三島由紀夫「肉体の学校」

 
戦後の東京。

核となる浅野妙子はオートクチュールのデザイナー。彼女は旧華族の元夫人であるが、上流社会に食傷気味である。

唯一気が置けない女学校時代からの遊び仲間の2人と、月に一度の定例会「豊島会」(年増に引っ掛けている)には皆着飾って集い、隠語を用いて話に花を咲かせる。

妙子は年齢を重ねたとはいえ、まだまだ美貌を売りに出来るほどの容姿に加えて、ハイセンスな趣味の着こなしを楽しむだけの余裕がある。


三人は話のネタに訪れた池袋のゲイ・バァにて野性味と貪欲な生命力に溢れる青年「千吉」と出会う。彼は生活苦のために美貌と肉体を売る職業ゲイ、所謂「食われノンケ」である。

彼女はこの美しい青年にどんどん引きこまれてゆくが、、、



最初のデートの時、妙子は将軍の出陣さながら、これ以上ないエレガントな装いに全身を包んで出かけた。

しかし千吉は怪しげな革ジャン、Gパンに下駄をつっかけて現れ、妙子を失望させた。千吉は朝鮮料理や焼鳥屋を物色し、最後は歌舞伎町のパチンコ屋でひと勝負始める。

妙子は旧男爵夫人。とてもついていけないとばかりに外で待つが、通行人にパンパンと間違われ、さらにみじめな気分になる。

しかし、千吉のどこか憎めない少年のような粗暴な振舞い、はち切れそうなGパンの太ももの膨らみに命の輝きを感じる。

次回はダンスをしましょう、と二人は別れる。


後日、デートの当日。妙子は臙脂色の徳利セーターを引っぱり出し、時代遅れのスカアト、一番地味なキャメルのコオトを合わせて、女詩人のように髪を雑にまとめ、どうやったらGパンの恋人になれるか思案していた。



待ち合わせの場所に現れた千吉は、一分の隙もないスーツ姿であった。

一目でわかる英国製の渋い格子柄の焦げ茶のスーツ。素晴らしく好みの良い伊太利製のネクタイ、チーフ。決して借り物ではない、鍛え上げられた体にぴったり吸いつく形。

店内の人間はみなこちらを注視している。皆、この水際立った男前に、ただ見とれていただけである。

妙子は呆れて、しばらく物が言えなかった。



三島由紀夫 「肉体の学校」

(前半、大体こんな内容です)


***






僕はそもそも、このブログの書評欄にあるとおり、成り上がりのストーリーが好きです。成り上がりこそ人間普遍のドラマです。

それは崇高な自己実現であり、時に復讐でもあります。人は成り上がるために最も自分に合った方法を見つけ、自分を鍛錬し磨きあげ、勝負に出ます。

時代背景は特に戦後が好きです。混乱期の方が話が盛り上がり易い。

一番好きな作家は有吉佐和子

僕の好きな多くの主人公は有吉佐和子の描く芸者さんや娼婦の半生、殊に女性の場合が多いんです。ってか、ほとんど女性。

僕は女性の友人が少ないのですが、これは面白い現象だと思います。

僕が仮に誰かに「何のおたくですか?」と聞かれても、僕は音楽でも骨董でもお酒でもない、
(好きだけれど人に語る程ではないというレベル)

「有吉佐和子おたく」だという事に気付きました。


彼女の小説には匂いがあります。廓のシーンだと鬢付け油の香り、戦後の焼け野原のバラックのシーンでは瓦礫の焦げる匂いがしてきます。



緻密な人物描写と、膨大な時代考証の跡でしょうか。ある小説で芸者屋のシーンを描く時、お座敷に通い詰めたそうです。



しかし、ほとんど読みつくしてしまった。そう、存命作家とは違って次回作が出ないんです。(当たり前か)

で、最近は三島由紀夫。

独特の虚飾の極地のような文体が苦手で手もつけなかったんですが、最近歳を食ったのか素直に向き合えるようになり、よく読んでます。

彼の小説も有吉佐和子然り、登場する人物はみな、生き生きしています。様々な時代に一所懸命に生き、そして死んでゆきます。

「猟犬のような白い歯を見せ、笑った」
「日に焼けた肌は麦畑のような輝きをもち」
「大きな鉢に満々と湛えられた乳のような白い肌」


美しい比喩の洪水です。




冬の寒い夜、読書なんて如何でしょうか。

ちなみにお店は寒いせいか暇です。
(早く閉める日もあります、念のためお電話下さいませ)


