ご報告とか、色々



まずはご報告を何点か。

***


連休のお休み(僕の夏休み)ですが、火曜から水曜にかけてとなります。以前、木曜日までと表記がありましたが訂正させてください!

本日月曜日は9時から12時と変則&短縮営業となります。どうかご理解くださいませ。

二泊三日で伊豆のレトロな民宿に行ってきます!

***

懸案の並木伐採問題ですが、今のところ切られておりません!!

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20日昼と聞いていたのですが、もう明日で一週間。もしかして大いなる力が働いたのでは、、、と勝手に妄想しております。

ああ、もしそうなら・・・。名も名乗らない偉大な方よ。心よりありがとうございます!
(どちらかと言うとそういう展開のほうが夢がある)


もう少し様子を見てみます。



***

いつかのドア改造問題。憶えていますかね?僕も忘れていましたが。

お客様にエドワード鈴木さんという建築家の方がいらしているのですが、たまたま今日も話の流れで内開きのドアの話になりました。

しかも偶然も偶然、2年前くらいのイラストがたまたま昨日棚から出てきていたのです。それをお見せしたところ、お力を貸して下さることになりました・・。

ちょっとビビりました。念願の外開きドアになるか?!

こちらも追ってご報告します。エドワード氏に関してもまたいずれ詳しく書きたいと思います。建築家でありながら資生堂や日産のCMに出演なさっていた、スーパーダンディな御仁。パートナーの百合子さんは美しい白髪の女優さんみたいな美人。こんな事が許されるのか。悔しい。(笑)

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***

浴衣まつり、無事終わりました。むさくるしい男三人でソーセージを焼いては売り、中々屋台っぽくなりました。


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でも、さすがに狭いんです。カウンターも客席も。

しかも浴衣って意外と暑いじゃないですか!



なので、そろそろ屋形船なぞしようかな、なんて思っています。


来年、きっとやります、多分、、。


個人的に乗るくらい、本当は屋形船が好きなんですが、ご存じのこだわりと意地悪さで、いまだ8年も実現していません・・。

今ではそんな事思わなくなりましたが、普通の事はしたくなかったのです。(まだちょっと未練はあるが)カラオケで納涼でも十分楽しいんではないでしょうかねぇ。

過去には本気で企画を取り組んだ時もあったんですが、実現しませんでした。

船上にオーケストラを組み、ヘンデルの「水上の音楽」を演奏しながら障子を開け放って隅田川を下るんですけれど、そんなの周りの船が驚いて注目するじゃないですか。

周りを見下しながら悠々と川を下る。

演奏のサビの処でバロック舞踏団が出てきて、ここからというときにささっと障子を閉める、とかそういう性格の悪いことばっかり考えていました・・・。

意地悪、いけず。それではいけません。

酒と食事と仲間とカラオケとがあれば、それでいいのだ。




でも妄想は尽きない。やっぱ日本の伝統的な遊び。季節感とか歴史が感じられないと。


クラシック音楽もいいですけど日本人ですものね、邦楽もいいですねぇ。

BGMはこちら。聴きながらどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=-pOkRoToo0o



船の名前は「新・壇ノ浦号」

こんな感じかな。ちょっと派手かも。

(イメージ図)

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衣冠束帯か十二単でご参加頂きます。

メニューは平家ガニの天ぷらなど多数。デザートは源氏パイ。

そうなりゃ司会は平家みちよか。ってか誰だっけ、それ?


源平歌合戦の後は八艘跳びコンテスト。成績の悪い最下位チームは罰として水中に落とされます。


ドボン!!



「安徳天皇、おしっかりとお泳ぎなさりませ!!」
「おお、勾玉が浮かび上がって参りましてござりまする・・・」

(イメージ図)

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・・・夕刻、現地解散。希望者は徒歩にて居酒屋にて二次会。

「建礼門院さま、さくら水産はこちらにござりまする・・・」

(イメージ図)

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いいなー、いいなぁ。絶対楽しそう。



んー、肝心の十二単。ネットで調べたら最低価格のペラペラのでも300万はするんだとか。
ちゃんと作ったら億とか・・。

ヤフオク出てないかなぁ・・。もしあったら教えてください。10万くらいだったら即買いかも。



・・・そんなことはどーでもいいんですけど。何かまた面白いことしたい。



***



それでは、明日から旅行に行ってきます。晴れるといいなぁ。





今日は浴衣営業です!

 

暑い日が続きますが皆様お元気でしょうか。


まずはお知らせ。


今年最後の浴衣営業がやって参りました。本日、8月17日であります。今夜も8時オープン。

いつも通りのメニューに加えて、フランクフルトと冷やしきゅうりもやります。

浴衣マスター、けんちゃんの着付けお直しサービスもあります。

新曲、南こうせつの神田川(僕がヴァイオリンと唄)というしょうもない企画もご用意。




今日は神宮外苑の花火大会とあって、店からもっとも近い開催の花火大会となります、どうぞ花火の帰りにでも、会社の帰りでもお立ち寄りください。


***


ベストの続き。


結局、今あるのをお直しに出すことにしました。お金もったいないのと、今あるのが可哀想なんで。

つまりは、ボタン3つ目が最上部になるようにU字に深くカット。
余った2個のボタンを、残ったボタン3つの間に等間隔に配置します。(意味わかりますかね)

これで今あるボタンホールをすべて活かしながら、希望の五個を詰まって配置できる!

