今年も有難うございました!

まずはお知らせ。

新年は大晦日深夜、日付けが替わってすぐの深夜12:30から開店します。初詣のついでに覗いて見てくだい。着物で、例の器具で日本酒を振るいます!







今年も早いものであと一日。毎年同じ事を言ってるような気がしますが、本当に早かったです。光陰矢の如しとは上手く言ったもの。

先ずは皆様、とにもかくにもお越し下さいまして誠に有難うございました。

あんな狭いところに押し込めて、強引にお酒を勧め、無理やり演奏させるという乱暴な空間にもかかわらず、本当に良くして下さいました。

数々の音楽を奏でて下さった方、毎年に増して大勢いらして下さいました。僕の伴奏なんかで申し訳ないくらいの素晴らしいプロの方や、有名な方の演奏もありました。

上手いも下手も一切無視した、プロもアマも混じっての合奏は僕の理想の酒場でもあります。


来年も懲りずに演奏して下さいね!!


音楽だけでなく、一肌脱いでやるとばかりに写真を撮って下さった方、カーテンを縫ってくださったり、似顔絵を書いて下さったり、これからデートだというお客さんの髪を格好良くセットし直す美容師さん、ヴァイオリンや三味線を調整して下さった方も。三カ国語を同時通訳して会話を繋いで下さったり、具合が悪い時に僕の整体までして下さった方もいらっしゃいました(笑)

酒を通してあらゆる得意技を持ち寄った人々の、小さな村の祭りような賑わった空間。

そう、これこれ。この賑わいこそが本当の豊かさだと思うのです。ネットには取って代わる事が出来ない、人の知恵と優しさが持つもの。

これが続く限りは、キヌギヌにはまだ人が来て下さると思っております。

僕は来年も謙虚に、皆さんの良いところを嫌味なくスルリと引き出せる黒子のような役割で居たいと思うのです。

ああ、また小道具買わなきゃ(汗)




私事ですが、今年は四月に新しいスタッフがまた一人入り、不定期ながら三人体制で働く事が出来ました。

一人では恥ずかしかった制服も2シーズン替えての採用。やっとオリエント急行のBARみたいになりました。

改めてご紹介を。




左のけんちゃんは気の利く優しい子。僕の気付かないようなお店の設えにもとても気を配ってくれます。話上手で聞き上手。こうみえてチャキチャキの江戸っ子でもあり、浴衣の着付けも得意です。美しいモノが大好きな生まれつきのサービスマン。

右のしょうじくんは落ち着いた頑張りやさんの努力家。彼がいるとお店がホワンと暖かくなります。お客さんとの距離感を大切にし、決して出しゃばらない。(勉強なります)金曜に聴いた曲を練習して土曜には伴奏、なんてとんでもない処理能力の持ち主です。

真ん中のジジィともに、今後ともご指導賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


スタッフがいて話せると、余計なことを一人で色々抱え込まなくなった分、久しぶりに自分の店にガッツリのめり込む事が出来ました。他にこんな幸せ、あるだろうか。

逆に言えば今までよく一人で週末も回してたなと思います。もうあの頃には戻れない。

結果的にストレス軽減となり、今までで稼働日数が多く、つまり過去ダントツで店が開いていた年でした。仕事ってこうでなくっちゃ。



開くといえばドア。九年目の悲願が叶い、新しくなりました。



こんなにもストレスから解放されるとは。立ち飲みのお客様からもかなりの好評頂いております。

個人的には一月からジム通いと、八月の終わりからハゲ治療も始めました。
ここへ来て逆らえない加齢も実感しています。といいつつ、なかなか味わいのある年齢に達してきたとワクワクしてもいます。流石に店を開けた20代最後の頃は舐められることもしばしば、よくお客さんと喧嘩してましたっけ(泣)

三味線のレッスンも始められました。とにかく言い出した手前、年内に始められて良かったです。

ブログの本数も今までで最多でした。何と102本!!