よかったらどうぞ。





僕の音楽遍歴



よく人から聞かれるんですけれ、「何歳ごろから音楽やってたんですか?」と。

そういえばあんまり考えた事なかったんですけど、小さい頃は別にして、自分の音楽性を時系列で考えた事がなかったので、ちょと振り返ってみました。

もう、ジャンルを問わずグチャグチャなんですよ、これが。

ハードロックと邦楽以外は大体触れたかな、というような感じで、飽くまで浅く、広くなんですけど。

今思えば飲み屋を開いて、そこで「音を楽しむ」にはもってこいの遍歴だったかもしれない。専門的な音楽教育はピアノとヴァイオリンの先生に習っただけ。

この、「浅く広く」に抱いたコンプレックスと、助けられたお陰で今は毎日飯を食えていたりします。複雑。


まず、ピアノとヴァイオリンの先生。

前に書いたかもしれないですけど、また書きます。

誠に尊い恩師で、同時に僕の人生で出会った一番キ〇ガイな人だと思う。それは生涯変わる事がないと思う。

白髪のオカッパで前歯が一本欠けていて、いつもスーツに真珠のネクタイピン、穴のあいたカンフーシューズ。

鼻がイタリア人みたいに高い。彫が深いのに目は東洋人っていう。

その先生は京都市から電車で30分くらいのところにある長岡京市の、山を分け行ったところにある農家の、そのまた奥の竹林の中にある納屋のような一軒家に住んでおられた。


なんでそんな辺鄙な所に住んでいるか、というと、もともとは市内の音楽教室にて教鞭を取られていたんだけれど、1レッスン5時間も教えるから、教室の社長と揉めて追い出されたのである。

僕も漏れなく5時間コースで、僕は中学生辺りから6時間になったりした。

教室に着くと先ず横に寝かされ、先生が整体をするのです。後に習得なさったカイロプラクティクに変わりました。

その後は太極拳。気功も月に二度、ありました。


で、やっと始まったかと思うとソルフェージュ。楽譜をドイツ音名(c.d.e.f)とイタリア音名(do.re.mi.fa)でそれぞれ歌わないといけない。歌わないと永遠に楽器を弾かせてくれない。

これがまた込み入っていて、ハ長調の曲ならラッキーなんだけれど、ニ長調なら#が二個付くわけで、それを各音名で歌え、とこうなる。

半音階の読み方はまた別に決まっていて、下から(ドレミファソラシドに)半音階を入れると、ド・ディ・レ・リ・ミ・ファ・フィ・ソ・スィ・ラ・リ・ティ・ド。これは前音が#すると、という考え方。

下がってくるときは基本の音が♭するので、音名が変わってくる。
ド・ティ・タ・ラ・ロ・ソ・サ・ファ・ミ・ミェ・レ・ロ・ド、となる。


加えてドイツ音名はツェー・チス・デー・ディス・ゲー・ギス・・・  下りは・・・



頭が痛くなってきた。


しかも、楽譜の移調読みも要求される。「C調の曲をB♭調に読み替えてやってみてください」とかそんな調子。その頃は何とか出来たんですけど、今は出来なくなった。

でも、この頃の貯金で簡単な調なら移調出来るようになったんです。多少のカラオケキーチェンジもバッチリ。先生、当時はバカにしていたけど、今になってありがとう。飯の種にさせて貰っています。


で、やっと曲、ここからは情緒とテクニックの世界。恐ろしい比喩の連発と、容赦ないテクニックの追求。



ここに先生のテキストがあります。(この間整理してて見つけた)


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表紙になにか書いてあるぞ。フムフム。

「美より美しいものは変化である。
楽曲の背後に隠れている音楽を美ならしめているものは無限の変化を可能にするテクニックである。長い時を経て、ようやく知る尊さを秘めた宝玉のように。
揺れ動く光こそ、音楽美の本体である。」


当時、中学1年生・・・。容赦ないよなぁ。


中身はこんなです。

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全部手書き。3冊か4冊が全部こんな調子、100ページ以上はあったな。

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うわ、中から紙が出てきた・・・

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1レッスン5時間で5千円。そりゃ追い出されますわ。


レッスン内容は次回に譲るとして(今日のブログはまだ先が長いので)、ともかく素晴らしい教育者でした。
残念ながら今の僕のヴァイオリンの奏法にはテクニックの片鱗もないけれど、若く、人より繊細だった僕の五感から、あらゆる文学的比喩をもって、情緒という情緒を引きずり出してくださった。

恐ろしい博学家でもあり、この世の森羅万象を体系的に把握しておられ、必要な時にその都度、遠慮気味に解説をして下さった。

でも。変なところもたくさんあった。

四畳半にグランドピアノが設置されているそのご自宅には、靴下を干すフックにコンドームが干されていたり、ビニールシートを床一面に敷き詰めて湯沸かし器でシャワーを浴びていらしたり(いつもより早めに伺ったらそんな事態に)、近所のエホバの証人の信者さんに、「あなたのような質素な方には感動する」と野菜を貰ったりしていた。