天才やんけ、俺!

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今日は実験的に着てみました・・・。動きやすいし、黒は締まって見えるようです。寧ろ、シャツの皺が誤魔化せなさそう。また金かかるわ。汗

これはこれで可愛いのだけれど。やっぱなんか詰襟の学生服みたいだな。


今月いっぱいは名残の麻ということで、改訂版を9月から着用します。


一応解決ということで。ベストを尽くしましたよ!(´ー`)



***


並木伐採問題、まだ着工日ではないのですが、幹に取り付けられた貼り紙がなくなっています。

もしや、どなたかこのブログを読んだ方(もしくは偶然伐採を知った方)の鶴の一声で・・・?なんて想像してしまいます。

そうなら嬉しいんですけど。まだ解りませんし。


ともあれ、期待は絶望の母、その日を待ってみます。

歩道が凸凹しているから、という理由だけで大木が切られるのは、やはりどう考えても悲しすぎますよね。




おやすみなさい。






秋からの制服が届きました・・。


以前の日記の続き。


散々注文を付けて完成したベスト。
さらに金ボタンをオカダヤで買い、付け直し。そこまでしたのに。


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んー、普通。

洋服のことはよくわからんけど、全体に緊張感、締まりがないように見える。重心がどこにあるのか、そういうことも問題にあると思う。





僕の希望はU字の切れ込みがもっと深く、ボタンも下に詰まって狭い感覚になる筈だったんだけれど。電話では伝えたんだけど、もっと数字的なもので伝えればよかった・・・。

形はこんな感じが希望だったんだけど、、、。左のドアのお父さんのベスト。
(パリのマキシム)


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このお父さんは極端な体型だけれど。

U字がもっと下がって金ボタンの感覚がギュッと詰まり、そこだけ見れば武官の制服みたいでいささか時代錯誤なんだけども、くびれたウエストとショート丈によるスッキリした全体のバランスと相俟って洗練した印象もあったりして。

ひとたびボタンにシャンデリアの光が当たれば輝きを放ち、ベルエポックの華やかなりし頃のパリのレストランの洒落た煌きが、、って意味わかんないですよね。


ちょっと着てみた。

やっぱ悲しいかも。イメージと全然違う。

現代のカフェの給仕には見えても、僕の描く古き良きレストランの童話の挿絵みたいな給仕には見えない。

悲しさを紛らわすため、即興でアホな歌を歌いながら写真撮ってみた。営業後なので酔ってんの。

♪「ベストを〜 尽くそう〜」みたいな歌。


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悪くはないんだけど、なんか普通だ。

何が嫌って、この普通な出来栄えに日に日に目が慣れて納得して、逆に気に入ってしまうような流される感じが嫌かも。せっかく作るんだから、最後までこだわりたいじゃん。


なので納得をいくのをもう一枚、作ろう。決めた。



って、日記を書きながらまた検索かけてたらこんなのが・・・。

ウエディング用のタキシードのベスト。社交ダンスの次はウエディングかよ。
高いし、どーしよ。金かかるなぁ。

けど、このくびれったら。シビれる。

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なんでこんなにしつこいか、と言うとですね。人生で二回ほど、こういう服を着るカフェで働く機会があったんです。それぞれ、すごくお洒落な格好いいお店。
けど、僕の人生の周期に合わず、両方のお店とも断念せざるを得ませんでした。


その後(腹いせに)自分の理想の給仕の格好という妄想をするようになり、いつか自分の店を出したら、と描いていたんですけど。

バーを出して、一回も制服なんて考えてもなかったんだけれど、恥を捨てるまでに8年もかかり、秋に向かう今、そのタイミングがやってきたのでした。

なので、こだわっています。


女子のウエディングドレスみたいなものでしょうか・・・。それが一番近いかも。




・・・ってかジャケットも考えないと。

意外と白のジャケットを想像したりしています。あと、クリスマスの12月はこの上から燕尾服を着ようかと。もう恥ずかしいものなんてない。なぜか二枚、持ってたりします。

燕尾服も無意味に憧れが強かったアイテムです。熱病に罹ったように、どうしても着てみたかった。


もう二度と着ることはないと思うので、直して制服にしようと思います。




僕の今の無意味な情熱は、25歳までの欲求不満にほぼ、支えられているような気がします。トホホ。

なんなんでしょうか。

今夜は、どうでもいことを長いこと書いてしまいました。



「踊らん哉」



映画「踊らん哉」


すなわち、「シャルウィダンス」です。


1937年のフレッドアステアの古い映画のワンシーン。お相手はジーンロジャース。



僕のブログの自己紹介にもあります。「僕の店は・・飛び入り・・・・フレッドアステアの舞台のようだ!」多分、そんなんだっけ。


誰だよ、そいつ?と思われる方もいらっしゃると思いますので強制的にご紹介。
タップダンスを含むダンス全般、歌に芝居という(顔は微妙ですが)高齢のアメリカ人にとって神様のような俳優です。