一つの充実の形と見てもいいのかな。

いろんな意味で、とても感慨深い年となりました。



おもちゃ箱をひっくり返したような素敵なBARだと、我ながら愛おしくなります。(なんだか廃業する時の日記みたいになってきたぞ)

というわけで、新年も楽しみながらバリバリ頑張ります!

来年は英語を人並みに何とかするのと、移転を含めた見直しを考えています。僕がやるので絶対前よりいい店だと言わせたい。

さらに濃厚に快適な酒場に。



そして、お店の中で今年一番頑張ったと思われる流し台の下水さま。

熱湯も汚水も、どんな飲み残しも、そして僕の涙でさえ文句一つ言わずに飲み込んで下さる、寡黙で懐の広い人格者であります。

年末の御礼にと、黄色いシャンパンを四本差し上げました。




嬉しそうに、一気飲み。その後ゲップなさっておられました。ガボッ。



通常営業は四日からとなります。そちらもどうぞお待ちしております。


皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。



店主





年の瀬の食い意地

残すところ夜が明けて29日の営業にて、今年も終わろうとしております。

今日は今月、お休みを3日も返上して(ドアの取り付けとクリスマス)しかも、一日もサボらずに働いたご褒美に、近所のスーパーで筋子を買ってきて醤油に漬けました。



醤油:日本酒:味醂がそれぞれ3:1:1あたりでやってみる。一口大に切ってから漬けます。あれ、前はどうだったかな。



こんな時間だけどご飯に載せて。




んんんん!旨すぎっ!!!
こりゃヤバいぞ。


とかいって食べてたら、一本全部食べてしまった、、。



先週楽天で買った数の子も1kg、今日のお昼に食べ尽くしたのに。鮭のカマもとっくにない。

本当の事言うと、昼間にも筋子を一本食べてしまっている。さっき食べたのは大晦日用に漬けた分だったの。


一日に筋子を2本(二腹?)食う人ってあんまりいないよな、、。

ヤバい。死ぬかも。死ぬ前に魚卵の禁断症状が出るかも。それのが辛い。


いやいや、それはさすがに。ちゃんと野菜でも食べないと、そして、魚介に向いた意識を紛らわせなければと思い立ち野菜庫を漁ったら




ギエエ!!

また数の子が出てきた!!四日前位に解凍したの忘れてた!(泣)


ありがとう、ワシ!じゃねーや。我ながら準備万端で悲しい。なんでこんなに海産物に執着してんのか。昔は肉が好きで、特に興味もなかったのに。

歳のせいか。そうに違いない。


増してや、年に一度の魚卵を食べまくれるこの季節。もう止まらない。



そうは言っても野菜もちゃんと頂きますよ。今日昼間に煮込んでおきました。



にしてもこちらは魚卵に対してかなり減りが悪い。んー、何だが華がないわな。プチプチしないし。



大晦日には改めて海老、ズワイガニとウニ、そして筋子と数の子で一人、パーティーをします。誰にもあげないんだもんね、フフン。


「痛風が怖くてやってられっか!!」




・・・思想のないブログですみません。また年末に長いのをかきます。覗いて読んでみて下さい。



お仕事納められた皆様も、これから一仕事の方も、どうぞお風邪にはお気を付けて。



ドア完結編(最終編)


今日の工事をもってドアが完成しました!