家の床から筍が生えていた事もあった。

数年前、懐かしくて訪れたら土地ごと更地になっていた。ひええ・・。

先生、元気かなぁ。

先生のヴァイオリンの演奏、ちょっといないくらい優雅で詩的だった。翼が生えたような音色。


出来るものなら、もう一度聞きたい。



***


そんなこんなで中学時代、並行して続けていた吹奏楽部でアンサンブルの楽しさを知ります。

冴えない厨房が集まってヘボ楽器が奏でるワーグナーの旋律。そこには紛れもなくザクセン王国の悠久の響きがありました。

中学時代はクラリネット。

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何でこんなブサイクなんだろう。男性ホルモン足りてない感じ。


高校生になってもまだ続けています。
クラリネットが第一希望だったんだけれど、「クラじゃないと生きていけない」とゴネる女子の為に僕が犠牲になり、コントラバスに。

楽器まで買っていたのに理不尽。

しかも、この学校はマーチングバンドなるものも並行して盛んに活動していた。またしても男子だというだけでバスドラム。(写真はまだ小さい方で、普段はこの1,5倍程のを使っていた。当然前なんて見えない)


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この楽器には何度も泣かされた。

子供が指をさして笑う。諌めながらもお母さんもケラケラ笑う。
河原での特訓の為に自転車で走っていると「カタツムリ」と同級生にからかわれる。
なんせ重いので夏場は汗が止まらない。
突風が吹くと楽器ごと吹き飛ばされる。



隣では、ゴリラみたいな顔の女が涼しい顔をしてフルートを吹いていた。



人生のうち、最も繊細な年齢で、しかも貴重な三年間の音楽生活を男子というだけの理由で、巨大な低音楽器にあてがわれるという理不尽。差別じゃないか。

そう、学校なんて理不尽の塊みたいなところだった。

今ならどっかの市長経由で教育委員会に訴えれば何とかなるのかしら、なんて考えてしまう。





低音地獄を払拭するかのようにヴァイオリンも弾いていました。
この頃は上手だったのに。今じゃ本当に酷いモンです。レッスンやめてから、どこかで癖がついてしまったんだろうか。


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コントラバスを弾けるなら、ベースも弾けるだろ、と安易なオーダーで高校時代はバンドをやりまくっていました。
TUBE、XJapan、ドリカム、プリプリ、サザン、もう何でもやった。

にしても、このマスタードイエローのシャツに黒いスーツ・・・。どういうセンスなんだろ。曲は米米クラブだったような・・・。

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同じく高校時代。

右にいる先輩、、、、天才ミュージシャンなのです。忘れられない方のお一人。

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・・・・・ん・・ちょっと似てるかも。


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ドラム担当だったんですが、ある日「聞いてよ」と渡されたテープ。

中にはボサノヴァ。合唱団付きの、かなりモダンなアレンジのフルバンドで、恰好いいったらありゃしない。

翌日、「これ凄いいいっすね!誰のですか?」と聞いたら、全部自分一人で多重録音した、というツワノモ。


二人で、四条河原町の阪急前でストリートライヴなんてよくやりました。ヒット曲のいい所を繋げて、デタラメの歌詞を付けて、ラテンビートで演奏するというむちゃくちゃなバンドでした。

先輩の十二単を纏ったジャケットで(歌詞カードは色紙を散らした感じのデザイン)デビューしたら、今なら絶対売れると思う・・・。バンド名は「大鏡」(万が一見ていたらごめんなさい)


その後もラテンブーム。サルサバンドに最初はフルートで入れて貰います。後にピアノに転向。
大阪、中の島の野外音楽堂でサルサフェス。ラテンの何たるかも判らないまま、熱いビートに体をくねらせていたあの若い夏の日。

Eddie palmieri、Tomy Olivencia 、TIpica73'とか、よく聴いたなぁ。

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とにかく音楽漬けの日々。お金がないので個人でスタジオに入れない。

その分、公園で、河原で、屋上で。弦楽合奏したりブルースやったりジャズやったり。
近所のおばさんに追い出されたり、犬に追いかけまわされたり、散々な思い出もありますが、やっぱ楽しかった。

しかし貧乏で。どっちかと言えば極貧。家賃を払うために楽器を売った事もあった。






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家は四畳半で風呂なし共同トイレ、家賃12000円。多分京都で最安値だったと思う。

お金ないから仲間と野菜しか入っていない鍋やったり、近所の川で泳いだり、大型ごみの集積所から拾ってきた廃材で楽器作ったり、髪を切り合ったり、とにかくお金がなくても遊びなんていくらでもあった。