僕は、この動画に色んなものが詰まっていると思います。見るたびに違う事を思うの。

言葉は要らない。単なる求愛のダンスだと思ってます。深く考えないで見て下されば嬉しいです。


モノクロ時代に敢えての黒いドレスと燕尾服。フレッドアステアとジーンロジャーの恋の駆け引きのダンスです。曲はお馴染み、ガーシュイン。これ以上の極めつけのキャステイング、誰か文句あるか。

とはいえ、残念ながらこの映画以降、このコンビ、この様式は下火になってしまう、そんなお話がネットに出ていました。




お盆期間、お暇な方は頭からどうぞ。時間のない方は7分50秒あたりからご覧になってください。


http://www.youtube.com/watch?v=TdoBt-vAX-w&list=FLD3rNqAbr69yM0Oi3CP0JWw&index=5



僕は10分20秒辺りで「よかったねぇ」と泣き顔になります。その後、怒涛のエンディングへなだれ込む。全般的に大好物。

人生の旨み、ともいうべき映像です。社交ダンス習って再現したい。10周年パーリーか。


冗談です。


こういうのって意外と人の紹介がないと見ないですよね。よって、強制的に毎晩貼り付けます。

お楽しみに。








店の向かいの並木が切られるそうです・・・。



悲しいお知らせです。

お店の前のケヤキ並木はもはや名物となっていますが、この20日に2本、突然伐採されるそうです・・・。



IMG_4676.JPG



キャラになく、速攻電話しました。

歩道の舗装工事のため、店の前の部分に関しては一本だけ伐採するとか。理由を聞いたところ、歩道が根っこの隆起によって盛り上がっているから、とか。

もう一本はお向かいの歩道の木。



なんだよそれ。



何か悪いことしたのか、根っこが少し盛り上がった以外に。

木は何も語りません。斬られるその瞬間も。




可哀想に、幹に貼り紙が巻かれています。まるで罪人みたいじゃないか。


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僕は店からボーっと眺めるこのケヤキの並木が大好きです。きっと好きな方も多いと思います。

葉を広げ、季節に応じて表情を変える。道の舗装が木を切り倒すほどに大事な事だとは思えません。

僕にとっては毎日、真正面に見える思い出の詰まった、特別な木です。


ある霊能師の方が、窓から見える景色をマジマジと見ながら、「ああ、すごく守っているなぁ」と仰いました。何のことだろうと詳しく聞くと、この店とビルを守っているのは左から二本目の木なんだそうで、何かあったら「ありがとう」と言ってね、と教えられました。

その日から、何となく左から二本目の木が温かく見えるようになりました。気のせいかもしれないけど。

そんな思い出もあります。


でも、もう伐採することは決定だそうです。20日の昼には伐採されます。


切られるまでの間、ご来店の予定のある方は是非ともよく見てあげて下さいね。


この右側の木です。






IMG_0505.JPG



これが動物だったら、人間だったら、と思うととても複雑です。オープン以来、毎日向かい合って観てきた景色。増してや、斬られる理由が理由なので、悔しい。


決まったことだそうなので何を言ってもダメでしょうけど、今から何か僕に出来ることはないでしょうか。久しぶりに暴れたくなりました。




もう一枚、この子です。

WDFHPIO.JPG




どなたか、お知恵があれば授けて下さい。







風立ちぬ、を観てきました


ブザーだのスイッチだの、長いのを書いた後、うっかり二度寝してしまい、起きたら日付が変わっていました・・。



結果、サボってしまいました。すみませんでした。目覚ましも気づかなかった。今後、気を付けます。

ちょっとまだ疲れが抜けません、って言い訳はやめます。言い訳すら思いつかない「二度寝」の持つシンプルさ。




***


話を替えましょう。




ジブリ映画、風立ちぬを観てきました。



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あんまりブログに何かの感想を書いたことがないんだけど、あまりに思うところがあったので。


この話題にご興味のない方、見ていない方は申し訳ないのですがスルーしてください。ネタバレはありませんが不愉快になるかも。



感想は、、んー。。。。


着想もストーリーも絵も悪くないのです。なのに。


見ていない方もいらっしゃるので内容は触れませんが、今回思ったのは声優の技量、そこだけ
。はっきり言って主役の方がドへたくそです。言語に絶する位の棒読み。

アニメーターの方(監督だったっけ)が主役だったらしいのですが、金返してほしい。もしくはもう一つ違う声バージョンを作ってほしい。

ほかの部分は総じてよかった。独特の持ち味である映像の世界観も活き、一貫した主張もあるし、比較的筋も通っていた。声優たった一人の技量で、全体の98%を破壊できるとはちょっとすごい。

主役のキャラは少し殻にこもった感じのある、夢想家気質の飛行機設計技師という役回り。映画の中で度々、壮大な妄想シーンが挿入されることからもその性格が解る。

声優嫌いの宮崎監督、素人のボクトツとした雰囲気を狙って起用したとのことなんですが、僕には彼の演技が下手過ぎて、最後まで全く感情移入出来なかった。

「となりのトトロ」のお父さん役、糸井重里さんの起用のそれとはまったく違う。今回彼は全般に渡って出ずっぱりで、しかも後半はかなり恋愛シーンが多い。

完全に棒読みで抑揚はゼロに等しい。間も悪い。滑舌も良くない。電話で愛想のない疲れたオッサンが用件のみをボソボソ話している感じに近い。

物語に引き込まれるたびに裏切られ、現実に引き戻される。身近にこんな巧妙なストレスがあるだろうか。


日本舞踊でも、ミュージカルでも同じことだと思うのですがね、「純朴なキャラクター」を演じるときに、それ相応の技術を持った人が計算し、コントロールしながら敢えての純朴さを演じているのだと思うのです。それこそが舞台上では自然なわけで。