なんとか古き良き雰囲気が出たでしょうか。やはり、木のドアの質感には叶わないけれど。こればかりは消防法の壁があるので仕方がない。

Y氏のレースのカーテンも付きました。理想どうり。ヤバい。




あとはモスグリーンの別珍のカーテンを内側に付けます。これで終わり。


クリスマス中は風邪でグズグズのまま、営業する羽目になってしまいました。17時間寝ても、滋養のあるもん食べてもどうやっても治らなかった。

歳ですねぇ。

今年もあと少し、仲良く参りたいと思います。



年内は29日まで、宜しくお願いします。

風邪がいまいち治りませんの



風邪のため、本日22日の営業時間は午後九時から翌三時までとさせていただきます。休みはしません。


嫌ですね、こんな時に風邪なんて。

皆さんもくれぐれもお気をつけ下さいね。

営業行ってきました

風邪を押しての、伴侶とのジャズデュオで、営業に行ってきました。

お客さんの主催のクリスマスパーティーなんですが、皆さんブラックタイの総勢120名、パークハイアット39階。なんだこりゃ。


我々も指定通りブラックタイで参戦してまいりました。




棕櫚の下でグランドピアノを弾きまくる。古き良きサロンのコールポーターの気分です。ウヘヘ。

かなり浮世離れしたパーティーでしたが、僕のやりたい事と同じかも。何か紳士的なルールがある中で楽しませよう、という気合を感じました。まあ、だから弾きに行ったんだけれど。

知り合いが沢山いらして全く気の抜けない雰囲気でしたが、大盛り上がり、最後はアンコールでピアノを肘で弾いて、堂々帰って来ました。

そしてお店。やっぱここが一番落ち着く。今日もいい感じの酔っ払い営業。

狭いけど、うちはウチなりの夢を描こう、そんな事を思った夜でございました。

明日から年末までタキシードでノンストップです。

風邪治して頑張ります!


反省文(独白)

自分の欠点を人に指摘してもらえるのって、本当に有難いと思うのです。



自分はかなり迂闊な性格で、誤解を恐れず言うと、多少のアスペルガーが入っているようです。

例えば、開店準備一つとっても。

まず届いたお酒を冷蔵庫に仕舞う、その時に何と無く薔薇の花が気になってしまい、作業の途中で花の水切りを始めてしまう。そうすると窓ガラスの皮脂が気になり、花を放置して窓を拭き始める。窓を半分拭いたらちょっと音楽なんか流そうかな、あ、トイレやんなきゃ、着替えも、、ってな具合で店内がグチャグチャのまま、全て同時進行してしまいます。

同時進行がリミットに同時終了すればいいのですが、どうも尺が収まりません。

ドリンク作る時は流石にそんな事ないんだけれど。

たいていの場合、一事が万事でその調子。

昨日もやってしまいました。

お客さまから縫いたてホヤホヤの、ドアのカーテンが届いたのですが、、、

嬉しすぎて、早く付けたくて。

一人のお客さまにカウンターに入ってもらい、炭鉱夫みたいなヘッドライトを付けて、ガンガン取り付けを始めてしまいました(泣)

どーしても気になるもんで、気が付いたら15分くらい経っていました。

皆気に入ってくれるだろう、はやく見せたいってのもあったと思う。

微妙な空気を気にしてくれた常連の方からメールを頂いたさっきまで、気にもしていませんでした。いやー、申し訳なかったです。


何でこうなるんだろ。

前にも、どうしてもカウンターに穴が開けたくなって、気になって仕方がなくて、営業中に電動ドリルでガリガリ穴を開けてしまった事があります。みんな笑ってくださっていたけれど、内心どう思われただろうか。第一、そんな店聞いたことない。

ある種の傍若無人さは、僕の店の舵取り及びスパイスとして有りかな?なんて思っているんだけれど、余りにもバランスが取れずに酷い時があるのを僕は知っています。


お客さん一人と延々話し込むようなミスは常に避けるようにしているのですが(他店でよくある僕の嫌いなミスなの代表格)
こと、物や内装、音楽に対してとなると自制心がぶっ飛んでしまう。

楽器を弾けと迫ることも多々。もう周りが見えない。

物に対しても、佇まいが気になって仕方がない。(自分の中で)歪んでたりすると許せない。

その治す姿勢が格好いいからとかではなく、気が付いたらもう始めちゃってる。


それも、子供の頃から治らない。

工作の提出日にどうしても気に入らなくてズル休みして、徹夜で作り続けて翌日に提出したこともあったな。

お前は頑固職人かっ!?と突っ込みたくなる。まったくもって本末転倒。



ちゃんと学校には行こうよ。(´・_・`)