アパートの住人にブルースハーモニカの人がいて、その人も僕に負けず貧乏で、よく遊んだな。

お金がない分、想像力が掻き立てられたのかもしれない。むしろ感謝しないといけないんだけれど。


その頃撮ったアパートでのわたくし。お腹が減り過ぎて目がギラギラしています。毎日おなか減っていたかもw

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・・・そして時は経ち、この10年。

お店を始めて少しして、ちょっとお金が入ってきたと思ったら、すぐにこの始末。パリにオペラを観に行くとかで、ドレスコードのある公演日(ガラかなんか)だったんで作ったような。もちろん今は着ようとしても入らない。

着る気もしない。

貧乏人が銭を手にすると、本当に恐ろしい。

この後、人生でも勘違いの混迷期が続きます・・・w

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そうそう、音楽遍歴だった。


年齢のせいか、ストリートで、とかの無茶はしなくなりました。

結婚式で弾いたりとか、自分のお店のパーティーで弾くくらいになってしまいました。
自分のパーティーはやはり自分が中心にいるのでなんとなく落ち着かないのが正直なところです。

逆に、結婚式で弾くのは心から大好きです。

根っからのBGM体質なんでしょうか。

もし機会があったら超特急客室のサロンとか、客船のピアノを弾いてみたい。(腕があれば)


IMG_1798.JPG


あ、数年前に一度だけ、二子玉川の駅の前でストリートやりましたけど、それが最後。
恥ずかしくてダメだった。

そろそろ何かしますかねぇ。うーん、もうやんないだろうな・・。






今日の反省

 
今日も本当に沢山のお客さんが来て下さいました。

殊に、最近暇な週末が続いたので喜びもひとおし、本当に有り難い事です。


ただ、ちょっと欲が出てしまいました。



うれしくてどんどんお入れしちゃったのです。

ううん、我欲というよりも、お断りするのが申し訳なくて。

四階まで上がってきていただいてにべもなく断るのはあまりにも忍びない、その想いもある。

いつもの葛藤なんだけど。


でも、キャパオーバーの上にお客さんを招いたら、中の人が圧迫される。


ただそれだけの事。


特にドア付近の人は完全にスクラップ状態になる。


それが面白くて好きな人ならいいけど、決してそうでない場合もある。嫌な方が多いと思う。


今日の場合はお断りするべきだった、と今は思う。

(某さん、ごめんなさいね。)


今後は以前にもお願いしていたように、4人以下での御来店に限定しようと思います。

だって、椅子6個しかないもの。

広いお店はたくさんあるからね。一人の人でもゆっくり楽しめる環境を作りたい。

僕が若い頃に通わせてもらった多くのBARがそうであったように。





明日はまた頑張ります。節分なので恵方巻き用意しようかな。


皆さま、良い週末を!




また取り付け工事(昨日の続き)

 

今日は節分でしたね。皆さんは豆や恵方巻き、召し上がりましたか?

漬物用重箱に盛りつけて、お店でも振舞いました。南南東だそうで、ちょうど窓に向かって食べるとその方角でした。

はい、パクリ!

DSC00590.JPG






で、昨日の続き。


少人数での御来店を浸透させるキャンペーン。まずは4人以下で、と決めよう。


やるとなったらすぐにやる。


そうでないといつまで経っても終わりません。


「4名様以内での御来店を待っています!」というメッセージをドアの手前でキレイに見せたい。

前は張り紙だったので、暫くすると破れたりしたので早々に片づけてしまった。そもそも余り目にとまらなかったと思われる。

では、今回はキチッと作りこんでみよう、という事で早速、世界堂と東急ハンズに行ってきました。

まずはどう見せるか。ポスターを発注するのか、ドアのシールを再加工するのか。テキストだと目立つようにしないといけないし、、、それで伝わるのか。


やっぱり額に入れて英語中心でスッキリ見せた方がいいのかも。会員制というのも表記しないといけないな。

店に合う、シックな額が欲しい。あんまりロココなのはもう飽きた。

世界堂でザッツレトロな額があったので購入。傷がいっぱいあったので3割ほど引いて下さった(あんま気にならない)


盛大にドリルで壁に穴開け。今までにもう何回開けたっけ。判んないくらい。

毎回、恐怖を感じる。刃が折れて飛んできて目に入って失明したらどーしよ。


まだ折れたことないから、確立としては低そうだけど、さ。



オレンジの(名前知らない)を金槌で打ち込む。



DSC00601.JPG


で、額を取り付ける。今回はお金がないので手書きにした。額にフックを付け、それを螺旋で固定。前後にズレないように4ミリのナット2個で金具を挟み込む。

小さいからわかんないですよね(汗

DSC00602.JPG



完成!!