舞台に乗るからこそ、強めの抑揚や間合いが、丁度よかったりすることも多いと思うの。それが日常生活では不自然であっても。

逆に、本当に素が純朴な人を連れてきて、衣装を着せて舞台に立たせても純朴には見えないのではないか。それがカメオならまだしも、出ずっぱりの超主役がそうでは困る。

日常と舞台。両方の世界には何かしらの境界線があり、そこには別個の共通言語が存在するのだと思う。そこを混同するべきではない。

因みに、僕はこましゃくれた子役が大嫌いなのです。独特の明瞭な発音と気持ち悪い抑揚。

許されるなら、大人の役者が徹底的に演劇的技巧を駆使して、子どもの役に成りすましたほうが時には自然に見える、それが演劇性だと僕は思っている。(映画やドラマじゃそうはいかないだろうけど)
お婆さん役でも、着ぐるみの馬の役でも同じ、芝居は時に、本物を超える瞬間があるから楽しい。そう信じています。

今回のジブリ新作が「型破り」な配役なのかもしれないけれど、「型があってそれを破るから型破りなんだよ」と故勘三郎氏がコメントしていたのを思い出した。まさにその通りだと思います。

別にイライラはしていませんよ、ただ、モヤモヤしています。どうしてあれだけのものを作って、一番総仕上げにあの声を乗せるのか。

作画スタッフを初め、あれじゃ浮かばれない。可哀想だよ。とはいえ、本筋そのものは良かったただけに、誠に残念でありました。


ネットを引くと、主役の声優さんが良かった、という声も多かったです。一意見ということで。





おしまい




押しボタンという誘惑

 
押しボタンは好きですか?そんな人少ないと思うけど。


バスの停止の時に押すボタン、エレベーターのボタン、玄関で鳴らすチャイム・・・。
身の回りには意外とボタンがたくさんあります。

けれど、ボタンそのものにいつからか関心を寄せるようになってしまった。もっと言えば、ボタンそのもののフォルムに惹かれ、目的もなく押しまくりたい欲求に苛まれたりします。


中でも、一番好きなのはブザーのスイッチ。バスや昭和の住宅についていたような呼び鈴、ご存じですかね。

ただ「押してもらう」行為だけの、究極にシンプルな構造。

僕は、何でかこの押しボタンを見ると胸がキュンキュン高鳴ります。愛しています。


これは大阪のバスについている停車サインのブザー。

何と美しいんだろう。

チョコレートのような二色の素材の醸し出す艶と曲線。

人差し指に美しく沿う、プッシュ部の柔らかなカーヴ。娼婦の誘惑のように人に押されることだけを求めた、艶めかしフォルム、佇まい。

花びらが受粉を求めるだけのために進化したように、スイッチも押されるためだけに独自の進化を遂げたのかもしれませんね。

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疲れた時に、偶然街で見かけると、かなり元気になったりします。住宅の玄関先を隠し撮りします。結果、ピクチャフォルダーに「押しボタン」専用フォルダーが二つあります。

押せる場合は可能な限りお断りしてから押します(バスの乗降ボタン、すでに人が押した後の連打など)

どうしても誘惑に勝てない場合は、場合によっては勝手に押します。(廃屋同然の家屋、入居者募集の空き家、など)


はああ、書いてて胸が苦しくなってきた・・。


ボタンの押し心地にもこだわりがあります。押し心地が柔らかいのが断然好みです。

どのくらいの柔らかさか、といいますと・・・

そっと指先でボタンのプッシュ部分に軽く触れるとあまりの軽さに唖然とする。僅かに動かしてバネの重みを感じる。

静かに対峙しながら反動を味わっているのもつかの間、意外と浅いポイントでうっかり通電してしまう・・・。

この間0,4秒くらいか。

その位の軽い重みのスイッチだと、押した瞬間、恍惚感とともに背筋に電流が走ります。


主な作業は大きな音を鳴らすこのスイッチ達。誤作動防止のためか、プッシュ部分が重めの設定にされているスイッチがほとんど。

その中に僅かに残る、甘々設定の軽いボタンという小さな矛盾になぜかグッと来てしまいます。


アンティーク、レトロなボタン限定だということは言うまでもありません。




見どころとしては、
1、全体の色、艶、経年劣化による寂びた味わい
2、ケース部分の彫刻。肩から接着面に至る景色
3、プッシュ部分のくぼみの有無、押され続けた摩耗による艶
4、ケース部分の止めネジの様子
5、コード配線の処理方法(埋め込みまたはケーブルを這わせた景色)
6、設置されている壁部分とのバランス
7、どういう状況でボタンが設置されたのか、といった必要性の考察および歴史的背景。