また変な感じになっていたら、どなた様も教えて下さいね。

そろそろきちんと普通のお店並みに大人になって、最低限の秩序のある営業をしたい。

以上、中年の主張でした。







初雪

【ロイター発共同通信】

12月14日から15日の未明にかけて新宿区新宿三丁目の一部の地域で初雪が観測されました。



積雪は8cm、気象庁関係者によりますと雪質は綿雪という、繊維状の雪ということです。

非常に稀な現象で、26日未明には溶けて無くなるとの事です。




降雪が確認された場所の四階にて飲食店を営む38歳の男性は、「店内にだって雪は降ります。夢は願えば叶うもの。皆さんにクリスマス気分を満喫して頂けると嬉しい」などと訳の判らない事を語っていた模様。

隣の世界堂の従業員(42歳 女性)は、「近所に雪が降ったなんて聞いたことがない。飲んだくれの妄想ではないか」と、本誌記者に怪訝な表情で応えました。


「キヌギヌ」キーワードに関連したニュース一覧

※キヌギヌの金魚の転覆病を心配したローマ教皇が異例のスピーチに米オバマ大統領が賛同のコメント「金魚は今や世界市民の精神的支柱。アメリカ国民を代表して回復を祈る」

※中国が設定した防空識別圏に対し、キヌギヌの空中ツリーが領空侵犯の可能性があると防衛相が懸念を表明。店主が反論「その昔、大陸と日本とは陸続きであった、、」


※産地偽装が疑われるキヌギヌの仏産赤ワインに対し店主がコメントを発表。「あたかも仏様が作ったワインであるような誤解を一部のお客様に与えたことを申し訳なく思う。今後はフランス産とカタカナにて正確に表記するよう社内チェック体制を強化し」、、、


...ニュースの続きはこちらをクリック

↓月額31500円でキヌギヌのニュースをいち早くご提供














赤飯



伊勢丹の弁松にて、赤飯を引き取り。予想よりかなり多めに注文したけど、ぜんっせん足りませんでした(汗)




一瞬、店が経木の香りに包まれました。

熨斗もベタないい感じでした。やっぱ、古風な贈り物はええなぁ。







いいじゃん。赤飯。こういう卒のないアイテムを強引な節目に勝手に配る自分が大好き。ちょっと浮いたお祝い感というか。



差し上げられなかった方へ、四月の9周年の時には2日で100個用意します!


今日のところはぞうぞご勘弁を。

ドア完結編 中編



中編、とあるのはまだ後編があるからです(汗)





今日はドアの木目の仕上げ。


夕方頃までかかるとのこと。その間にユザワヤに行ってカーテンの生地を買う事に。

ジョーゼットとシルクのシフォンを1mづつ。



そして、ハンズでカーテンの取り付け金具を加工してもらう。こんなのを二本切り出して穴を開けてもらう。



そして合鍵を作り、大家さんに新しい鍵を渡したりして時間を潰す。


潰れない、、。


コーヒー飲んだりして、やっとの事で約束の時間に。


おっと、シール貼りの真っ最中。



エエ感じやんけ!!




内側もいい感じ。




仕上げとお掃除をなさってる間にやることないのでまた時間を潰す。本当はレースのカーテンの仮縫い(実験版)を縫いたいけど、気が引けるので待つ。

ぬー、まだ終わらないのか。

仕方ない、とレースを盛大に拡げて針仕事を始める。

限りなく繊細なジョーゼットに埋れてお姫状態のヒゲのおっさんがチクチク縫い物を始めると、店内が明らかに異様な雰囲気に。

気持ち悪いでしょうけど、時間ないんすよ!!


チラ見しないで下さい(笑)




あー、見られてると思うと(誰も見てないし)緊張して上手くいかん。糸が抜ける。

えーい、荒技、ホッチキス作戦!!


スゲー早いっ!さらにスピードアップ!!





荒技その二、テープ止め作戦!