イメージは昭和20年代の進駐軍に接収されたジャズバー、です。英文はなるべく短く、しかも砕けた感じで伴侶にお願いしました。

本当に、キラキラ、チャラチャラは飽きました。7年前だったら彫の入ったゴールドかなんか付けかねない。


店の中も、シブくて質実剛健、かつ黒光りしたような武骨な雰囲気に替えていこう。

(もう歳だし)

DSC00613.JPG



ついでにお手洗いのサインも。これは高円寺ルック商店街の巻きでフランス雑貨屋で250円だったもの。いい買い物です。


DSC00614.JPG



***



そうそう、昨日から水槽にブツブツがあるな、、、と気になっていたんですが、



金魚が卵を産んでいました。

下の黒い流木の斑点、判りますかね・・・?


ということは、コメットさん2号はメスだったのか!!!

知らんかったわ・・。

一匹なので、当然の無性卵。可哀そうに、2,3日でカビが生えるか親に食べられてしまうそう。
もし有精卵なら5日で孵って、金魚だらけになったらしい。見たかったなぁ。

DSC00610.JPG

子持ち昆布そっくりです。あわわ。


消えゆく卵を眺めながら、彼女は何を思っているのでしょうか・・。しきりに卵を気にしている様子だけれど。


***

残った恵方巻きを食べながら、また思い返す。


市川団十郎さんが亡くなったニュース。


居合わせたお客さんから聞いたんだけれど、まだ信じられない。

恵方巻きを買う時に、助六弁当(助六の恋人、揚巻花魁の名前を油揚げの稲荷寿司と海苔巻きにかけている)から市川団十郎の助六を思い出したばかりなのに。

折しも最後に拝見した歌舞伎座、サヨナラ公演の時の演目が「助六」でした。

まだ、勘三郎さんの思い出のブログも書いていないのに・・・。
一体、どうなっているんだろうか。



さぞ無念だったでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。



海苔巻きが重い味に感じる、節分の夜更けでした。



おやすみなさい。

将来の夢なんて語ってみます

 
僕が眠るときに見る夢が、まさに将来の夢だったりする事がたまーにある。

3年に一回くらい、明確なヴィジョンで、生々しく再現される。夢っても、未だに手に付いたカフェオレを拭った白いトーションの温もりと香りも覚えている。


今日のような2月で温暖な日は、そういう夢をみたくなるような小春日和です。(今日の東京は2月なのに何と18℃!!)

今日はまさにそんな夢をみました。生々しい、起きぬけにしばらく感動するようなリアルな夢。

長文です。

***


そう、僕の夢は古き良きパリのビストロのようなお店をしたいんです。子供の頃からの夢です。今はそのためにお店をやっているような所もあります。



どこか、気持ちいい公園沿いの深い緑の前に佇む、瀟洒な館。

狙っている場所は、新宿御苑北側の桜の木が一本だけ植わっている、コインパーキング辺り。両隣りには花屋とパン屋さん。勿論、仲間で誘致して業務提携します。


テラスは通りに面していて、黄緑とベージュのストライプのオーニングが軒から優しい日陰を作る。
椅子は籐製で、赤の差し色の意匠がアクセント。

道路からもパンの焼ける匂いがする。

石組みの階段が三段くらいあって、オークの板張りの店内。

店内は薄暗く、使い込まれたアンティークの内装。壁はモスグリーンの織物と、焦げ茶に磨かれたモールディングパネル。古い写真の額が無数に掛っています。


敢えてシャンデリアはクリスタルパーツではなく、ベルエポック期の球体の電球のランプ。曇りガラスで出来ていて、ほんのり肌色。

テーブルには色とりどりのオールドローズが咲き乱れる。

正方形に近い、ダンスホールのような店内の壁沿いに、純白のクロスの掛った料理屋さん。レストランというよりもビストロだろうか。


スタッフは全員、とにかく色んな種類のいい男。

そこで働くのが夢とその頃の若者に言わしめんばかりの綺羅星のごとき彼らには、それぞれデザイナーに作らせたシャツ、ネクタイ、ベストを着せる。

全員、黒の制服に白シャツが基本なんだけれど、顔に合わせて少しずつ襟やベストの形に意匠を加えてもらう。そして、他の誰にも貸し借りはしないルールにする。そう、クチュールの制服。
夏場は全員白麻のセットに変わる。

筋肉自慢の奴には袖を捲ってもらうし、華奢な子には素晴らしくエレガントな縫製のベストを着せる。店員たちはお客さんからチップを頂く。そう、夢の歩合給。ギャルソンは人間そのものも商品なのだ。
だから他人に追随されない独自のサーヴィスも突き詰められる。

メニューは古き良き、バターの風味を効かせたパリの大衆向けのお料理。

健康志向のローカロリーフードは他所へどうぞ。

前菜は兎のリエットや鱈のパテ、蟹のココット入りセウタなど8品程。
スープは定番コンソメに加えて季節の日替わりスープをもう一品。
グリーンピースのポタージュなんかいいな。そしてお魚とお肉。