それではお楽しみください。


先程の画像。指が写っていないバージョン。

これは大阪市阿倍野区を走る路面電車の乗降ボタン。
エナメル質の半艶ペンキの落ち着いた色合いと焦げ茶の色合いが絶妙です。

とてもまとまったデザインで、台座の彫刻がボタン部分にかけての期待を高めます。
少し中心をずらした銀のネジが、キリリと洒脱な印象を醸し出しています。
上の説明プレートのフォントも素晴らしい。

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これは某居酒屋の呼び出しボタン。スイッチ自体は既出のものと同じ、ベークライトのボディ、ボタンに凹みはなし。比較的綺麗です。配線のケーブルが景色となって全体に動きをつけています。
壁部分の汚れが過去に押した人数を想像させます。プッシュ部は重そう。そうそう呼ばれても困る、という店主の意思が表れていそうな重量感を想像させます。

菅野美穂のチラシがあることにより、酒場のボタンであること、小雪妊娠後の比較的新しい撮影時期だということをさりげなく伝えています。

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こちらは京都府庁の一室にある火災警報ボタン。飴色に燻された美しい寂び。
火災報知器、という性能上、あまり押された形跡はなさそう。ボタン部分もくすんでいます。

小ぶりの本体に、木製の台座が付いています。少し左下よりなのはご愛嬌。
左のクロスが織物なのか、紙なのか気になるところです。金唐皮紙という可能性は低いでしょう。

IMG_4297.GIF

こちらもバスの旧式スイッチ。こちらも汚れていい味が出ています。汚れのついた台座部分から、乗客の手に磨かれて尚も純白に輝くボタン部分は、泥の中に咲く一輪の蓮の花を思い起こさせます。
ボタンが飛び出しているのが淫靡で、思わず押したくなります(考えすぎ)
想像するに、押され続けて甘くなったバネにより、押し心地もよさそう。

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メキシコだかの(行ったことない)集合住宅の呼び鈴。後付の為かかなり混線していますが、逆に型にはまらぬよい主張となっている。
一番左の機械は台座部分が取れているのだろうか、金属部分がむき出しになっている。

ただ汚いだけ、といってしまえばそれまでですが、総じて変化に富んだ非常に美しい情景です。狙っては作り出せない用の美、です。




IMG_4562.JPG


同じ建物の玄関部分を違う角度から。

「百花繚乱」という言葉に相応しい、更なるブザー乱れ打ち。
この5つを思う存分押しまくりたい。(メキシコのおばさんの罵倒も含めて)
個人的には、上から三番目と四番目の白いブザー、何と押し心地の柔らかそうなことか。

夢が叶うなら、ここは手ではなく、そっと唇で押して反動を確かめたい。酔っていたら舌ですら押しかねない。

通電した瞬間、遥か屋内で「ブー」だか「チリリリ」だか鳴る、その情景もいとおしい。
まるでオペラのバンダで歌われる甘いテノールか、草原の彼方に轟く雷鳴のようだ。


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玄関ベル、素晴らしいです。その目的のシンプルさと多様なデザインには、花弁や、性器すら連想してしまいます。(考えすぎ)



・・・現代のベルはどうなっているのか、とふと思いました。現代のデザインが好きではないのでガッカリしたくない余り、今まで気にして見たことがないのですが、、昨日東急ハンズに視察に行ってきました。

んー・・・。



ボタン・・・。




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これでいいのか!?


こんなんじゃ、押したくないよ!!性器でも花びらでもない。ただの醜悪な器械です。

ほかの商品も総じてこのテイストでした。


単に美意識の問題ですから、より若い世代にゆだねたいと思いますけど。


***

どうしてこの形のボタンに惹かれるのか、子供のころの記憶に頭を巻き戻してみたんです。(実は寝る前に自分で退行催眠が出来ます。また別の機会に)


どこかでボタンに執着をする出来事があり、今に至っているわけですから。




・・・・・。



思い出した!!!


七条商店街の力餅食堂の前にあった10円入れると動く新幹線の乗り物!!

ダダこねて乗せてもらっていた記憶が蘇りました。

この写真は拾い物ですが、同じようにハンドルの横にブザーが付いておりました。柔らかい押し心地の、汚れたブザー。

新幹線にブザー、クラクションの類が付いているのか定かではないのですが、人前でブーブー鳴らしても怒られない、唯一の条件だったのでしょうか。

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あー、懐かしすぎます。もう一回乗りたい。子供向けにより一層、柔らかそう。


この手で押してみたい。

ゆっくり繰り返し押したり、高速で連打したり、誰にも邪魔されず、二人きりで対話したい。


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こんなのもありました。ヒー(汗)


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スイッチがちょっと小さなシルクハットにも見えなくない。そう思うとだんだん、彼が白い紳士にも見えてくる。

しかしQちゃんにブザーが付いているという状況は、どう考えても倒錯的である。どうして「ブー」となる必要があるのだろうか。まったく理解できない。

いいなぁ、いいなぁ。




今これを新しく作ったとしたら。

ボタンを押したら電子音のオルゴールとともに声優の声で「ボク、Qちゃんだよぉ」とか「空も飛べるよぉ」など、5パターンくらいローテーションで鳴りそう。

そんなものは不必要。「ブー」でいいのだ。

昔のおもちゃは不条理ながらも、それをねじ伏せるだけの夢がありましたね。






さ、今日も出勤前に押しボタンを探そう。







オオカミと羊

 

まずはお知らせ。

次回浴衣祭は8月17日(土)となります!前回も盛況でしたが、今回もさらにパワーアップしてお送りいたします。

いつものメニューに加えまして、
缶チューハイ500円
フランクフルト300円
冷やしきゅうり200円
金魚すくい50万円

などといった、フザけたメニューと年に一度の三人体制でお送りいたします!!