何とか完成しました。これぞ男の仕事。フフン。


カーテンバーの固定は金曜までお預けなのです。余りにも中が丸見えなので一刻も早くと、テープ留め。

明日はテープとホッチキスのカーテンのままでオーブンしやす。

いいすね、ヨーロッパの老舗のチョコレート屋さんみたいじゃん。合格点です。





夏はフルオープンにもできるよ。素敵。




来週頭には真紅のロールカーテンがさらに手前に下がり(閉店用)足元に真鍮製のプレートが鋲止めにて付きます。こんな感じ。







つづく

ドア完結編 前編




さてさて、今朝は九時から取り付け工事。背中がつっても行かなきゃいけない。(汗)

しかも真鍮のグリップのサイズが前もって用意したブラケット(軸受け)と合わず、東急ハンズに買いに行く始末。今回、部品は施主支給品ということで見積もり下げてもらってるのです。

最終的な取り付け打ち合わせ。あーだこーだ、もうオッさん五人がかりでエラい事になってます。




もう、金庫のドアみたいになっています。鋼鉄の塊、こんな大袈裟になるなんて、、。

見た目に反して開閉は軽いんです。しかも自動で閉まる機能付き。


明日には木目調になります。





追記

そして夕方、こんななりました。グリップもいい感じ!




枠が敷地外に迫り出す事で、店内が20cm広くなりました(汗)わーい!




古いドアよ、さようなら。欲しい人がいらしたら今日中なら差し上げます。

いらんわな。



calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2013 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

recent trackback

recommend

南の島に雪が降る (知恵の森文庫)
南の島に雪が降る (知恵の森文庫) (JUGEMレビュー »)
加東 大介
太平洋戦争末期、赤道直下の戦地ニューギニアで慰問団を結成し、7000人の兵士を楽しませた元歌舞伎役者の実話。ジャングルの中に歌舞伎座を建て、馬の尻尾や棕櫚の繊維で結いあげた鬘、パラシュートの打ち掛けや緞帳、ガーゼの糸を間引いた紗幕、そして紙吹雪を用いての雪景色に、遠い故郷を思い出し、兵隊たちは声を上げて泣く。究極の状況下での知恵と優しさの詰まった人々の心の触れ合いを描いた温かい作品。

recommend

伽羅の香 (中公文庫)
伽羅の香 (中公文庫) (JUGEMレビュー »)
宮尾 登美子
何不自由なく育った主人公は、何気なく始めた香道の奥深さに知らぬ間に溺れてしまう。免許皆伝の暁には、と始めた会合。気がつけば彼女の自宅は時のサロンに変貌し、有力者が訪ねて来るまでになる。しかし少数の仲間はそれをよく思わず、時を同じくして太平洋戦争の足音が忍び寄る、・・・・。
蘭奢待を始めとする平安から連なる奥深くも豪華な数多くのエピソードが、読み人を香りの世界へと誘う。
安いもので構いません、お好みの香木を焚き締めながらの拝読をお勧め致します。グッと気分が出ます。

recommend

グロテスク〈上〉 (文春文庫)
グロテスク〈上〉 (文春文庫) (JUGEMレビュー »)
桐野 夏生
悪気もなく、ただ人の不幸を喜びに生きる「私」と、類い稀な美貌を持ち、出会う人々を皆驚嘆させてしまう実の「妹」、人に勝利する事でしか自分の存在意義を見いだせない、容姿に恵まれない和恵。その三人を中心に描かれるQ女子高(私立慶應女子高校がモデルになっている)の超閉鎖的階級社会を舞台に、途中入学組に対しての、富裕層からなる内部進学者からの壮絶ないじめを軸とした数々のエピソードは圧巻。物語全体は東電OL事件を主軸にして描かれており、後半は生生しい売春婦の日常が詳細に描かれている。店主がここ最近の著書で、久々に気骨を感じた作品。

recommend

一の糸 (新潮文庫)
一の糸 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
何不自由ない造り酒屋の娘茜は幼き日に目を患い、その時連れられて聞いた文楽、露澤清太郎が奏でる三味線の音に恋をしてしまう。大正から太平洋戦争後にかけた女の一大抒情詩。乗馬を好む娘、宝石や宿屋を惜しげもなく買い与えるおおらかな母、その後の茜の命を賭けた壮絶な苛めとの戦い、本物の芸に賭ける壮絶なエンディングと、読みどころが随所に散りばめられた文句なしの女流文芸娯楽作品。