日替わりですずきのムニエル、鴨のコンフィ、血の滴るTボーンステーキ。新鮮なタルタルステーキは沢山の薬味とともに樫の木のボールでテーブルにてサーヴ。

山盛りのフリット(フレンチフライ)は名物の味で、各テーブル山盛りになっている。

食器は全て銀器で提供する。これは絶対、メッキでもリプロダクトじゃないオリジナルのアンティーク。武骨な男の料理屋です。銀器は少々歪んでても擦り切れていてもいい。毎週閉店後にビールを飲みながらスタッフ総出で磨き上げる。



ワインはお安いハウスワインから、ヴィンテージまで各種。シャンパンもワゴンに乗せた巨大クーラーに氷漬けになっている。



そして、当店の売り。


お店の客席が壁沿いに配置されているって書いたけれども、客席中央にはお決まりのピアノがどどーんと置かれている。
フルコンサートの一番大きい奴。もちろんアンティークで、艶のある海のクジラみたいなやつ。

ここは当レストラン名物の文字通り、ピアノバー。ピアノの蓋の上に酒瓶とグラスがセットしてあって、ちょっとしたバーになっている。ポートワイン、グラッパ、カルヴァドスなど常温で提供出来るもの。


ピアノバーは何に使われるのか。

別のチームで来ていた常連仲間と乾杯するのもよし、気になるお客を招いて思い切って話をするもよし、それぞれのテーブルに呼んだりお邪魔したりするのが憚られる時にそこにピアノを聴きに行く、という体で中継地点としてあつまる場所にしたい。

混んでいる時の次の料理待ちのウェイティングバーにもなる。

そして、ピアノを弾くのは50代に差しかかった、白髪交じりの苦味走ったイイ男集団の代表を務める、僕(汗)

僕の再雇用先です。


洗いものもするし、ビール樽も運ぶしピアノも弾く。

「あの従業員だけジジィだよねぇ、、、ヒソヒソ」と陰口叩かれて、実はオーナーだった、っていうのやりたい。


そりゃ、生涯現役でいたいですよね・・。



まだまだアイディアなら。

宴もタケナワ、盛り上がった客席には、ちょうどホテルのポーターが押すような真鍮の台車が登場。そこには弦楽四重奏の楽器のセットが。スタッフの中に何らかの楽器が出来る人間を採用して、誕生日なんかのお祝いには2,3曲演奏出来るように。

ちょっとくらい音程が悪くてもいい。寧ろ小慣れ過ぎていない方が好感持てるな。長エプロンのままぶっきら棒に弾いて、顔真っ赤ですぐ厨房に引っこんで、みたいなほうがいい。(僕は演奏後にドヤ顔されるとなぜか悲しくなります。)

壁にはガラスの貼った薄いケースがあり(お店で木管楽器を入れているような)、中にはレトロなスイッチが沢山並んでいる。そこを押すとお店の景色が一瞬で変わるようプログラムされていて、シャンデリアがウインチで巻きあげられてミラーボールが天井から出てきたり、床に奈落があってちょっとした手品が出来たり。

また別のスイッチを押すと本棚に見せかけた壁がスライドして、小さな僕のオフィス。
中には小さなデスクと、パソコンと本棚がある。

そこは楽譜のライブラリーになっていて、ウィンナワルツからヨハンシュランメル、チャップリンからモリコーネまで。

ちいさな窓から並木の緑からの木漏れ日が眩しい。


中庭には苔がむした噴水と、白鳥が飼われている。愛称はチャイコフスキー。常連さんは「ああ、チャイコフスキー、またウ〇コしてるよ、可愛いな」みたいな会話が日常的に行われる。

噴水の上には葡萄の棚。ブドウの実る頃にはチャイコフスキーに葡萄をちぎって与える。

噴水には金魚と、季節には睡蓮が咲く。


お店の奥にはガラス張りのシガールーム。ウッド貼りの壁板に腰壁、明るい焦茶のソファセット、棕櫚の鉢植えと半開きのブラインド、ガラスには古い金のペイントで店のロゴを入れる。


天気の良い、残念ながら暇な日はピアノを敷地ギリギリの路の所まで出す。
スタッフでジャンケンして、負けたやつがピエロのメイクをする。ボンベを使ってヘリウムの風船を膨らまして近所の子供に配る。子供が集まってくる。宣伝のために昨日の営業で残ったパンをラスクにして配る。お母さんにはすかさず、二つ折りの厚紙に印刷したメニュー。

週末の営業後にはみんな腕まくりして、シャッターを閉めてどんちゃん騒ぎ。ここには一般のお客さんは入れない。僕の仲間の口コミで、完全会員制のクラブにする。

入口はレストラン脇、植え込みの陰にあるゴミ収納庫の扉。裏通りに面していて、実は営業後はここが入口になっていて、正面から入らなくてもバレない。暗証番号のスイッチとカメラ付き。