どうぞお越しくださいませ。




8月27日から29日までの三日間(月〜水)、お休みをいただきます。いわゆる夏休み。
伊豆の海沿い、崖っぷちに建つ民宿に二泊してきます。

何もせず、砂浜で泳いだり磯で貝を拾ったり(民宿の許可有)とにかくゴロゴロしようと思います。

スケジュールのご確認、どうぞよろしくお願いします。


***



以前の続き。「一匹狼にやさしいバーでありたい、という意思表示をどうするか」という課題。主に海外のお客さん。凄い大人数で行動される。


しかし、問題を広い目で捉えれば仕方のないことかもしれない。欧米は基本パブのような大箱で飲む文化。小さなバーは少ないと聞く。
対して日本はスナックや小料理屋など、小さなサイズの店が成立する、狭小バーの文化もある。

うちのような茶室のような狭い空間で小ネタが詰まっているバーは、一種異様に映るのかもしれない。ほかの海外のお友達にも見せたい、という自然な流れになるのかもしれない。

こうなると「文化の相違」を埋めるしかない。そうそう簡単に埋まる話でもなさそう。

ルールを明示するといっても、もう散々口ではお伝えしているし、英語の貼り紙は張っているけど、気気付かないとか、思いっきりシラバっくれる人もいる。

「テメー、しらばっくれてんじゃねーよゴルァ」と思うことも多々ある。汗



そもそも、観ない人が悪いんじゃなくて、貼り紙に愛情がないからだダメなんじゃないかしら。


これが仮に訴えるような可愛い、ケナゲな貼り紙だったら。目が止まっちゃうんじゃないかな。で、何かイラストを描くことにした。お涙頂戴イラスト。



最初は、不精髭の渋い男がカウンターで一人酒を飲んでいるところ。絵はよかったんだけれど、結果何だか解りづらい仕上がりになった。

アプローチとして間接的すぎるのだ。意味わからん。


一匹オオカミ、狼・・・。


悩まずオオカミをそのまま描いてみた。対する群れといえばヒツジ。
両方、欧米人の方にも馴染みのあるキャラクターじゃないだろうか。

アメリカンスクールの子供向けの注意書きを描くイメージで描いてみる。

見ずに描いたら、気弱なタヌキみたいになった。これはこれで可愛いけれど、なんか違う。

IMG_4641.JPG


やっぱ遠吠えでしょ。って事でお手本見ながら書き直し。

こっちを採用。

IMG_4646.JPG

額に入れてビスで止めちゃいます。行が歪んでる。


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ただ、調べてみたらオオカミは普段群れで行動するのだそう。はぐれてしまい、一匹で生活するオオカミを指して、一匹狼なんだそう。

ちなみに、○と×の概念も日本独自らしい。向こうは✔(チェック・環境依存文字)が○のことなんだとか。

まあ、ここは日本なので、この張り紙で憶えて帰ってもらうくらいのつもりでいこう。


こんな貼り紙、誰も見てないかもしれないけれど、意思表示を続けていくことこそが大切だと思うのです。外国の方もこれ見てちょっと笑ってくだされば、うれしい。


海外の人だけではなく日本の人も同様なんだけれど、一人で飲んでいる側だと大人数は迷惑、反対に大人数でキヌギヌ行こうよ、ってなった時には「直接行ったら入れてくれるんじゃない?」ってなると思うんです。それはユーザーの心理なわけで。

けど、僕が辛いのはね、一匹狼はみんなお会計して出て行っちゃうんですよ。気が利くから他に譲る精神が働いてしまう。それが一匹対一匹ならば公平な話なんだけれど、対団体だと何となく違和感を覚えてしまう。

反対に、団体さんは盛り上がってるからちいさな気遣いにはそこまで敏感に気づかない。

しかし、どう考えてもオオカミさん、グラスにお酒が半分残っているのに譲ってお会計するのは普通ではない。僕の仕切りが悪いせいです。

お互いの気遣いがあれば、ルールや貼り紙なんていらないんですけれど。

シンスケ、何をそんなに語っちゃって、なんて思う人もいるかもしれませんが、団体対策は目下の大問題なのです。すいません。

貼り紙あるから、ルールだからって階段上がってきてもらった人を無下に断るのって、心が痛みます。わざわざ来て下さったんだから、そりゃもう入って頂きたいのは本音なわけで。



