの正装のジャケット
ユダヤ風特殊付け髭の二人組
羽織袴
イヴニングドレス
上半身半裸にロング丈の毛皮のコート
ローブ風ジャケットにムチの紳士
日光東照宮風のイヴニングに巨大ヘッドドレス
ツナギの筋肉質労働者
モッズスタイルのスーツにサングラス
作務衣
ウサギの被りモノ
マクドナルドの制服+マリーアントワネット女装


まだ、キリがないのですが・・・。


草間弥生とロンドンの儀仗兵さん(3人組み)

IMG_5815.JPG

(以下、多少暴言含む↓)

とにかく今回、僕の嫌いな人が居なかった事。
遊びを知らないガキ、ダミ声でプロっぽい空気の読めないオネエなどなど。(笑)

マナーのある大人が、敢えてブッ壊れる「ドレスダウンの愉しみ」。

これは僕の中で一番大事な要素でした。もともとぶっ壊れた人と絡んでも、個人的にはあまり楽しくないのですよね。何でだろうか。

我ながら、美男美女の多い夜でした。あは。

舞台横には娼婦の館を開きました。海軍の港に娼館は付き物。
とはいっても、春を売っているわけではなく、仮面やアクセサリー、メイクを施してくれるサロンのような場所です。

ベビードールみらのさんにまゆみさん、スタッフの皆さま、ありがとうございました!



そして我らが海軍バンド。ヴォーカルお二人と共に歌いあげました。


IMG_2472.JPG

プライバシー保護のため、敢えてピンボケ写真です。ごめんなさい。

IMG_2507.JPG


今までのライヴで最高に盛り上がったと言えるくらい、お客さんに盛り上げて頂きました。嬉しかった。

みんなと演奏すると一瞬で青春時代に戻ります。(まだ青春まっただ中なんだけど)
音楽はもちろんいいものだけれど、大人数で集まる、しかもご機嫌な編成は格別ですね。
パンダオケのみんな、愛してます。

それに引き換え、僕の司会はこれまた史上最強にグズグズでしたが(クダまいてるオッサンみたいな)バンドメンバーとお客様に助けて頂きました。

思うのですが、僕はプレゼントの箱とリボンを用意はしましたが、中身は空っぽのままでした。
中身は即ちお客さんなんですけどね。


中には僕をほめたたえる方もいらして当惑するんだけど、僕は本当に何にもしてないんですよ。何もできない、手を出せないと言った方が正確かもしれない。

うまく伝えられないんですけどね、こう、パーティーの途中で、僕の手をふうっと離れる瞬間があるんですよ。空間が地面から浮くような感じというか。それは普段の狭い店でもよく起こります。

お客さんが僕を必要としない、独り歩きしだした瞬間、結局おきゃくさんは物凄く盛り上がってるんです。恍惚にも近い感じなんです。

そうなると僕は必要ないわけでグラス洗ったり、それを俯瞰してボーッと眺めたりするんですよ。階段の所でタバコなんかふかしながらちょっと孤独な半面、妙に納得したりするんです。

それが好きなんですけどねw

結局はお客さん同士でしか良いパーティーが作れない、というのが僕の持論です。かさねて皆さんありがとう!やってよかったです。


ひとつお願いがございます。昨夜お撮りになったスナップ写真を以下のアドレスにお送り頂けませんでしょうか。もちろん携帯からでも構いません。

今後、皆さんの写真をまとめて、欲しい方にはデータでお配りしたいと思います。カメラマン二名の写真も併せて管理いたします。(ブログ上にはプライバシー上問題なさそうなものを選んで、今後載せるつもりです。その際はこのページに加筆という形で行います)

ご協力お願いします。

lequineguine@mac.com




それと、仮装の力。

お客さん同士が挨拶を交わしたりコミュニケーションとったりするのに、仮装は最高のツールだと思うんですよ。
「それ凄いよね!」
「写真撮ってもいい?」

なかなかTシャツジーパンで簡単に弾む会話ではないですよ。「あなたらしさ」を表現する一番端的なツールですもの。たまにはいいよね。

趣向や志を同じくした大人が主張しながらもどんどん交流を深めていく。その場を設えて提供するのは僕のライフワークです。


無いものは作る。遊ぶ時は死ぬ気で遊ぶ。



・・・なーんて。で、次回はいつにしようかな。

きっと、たまにやるから面白いんですよね。(オリンピックもワールドカップも毎年やってたら有り難くないし)

とはいえ、次の企画を考えてたりします。

今度はビッグバンドにストリングスとハープ、ダンサーも入れて、レビューみたいなを事できたらいいなぁ、なんて思います。

ダンサーは燕尾服・ドレス、オーストリッチの巨大な扇とかもう完全に回顧主義。マリリンモンローの「Daiamond is a best friend」みたいなのがいい。したい。

1920年代、狂乱の時代。禁酒法時代のショウビズです。ああ、素敵。

僕はイタリア系のボスで、バンドはギャングの子分のコスチューム(またかよ)。
楽器の腕自慢のギャングが集まって、趣味が高じてショーを開催しました、みたいな設定で。

お客さんは新聞紙敷いて寝そべったり、野次飛ばしたり、弁当食ったり林檎かじったり、居眠りしたりダンス踊ったり。もちろん仮装でもいいし。

そんな気さくで自由で暖かい、豪華であか抜けたイベントをいつかできたらいいな。

10周年までに貯金できるかな。



長らくパーティー準備室にお付き合いいただきましてありがとうございました。

次回のブログはNYC旅行記の続きです。(あんま覚えてない 汗)

今日からまた普通の営業に戻ります。


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