クリスマスや創立記念日、長い戦争が終わった次の日曜日(・・・これは冗談)にはお店のテラスの石段にオーケストラが正装して居並ぶ。スタッフだけじゃ足りないので、お客さんにも応援を頼む。

曲は花のワルツ、メリーウィドウ、ジュ・トゥ・ヴなんかの親しみやすいのがいい。レ・ミゼラブルの群衆の歌を替え歌にした店のテーマ曲・・・は、ちとやり過ぎですよね。汗



おもちゃ箱をひっくり返したようなレストラン。音楽が本当の意味で日常にある、とっても非日常なご飯屋さん。美味しいものを当たり前に美味しく料理して出す。

カラメルとバターを焦がした匂い、カトラリーのぶつかる音にかすかなバラの香り。
カフェオレのミルクをスチームする音と、ヴァイオリンをチューニングする音。

ケヤキ並木の木漏れ日。

従業員たちの絶えない笑い声。





誰か、1億ほど貸して下
さい。


白鳥とか僕のオフィス、床の奈落など、いらないプランを省いたら割と実現できると思います。


ちなみに、建物が鉄骨ガラス張りの温室バージョンは3億円からのコースとなります。熱帯の植物の中で、南国の鳥を放し飼いにするんです。あわわ。

おしまい(つづく)

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一の糸 (新潮文庫)
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有吉 佐和子
何不自由ない造り酒屋の娘茜は幼き日に目を患い、その時連れられて聞いた文楽、露澤清太郎が奏でる三味線の音に恋をしてしまう。大正から太平洋戦争後にかけた女の一大抒情詩。乗馬を好む娘、宝石や宿屋を惜しげもなく買い与えるおおらかな母、その後の茜の命を賭けた壮絶な苛めとの戦い、本物の芸に賭ける壮絶なエンディングと、読みどころが随所に散りばめられた文句なしの女流文芸娯楽作品。

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悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))
悪女について (新潮文庫 (あ-5-19)) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
公子という一人の貧しい女が中華屋の仲居からスタートして何百、何千という嘘を重ねて戦後の混乱期にのし上がる様を描いた作品。嘘を重ねると言っても、無論、それだけでは決して成功はしない。夜学に通って簿記の試験をパスし、自らの美貌を磨いて出会う男を翻弄し、汗まみれになり生き抜くさまは寧ろ潔い。とある事件後の週刊誌記者による聞き取り調査と云う一風変わった文体で綴られる全編は、時を忘れ、あっという間に読めてしまう。中でも、登場スr数々の大粒の宝石の描写は秀逸。「取材魔」の異名を取る有吉文学の中でも比較的軽めな現代もの。特に初心者にお勧めの一品。

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女系家族〈上〉 (新潮文庫)
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山崎 豊子
船場に続く大商家の物語。入り婿の父が突然亡くなり、残された三姉妹が遺産相続を期に豹変を始める。狡猾な大番頭、突然現れる妾の存在に、三姉妹は関係を結んだ男の入れ知恵や様々な駆け引きを繰り返し、遺産を減らさぬよう奔走する。団結した三姉妹と叔母が妊娠したと思しき妾を抑えつけ、懇意の医師が器具を用いて検査を始める妾宅での描写は、昭和女流文芸史に残る陰惨な情景と云えるだろう。

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昭和初期の船場に三代続く女系の老舗足袋屋に生まれた男の半生を描く。女親に反発するかのように愛人を4人も囲いながらも商売に精を出す主人公。迎え入れた新妻の妊娠を探るために肥溜めを棒で掻き回す姑と大姑の陰惨な嫌がらせ、襲名披露の配り物がたった足袋一足だと聞いてケチだと馬鹿にする参加者を尻目に、実は踵の留め金具が純金製で帰宅した一同を仰天させるエピソードなど、船場の粋と意地が詰まった珠玉の作品。

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針女 (新潮文庫)
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有吉 佐和子
出征した帝大出の弘一が残した青春の遺書を胸に、パンパンや闇成金の持ち込む針仕事に打ち込む孤児の清子。彼女は過去に踏んだ針が体を周り運悪く跛(びっこ)になるというハンディキャップを持つ。復員した夫は戦争のせいで性格が豹変しており・・。パンパンや気違いといった現代では禁止用語の登場人物が行き交い、戦後の混乱期をそのまま原稿用紙の上に広げたような生々しい作品となっている。

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連舞 (集英社文庫)
連舞 (集英社文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
昭和初期の日本舞踏の一大流派、梶川流の栄枯盛衰を描く。先代家元の妾の子に生まれながらも伸び悩む自分の踊りの才能、踊りの天才と謳われる性格の悪い妹、妹しか愛さない母に悩まされる青春時代。しかし、GHQ接収後のアーニーパイル劇場での歌舞伎ショーにてストリップを強要され、大逆転の末成功となり、家元夫人にまで上り詰めてしまう。忌わしい過去と出自に翻弄されつつも、過去をねじ伏せるかのように踊りに邁進し、遂に芸の道に境地を見出す主人公、月の直向な横顔が涙を誘う。

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明治のお嬢さま (角川選書)
明治のお嬢さま (角川選書) (JUGEMレビュー »)
黒岩 比佐子
明治期の令嬢の実態を探る。たしなみ、学力、美醜の葛藤、結婚生活まで多岐にわたる。面白いのは多くの令嬢は今と変わらず贅沢品に執着したらしく、友人の持ち物を嫉む生々しい手紙なども解説入りで紹介されている。その他、当時の流行の髪型や美人術、痩せる薬などの広告資料も収録。

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宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして
宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして (JUGEMレビュー »)
高谷 朝子,明石 伸子,太田 さとし
千代田の森の奥深く、宮中賢所に57年お住まいの神職の女性の半生を描いた作品。下界と分断された森の中で祈りを捧げる日々。厳格な穢れの区別(下界のものに触れると潔斎しなければいけない)、四足のものは食べてはならない、毎朝数時間かけて髪おすべらかしに結うなど驚愕の生活と共に、日本古来の自然に寄り添った質素な習慣を紹介する。

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朝香宮家に生まれて
朝香宮家に生まれて (JUGEMレビュー »)
北風 倚子
渋谷・松濤の鍋島公園一帯は戦前、広大な鍋島侯爵邸であり、著者の住まいであった。大空襲で火の海になった屋敷を逃れ、昭和という時代を生き抜いた、旧華族のお姫様の生涯。

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社長 島耕作(8) (モーニングKC)
社長 島耕作(8) (モーニングKC) (JUGEMレビュー »)
弘兼 憲史
言わずと知れた島耕作シリーズ単行本。長い経緯はさておき、弊店が表紙になっております。店主もタキシードでモデルを致しました。
是非お買い求めくださいw

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梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫)
梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫) (JUGEMレビュー »)
小田部 雄次
佐賀藩主鍋島家令嬢伊都子。彼女はのちに梨本宮に嫁ぐが、明治から昭和に渡って77年間日記を残していて、その様相は「書き魔」と言わんばかり。初の洋行先のパリで買い物の様子や婚礼、即位式などの華やかな思い出を経て、戦中戦後の倹約の様子や時代に対する落胆ぶりなど。往時の匂いが漂ってくるかのような生々しさ。著者、小田部雄次の解説が当時の世情をわかりやすく補ってくれる。

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写真集 酒井美意子 華族の肖像
写真集 酒井美意子 華族の肖像 (JUGEMレビュー »)
酒井 美意子
加賀藩前田家令嬢の酒井美意子。マナー講師として厚化粧キャラでメディアに登場した姿をご存じの方もいらっしゃるであろうが、彼女は戦前まで駒場の前田侯爵邸に居住していたことを知る人は少ない。莫大な財産と華麗な人脈を、膨大な写真とコメントで紐解く、いわば現代版歴史絵巻的な写真集。必読。

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極楽商売―聞き書き戦後性相史
極楽商売―聞き書き戦後性相史 (JUGEMレビュー »)
下川 耿史
戦後の性関連産業を裏側の視点から取材した戦後風俗史。進駐軍専門のパンパン宿や性具の販売店、愚連隊、ゲイバー、カストリ情報誌、個室喫茶・・・。戦後の性に携わった人々の汗や息遣いが聞こえそうな一冊。

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京セラ、auの創始者ににして仏門に入った稲森氏が、街の小さな碍子工場を一代にしていかに大企業へと成長させたかを描く。単なるサクセスストーリーに収まらない哲学や思想を散りばめた珠玉の一冊。

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芝桜〈上〉 (新潮文庫)
芝桜〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
我らが有吉佐和子先生の長編。戦前の花柳界を舞台に、二人の女が艶やかに力強く生き抜く。温厚で情緒的な梅弥、狡猾で気ままな蔦代。共に授かった類い稀な美貌を武器に、ただひたすら戦前、戦後の花柳界を生きる。花柳界独特のお茶屋の仕組みや旦那制度、一本や水揚げなど、判りにくい独自の世界がこの一冊でよくわかる。ストーリを彩る、旦那からの贈り物の三越謹製三百円の帯や、大粒の翡翠の簪、英国土産の巨大ダイヤモンドなど、随所に登場する豪華絢爛な衣裳拵えと、それを取り巻く年増女将との丁々発止のやりとりの描写は必見。店主のバイブルと同時に、不動の一位たる女流文芸作品。

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書いた記事数:1517 最後に更新した日:2024/03/25

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