ちょっと書きたいことがまだまだあるのでこのシリーズは忘備録として続きます。


ある方からこんな記事のアドレスを頂きました。久しぶりに唸りました。ご興味のある方は読んでみてください。

http://bizgate.nikkei.co.jp/article/7991815.html



***



次回は、僕がレトロなブザー(押しボタンが好きで好きでたまらない、押したい衝動に駆られて押してしまったことが何度もある)辺りを紐解きます。駄ネタです。



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南の島に雪が降る (知恵の森文庫) (JUGEMレビュー »)
加東 大介
太平洋戦争末期、赤道直下の戦地ニューギニアで慰問団を結成し、7000人の兵士を楽しませた元歌舞伎役者の実話。ジャングルの中に歌舞伎座を建て、馬の尻尾や棕櫚の繊維で結いあげた鬘、パラシュートの打ち掛けや緞帳、ガーゼの糸を間引いた紗幕、そして紙吹雪を用いての雪景色に、遠い故郷を思い出し、兵隊たちは声を上げて泣く。究極の状況下での知恵と優しさの詰まった人々の心の触れ合いを描いた温かい作品。

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伽羅の香 (中公文庫)
伽羅の香 (中公文庫) (JUGEMレビュー »)
宮尾 登美子
何不自由なく育った主人公は、何気なく始めた香道の奥深さに知らぬ間に溺れてしまう。免許皆伝の暁には、と始めた会合。気がつけば彼女の自宅は時のサロンに変貌し、有力者が訪ねて来るまでになる。しかし少数の仲間はそれをよく思わず、時を同じくして太平洋戦争の足音が忍び寄る、・・・・。
蘭奢待を始めとする平安から連なる奥深くも豪華な数多くのエピソードが、読み人を香りの世界へと誘う。
安いもので構いません、お好みの香木を焚き締めながらの拝読をお勧め致します。グッと気分が出ます。

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グロテスク〈上〉 (文春文庫)
グロテスク〈上〉 (文春文庫) (JUGEMレビュー »)
桐野 夏生
悪気もなく、ただ人の不幸を喜びに生きる「私」と、類い稀な美貌を持ち、出会う人々を皆驚嘆させてしまう実の「妹」、人に勝利する事でしか自分の存在意義を見いだせない、容姿に恵まれない和恵。その三人を中心に描かれるQ女子高(私立慶應女子高校がモデルになっている)の超閉鎖的階級社会を舞台に、途中入学組に対しての、富裕層からなる内部進学者からの壮絶ないじめを軸とした数々のエピソードは圧巻。物語全体は東電OL事件を主軸にして描かれており、後半は生生しい売春婦の日常が詳細に描かれている。店主がここ最近の著書で、久々に気骨を感じた作品。

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一の糸 (新潮文庫)
一の糸 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
何不自由ない造り酒屋の娘茜は幼き日に目を患い、その時連れられて聞いた文楽、露澤清太郎が奏でる三味線の音に恋をしてしまう。大正から太平洋戦争後にかけた女の一大抒情詩。乗馬を好む娘、宝石や宿屋を惜しげもなく買い与えるおおらかな母、その後の茜の命を賭けた壮絶な苛めとの戦い、本物の芸に賭ける壮絶なエンディングと、読みどころが随所に散りばめられた文句なしの女流文芸娯楽作品。

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悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))
悪女について (新潮文庫 (あ-5-19)) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
公子という一人の貧しい女が中華屋の仲居からスタートして何百、何千という嘘を重ねて戦後の混乱期にのし上がる様を描いた作品。嘘を重ねると言っても、無論、それだけでは決して成功はしない。夜学に通って簿記の試験をパスし、自らの美貌を磨いて出会う男を翻弄し、汗まみれになり生き抜くさまは寧ろ潔い。とある事件後の週刊誌記者による聞き取り調査と云う一風変わった文体で綴られる全編は、時を忘れ、あっという間に読めてしまう。中でも、登場スr数々の大粒の宝石の描写は秀逸。「取材魔」の異名を取る有吉文学の中でも比較的軽めな現代もの。特に初心者にお勧めの一品。

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女系家族〈上〉 (新潮文庫)
女系家族〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
山崎 豊子
船場に続く大商家の物語。入り婿の父が突然亡くなり、残された三姉妹が遺産相続を期に豹変を始める。狡猾な大番頭、突然現れる妾の存在に、三姉妹は関係を結んだ男の入れ知恵や様々な駆け引きを繰り返し、遺産を減らさぬよう奔走する。団結した三姉妹と叔母が妊娠したと思しき妾を抑えつけ、懇意の医師が器具を用いて検査を始める妾宅での描写は、昭和女流文芸史に残る陰惨な情景と云えるだろう。

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昭和初期の船場に三代続く女系の老舗足袋屋に生まれた男の半生を描く。女親に反発するかのように愛人を4人も囲いながらも商売に精を出す主人公。迎え入れた新妻の妊娠を探るために肥溜めを棒で掻き回す姑と大姑の陰惨な嫌がらせ、襲名披露の配り物がたった足袋一足だと聞いてケチだと馬鹿にする参加者を尻目に、実は踵の留め金具が純金製で帰宅した一同を仰天させるエピソードなど、船場の粋と意地が詰まった珠玉の作品。

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針女 (新潮文庫)
針女 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
出征した帝大出の弘一が残した青春の遺書を胸に、パンパンや闇成金の持ち込む針仕事に打ち込む孤児の清子。彼女は過去に踏んだ針が体を周り運悪く跛(びっこ)になるというハンディキャップを持つ。復員した夫は戦争のせいで性格が豹変しており・・。パンパンや気違いといった現代では禁止用語の登場人物が行き交い、戦後の混乱期をそのまま原稿用紙の上に広げたような生々しい作品となっている。