recommend

悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))
悪女について (新潮文庫 (あ-5-19)) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
公子という一人の貧しい女が中華屋の仲居からスタートして何百、何千という嘘を重ねて戦後の混乱期にのし上がる様を描いた作品。嘘を重ねると言っても、無論、それだけでは決して成功はしない。夜学に通って簿記の試験をパスし、自らの美貌を磨いて出会う男を翻弄し、汗まみれになり生き抜くさまは寧ろ潔い。とある事件後の週刊誌記者による聞き取り調査と云う一風変わった文体で綴られる全編は、時を忘れ、あっという間に読めてしまう。中でも、登場スr数々の大粒の宝石の描写は秀逸。「取材魔」の異名を取る有吉文学の中でも比較的軽めな現代もの。特に初心者にお勧めの一品。

recommend

女系家族〈上〉 (新潮文庫)
女系家族〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
山崎 豊子
船場に続く大商家の物語。入り婿の父が突然亡くなり、残された三姉妹が遺産相続を期に豹変を始める。狡猾な大番頭、突然現れる妾の存在に、三姉妹は関係を結んだ男の入れ知恵や様々な駆け引きを繰り返し、遺産を減らさぬよう奔走する。団結した三姉妹と叔母が妊娠したと思しき妾を抑えつけ、懇意の医師が器具を用いて検査を始める妾宅での描写は、昭和女流文芸史に残る陰惨な情景と云えるだろう。

recommend

 (JUGEMレビュー »)

昭和初期の船場に三代続く女系の老舗足袋屋に生まれた男の半生を描く。女親に反発するかのように愛人を4人も囲いながらも商売に精を出す主人公。迎え入れた新妻の妊娠を探るために肥溜めを棒で掻き回す姑と大姑の陰惨な嫌がらせ、襲名披露の配り物がたった足袋一足だと聞いてケチだと馬鹿にする参加者を尻目に、実は踵の留め金具が純金製で帰宅した一同を仰天させるエピソードなど、船場の粋と意地が詰まった珠玉の作品。

recommend

針女 (新潮文庫)
針女 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
出征した帝大出の弘一が残した青春の遺書を胸に、パンパンや闇成金の持ち込む針仕事に打ち込む孤児の清子。彼女は過去に踏んだ針が体を周り運悪く跛(びっこ)になるというハンディキャップを持つ。復員した夫は戦争のせいで性格が豹変しており・・。パンパンや気違いといった現代では禁止用語の登場人物が行き交い、戦後の混乱期をそのまま原稿用紙の上に広げたような生々しい作品となっている。

recommend

連舞 (集英社文庫)
連舞 (集英社文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
昭和初期の日本舞踏の一大流派、梶川流の栄枯盛衰を描く。先代家元の妾の子に生まれながらも伸び悩む自分の踊りの才能、踊りの天才と謳われる性格の悪い妹、妹しか愛さない母に悩まされる青春時代。しかし、GHQ接収後のアーニーパイル劇場での歌舞伎ショーにてストリップを強要され、大逆転の末成功となり、家元夫人にまで上り詰めてしまう。忌わしい過去と出自に翻弄されつつも、過去をねじ伏せるかのように踊りに邁進し、遂に芸の道に境地を見出す主人公、月の直向な横顔が涙を誘う。

recommend

明治のお嬢さま (角川選書)
明治のお嬢さま (角川選書) (JUGEMレビュー »)
黒岩 比佐子
明治期の令嬢の実態を探る。たしなみ、学力、美醜の葛藤、結婚生活まで多岐にわたる。面白いのは多くの令嬢は今と変わらず贅沢品に執着したらしく、友人の持ち物を嫉む生々しい手紙なども解説入りで紹介されている。その他、当時の流行の髪型や美人術、痩せる薬などの広告資料も収録。