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連舞 (集英社文庫)
連舞 (集英社文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
昭和初期の日本舞踏の一大流派、梶川流の栄枯盛衰を描く。先代家元の妾の子に生まれながらも伸び悩む自分の踊りの才能、踊りの天才と謳われる性格の悪い妹、妹しか愛さない母に悩まされる青春時代。しかし、GHQ接収後のアーニーパイル劇場での歌舞伎ショーにてストリップを強要され、大逆転の末成功となり、家元夫人にまで上り詰めてしまう。忌わしい過去と出自に翻弄されつつも、過去をねじ伏せるかのように踊りに邁進し、遂に芸の道に境地を見出す主人公、月の直向な横顔が涙を誘う。

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明治のお嬢さま (角川選書)
明治のお嬢さま (角川選書) (JUGEMレビュー »)
黒岩 比佐子
明治期の令嬢の実態を探る。たしなみ、学力、美醜の葛藤、結婚生活まで多岐にわたる。面白いのは多くの令嬢は今と変わらず贅沢品に執着したらしく、友人の持ち物を嫉む生々しい手紙なども解説入りで紹介されている。その他、当時の流行の髪型や美人術、痩せる薬などの広告資料も収録。

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宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして
宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして (JUGEMレビュー »)
高谷 朝子,明石 伸子,太田 さとし
千代田の森の奥深く、宮中賢所に57年お住まいの神職の女性の半生を描いた作品。下界と分断された森の中で祈りを捧げる日々。厳格な穢れの区別(下界のものに触れると潔斎しなければいけない)、四足のものは食べてはならない、毎朝数時間かけて髪おすべらかしに結うなど驚愕の生活と共に、日本古来の自然に寄り添った質素な習慣を紹介する。

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朝香宮家に生まれて
朝香宮家に生まれて (JUGEMレビュー »)
北風 倚子
渋谷・松濤の鍋島公園一帯は戦前、広大な鍋島侯爵邸であり、著者の住まいであった。大空襲で火の海になった屋敷を逃れ、昭和という時代を生き抜いた、旧華族のお姫様の生涯。

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社長 島耕作(8) (モーニングKC)
社長 島耕作(8) (モーニングKC) (JUGEMレビュー »)
弘兼 憲史
言わずと知れた島耕作シリーズ単行本。長い経緯はさておき、弊店が表紙になっております。店主もタキシードでモデルを致しました。
是非お買い求めくださいw

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梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫)
梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫) (JUGEMレビュー »)
小田部 雄次
佐賀藩主鍋島家令嬢伊都子。彼女はのちに梨本宮に嫁ぐが、明治から昭和に渡って77年間日記を残していて、その様相は「書き魔」と言わんばかり。初の洋行先のパリで買い物の様子や婚礼、即位式などの華やかな思い出を経て、戦中戦後の倹約の様子や時代に対する落胆ぶりなど。往時の匂いが漂ってくるかのような生々しさ。著者、小田部雄次の解説が当時の世情をわかりやすく補ってくれる。

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写真集 酒井美意子 華族の肖像
写真集 酒井美意子 華族の肖像 (JUGEMレビュー »)
酒井 美意子
加賀藩前田家令嬢の酒井美意子。マナー講師として厚化粧キャラでメディアに登場した姿をご存じの方もいらっしゃるであろうが、彼女は戦前まで駒場の前田侯爵邸に居住していたことを知る人は少ない。莫大な財産と華麗な人脈を、膨大な写真とコメントで紐解く、いわば現代版歴史絵巻的な写真集。必読。

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極楽商売―聞き書き戦後性相史
極楽商売―聞き書き戦後性相史 (JUGEMレビュー »)
下川 耿史
戦後の性関連産業を裏側の視点から取材した戦後風俗史。進駐軍専門のパンパン宿や性具の販売店、愚連隊、ゲイバー、カストリ情報誌、個室喫茶・・・。戦後の性に携わった人々の汗や息遣いが聞こえそうな一冊。

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 (JUGEMレビュー »)

京セラ、auの創始者ににして仏門に入った稲森氏が、街の小さな碍子工場を一代にしていかに大企業へと成長させたかを描く。単なるサクセスストーリーに収まらない哲学や思想を散りばめた珠玉の一冊。

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芝桜〈上〉 (新潮文庫)
芝桜〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
我らが有吉佐和子先生の長編。戦前の花柳界を舞台に、二人の女が艶やかに力強く生き抜く。温厚で情緒的な梅弥、狡猾で気ままな蔦代。共に授かった類い稀な美貌を武器に、ただひたすら戦前、戦後の花柳界を生きる。花柳界独特のお茶屋の仕組みや旦那制度、一本や水揚げなど、判りにくい独自の世界がこの一冊でよくわかる。ストーリを彩る、旦那からの贈り物の三越謹製三百円の帯や、大粒の翡翠の簪、英国土産の巨大ダイヤモンドなど、随所に登場する豪華絢爛な衣裳拵えと、それを取り巻く年増女将との丁々発止のやりとりの描写は必見。店主のバイブルと同時に、不動の一位たる女流文芸作品。

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書いた記事数:1517 最後に更新した日:2024/03/25

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