recommend

宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして
宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして (JUGEMレビュー »)
高谷 朝子,明石 伸子,太田 さとし
千代田の森の奥深く、宮中賢所に57年お住まいの神職の女性の半生を描いた作品。下界と分断された森の中で祈りを捧げる日々。厳格な穢れの区別(下界のものに触れると潔斎しなければいけない)、四足のものは食べてはならない、毎朝数時間かけて髪おすべらかしに結うなど驚愕の生活と共に、日本古来の自然に寄り添った質素な習慣を紹介する。

recommend

朝香宮家に生まれて
朝香宮家に生まれて (JUGEMレビュー »)
北風 倚子
渋谷・松濤の鍋島公園一帯は戦前、広大な鍋島侯爵邸であり、著者の住まいであった。大空襲で火の海になった屋敷を逃れ、昭和という時代を生き抜いた、旧華族のお姫様の生涯。

recommend

社長 島耕作(8) (モーニングKC)
社長 島耕作(8) (モーニングKC) (JUGEMレビュー »)
弘兼 憲史
言わずと知れた島耕作シリーズ単行本。長い経緯はさておき、弊店が表紙になっております。店主もタキシードでモデルを致しました。
是非お買い求めくださいw

recommend

梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫)
梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫) (JUGEMレビュー »)
小田部 雄次
佐賀藩主鍋島家令嬢伊都子。彼女はのちに梨本宮に嫁ぐが、明治から昭和に渡って77年間日記を残していて、その様相は「書き魔」と言わんばかり。初の洋行先のパリで買い物の様子や婚礼、即位式などの華やかな思い出を経て、戦中戦後の倹約の様子や時代に対する落胆ぶりなど。往時の匂いが漂ってくるかのような生々しさ。著者、小田部雄次の解説が当時の世情をわかりやすく補ってくれる。

recommend

写真集 酒井美意子 華族の肖像
写真集 酒井美意子 華族の肖像 (JUGEMレビュー »)
酒井 美意子
加賀藩前田家令嬢の酒井美意子。マナー講師として厚化粧キャラでメディアに登場した姿をご存じの方もいらっしゃるであろうが、彼女は戦前まで駒場の前田侯爵邸に居住していたことを知る人は少ない。莫大な財産と華麗な人脈を、膨大な写真とコメントで紐解く、いわば現代版歴史絵巻的な写真集。必読。

recommend

極楽商売―聞き書き戦後性相史
極楽商売―聞き書き戦後性相史 (JUGEMレビュー »)
下川 耿史
戦後の性関連産業を裏側の視点から取材した戦後風俗史。進駐軍専門のパンパン宿や性具の販売店、愚連隊、ゲイバー、カストリ情報誌、個室喫茶・・・。戦後の性に携わった人々の汗や息遣いが聞こえそうな一冊。

recommend

 (JUGEMレビュー »)

京セラ、auの創始者ににして仏門に入った稲森氏が、街の小さな碍子工場を一代にしていかに大企業へと成長させたかを描く。単なるサクセスストーリーに収まらない哲学や思想を散りばめた珠玉の一冊。

recommend

芝桜〈上〉 (新潮文庫)
芝桜〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
我らが有吉佐和子先生の長編。戦前の花柳界を舞台に、二人の女が艶やかに力強く生き抜く。温厚で情緒的な梅弥、狡猾で気ままな蔦代。共に授かった類い稀な美貌を武器に、ただひたすら戦前、戦後の花柳界を生きる。花柳界独特のお茶屋の仕組みや旦那制度、一本や水揚げなど、判りにくい独自の世界がこの一冊でよくわかる。ストーリを彩る、旦那からの贈り物の三越謹製三百円の帯や、大粒の翡翠の簪、英国土産の巨大ダイヤモンドなど、随所に登場する豪華絢爛な衣裳拵えと、それを取り巻く年増女将との丁々発止のやりとりの描写は必見。店主のバイブルと同時に、不動の一位たる女流文芸作品。

links

profile

書いた記事数:1517 最後に更新した日:2024/03/25

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM