五月から水曜日もオープンします!


来月五月からの営業についてです。

この度しょうじくんがキヌギヌに専念して下さる事になりました。一年間の金土曜日の勤務を経て、レギュラー入りと相成りました!

よって、念願のシフト増強により今まで定休日だった水曜日をオープンします。

今後は定休日なしの、すべての曜日オープン、そして木、金、土、日曜日は二人体制となります。益々新ネタやら新メニューを素早くご提供出来るようになります。

ブログなんて知らないという、(笑)キヌギヌの他のお客さんにも教えてあげてね。

お休みどうするのよ?の問いにもご心配なく。シフト増強により、二人とも隔週で連休が取れます。今までより多い月6日休み確定。素直に嬉しい。


取り敢えず暫くは毎週月曜日は僕がお休みを頂きます。しょうじくんが水曜日、火曜日を隔週で二人で交代のお休みとなります(トイレにカレンダー貼りますね)

今まで週一休みは正直ツラかった。ツラそうな顔を我慢して通って下さった皆さんありがとう。


移転問題は並行しつつ、とにかく今の店の更なる充実を目指します!


水曜日は当分の間暇そうなので、ゴールデンウィーク明けから何か企画を考えて盛り上げて行きます。何がいいかね。




ともあれ、どうぞ今後ともお付き合い下さいませ。


店主シンスケ


熱下がりました



実は土曜日から熱がありまして、そうはいっても週末なので無理やり出勤したのですが、日曜日には39.2度まで上がってしまいました。

さすがにお客さんに悪いので、昨日はしょうじくんに開けてもらいました。

器官に唾液が入ったのが木曜日あたり。そのせいの違和感だと思っていたら、実は風邪だったのですね。

なんだか最近すっかり体が弱くなってしまいました。トホホ。

さてさて。移転計画のその後。


本当にゴメンなさい。

考えれば考えるほど、よく分かりません。ピンと来てないという事でしょうか。結婚前のマリッジブルーと似ているかもしれません。あらゆる比較を並べては悩んでいます。


そのせいもあり、熱が下がりませんでした。布団の中でうなされながら汗だくで電卓を打ちまくる、妖怪そのものでした。




やっぱ広すぎるのですよ、僕にとってもお客さんにとっても。距離や雰囲気は申し分ないのですが。


広いことに比例して家賃。維持するだけのために少なくない額を余計に毎月払うのは、健全経営、安定政権を目指す10年目にしてはどうも納得いかない。まして温室なんて、アイディアはいいけど贅沢過ぎます。




いや、本当の理由はですね、広くて高い家賃のために今まで制限していたお客さんや(失礼な話ですけど)好き放題の営業スタイルを維持できなくなるのが目に見えて来たのです。


それは困った。


ここはいっちょ、理想の家賃をぶつけて交渉して、ダメなら引き下がろうと思います。

結婚生活に入ってから離婚を切り出すようなら、いっそ思い切って成田でバイバイしたほうが、、、、



五分おきに正反対の事を考えています。優柔不断な自分に腹が立つ。


しかし、散々買い込んだ嫁入り道具、、、寝かしてても仕方ないので付けてみました。気分転換にもなるし。

お、やっぱいいじゃん。





更に店が広く見えますな。良い感じ。



設計士福山雅治さんと、不動産屋さん、それにお客さんにまた迷惑をかけてしまいました。




何でも決まる前にペラペラ書くのはいけません。


といいつつ、また書いていますけど、、、。(´・_・`)


でも、本当に悩みます。

あゝ、ノスタルジイその2


今日は雨模様の東京地方。如何お過ごしでしょうか。

うちは今日も午前中から宅配便のベルが鳴りまくりです。眠れないから不機嫌な中にもワクワクもする。


先ずはトイレの鏡の上につける照明。こちらは京都から、昭和初期のものです。真鍮の軸受けに乳白色ガラスの筒が取り付けられている、風情のある一品です。

白熱電球を灯すと、ほんのり明るいオレンジがかった色に光る筈。




そして、フロアのソファに散らすローテーブル、ついに最後の三つ目が届きました。全てイギリス生まれの仲良し三兄弟です。



高さもデザインもまちまちなんだけれど、(高さは差異5センチ以内)それが可愛いと思います。四角のは天板がバタフライになっており、畳むこともできます。

「僕はこの丸のテーブルがお気に入り」なんて、好きなポジションを見つけて貰えれば嬉しいなと思います。


テーブル達はピアノの下に突っ込んでます。もう限界。



そしてそして、トドメにもうすぐドアがクロネコさんから届きます、、。
ガラスに細いモールが入った、こちらも戦前のもので福島県から。




これには自分で加工をしようと思ってます。かなり古いものなので軽く塗装と、足元に真鍮プレートを鋲で取り付けること。

部屋が素敵な古道具屋の匂いに包まれています。渋谷の名曲喫茶ライオンと同じ匂いがする。

ああ、落ち着くわ。

ハゲ治療その5



約二ヶ月半ぶりのハゲ治療日記。治療開始から8ヶ月が経ちました。


そもそも、どうしてこんなハゲを晒すのかという話なのですが、これには少し訳があります。

3年ほど前、同じAGA治療を検討していた折お客さんにその事を話したのです。そうしたら「あれ全然効かないよ!」と言われ、その言葉を丸飲みにし、そこから二年くらい治療開始が伸びてしまいました。

今思えばとても悔しいです。個人差もあるわけですし、たった一人の方の意見に左右されて試さなかった僕も軽率だったと思うのですが、何にせよこの手の治療結果は公平な目線の情報が少ないのが現状です。

ハゲは、ハゲた人にしか解らない独特の悲しみがあります。それはそれで格好いいじゃん!との心強い反応の方もいれば、反面、悪気なく「ハゲ」とズケズケ言う方もいます。

気にしてるこちらとしては、後者はたまったもんじゃないのです。


悩まれている方が、もしかしてこのブログで「こんな方法もあるよ」と、チョイスの一つとして知って貰えると僕のように遠回りする人が減るのではないか、と非力ながら考えておる次第であります。



さてさて。



半年を過ぎると、この薬は効果が薄れてくるそうなのです。なので、この二ヶ月は倍の量の薬を処方して頂いております。

今回は蔵出し非公開画像を大公開!!
治療前はかなりヤバい事になっていました。右は昨日。




成長は減速傾向なものの、着実に増えております。

M字は、というと、、、




こちらも着実に、という感じ。後頭部ほどの激変は見られませんが、一歩づつ、入江が狭くなり、モズクのような細い毛が少しづつ、生えてきております。

お風呂ではここをブラシで優しくマッサージしながら「もう春だよ、早く生えてこい」と唱えています。


何事も着実に、焦らず。結果を急がないで、しっかり見極めながら確実に参りたいものです。


次回はまたガラクタ収集の話です。

京都よりトイレのミラー上用の古い照明と、木目の綺麗なコーヒーテーブル、加えて福島県より古いドアを一枚買って取り寄せてしまいました。モールガラスの嵌った、とても味のある、素敵なドアです。こちらは事務所入り口用となります。

いよいよ部屋が大変なことになってきました。限界が近いです。

とにかく早く組み立てたい(涙)


来週明けにはいいお知らせが出来るといいな。

昭和レトロ探訪 パーラーキムラヤ



月に一回のハゲ治療の度に、新橋へとやって参ります。

ニュー新橋ビルは、前からブログに書きたいと画策しておりました。乱雑に入居する渋いテナントの数々はまるでガラパゴス島の生物のように異彩を放ち、僕の昭和レトロ探訪シリーズにとってはネタの宝庫のような建物です。

手始めに、JR新橋駅の銀座方面地下出口すぐにある、喫茶キムラヤさん。

何て激しいフォント!まるでロックバンドのような書体です。何故これを選んだのか。



正しいウインドウ。




下手からも一枚。



高度成長期の頃のインテリアがそっくり残っている、レトロな喫茶店。僕の大好物であります。


このテイストの喫茶店は今でもよく、地方の駅前なんかに見られます。時が止まったかのような憩いの空間。

ビニールレザー張りのソファ、缶詰を多用したメニュー構成、高齢化したお客様たち、卓上の塩の瓶に入れられた炒った米粒。ふんわりしたストリングスによるインストのBGMは勿論有線放送です。

壁にかかるデフォルメされた富士山の油絵が、店の風格と歴史を伝えています。

僕はもうもう堪りません。流行りのチェーン展開のコーヒーを飲ませるカフェが浅く、薄っぺらに見えます。

やっと来ることが出来ました、パーラー キムラヤさん!


パーラー。なんていい響きなんでしょうか。

晴れた日曜の午後、家族連れの買い物帰りのひととき。あるいはお洒落をしたカップルの初デートの映画の後か。

パーラーの主という人生も素敵です。歳をとったらやってみたい。



ウインドーを見ながら夢を膨らませる。ここはクリームソーダか、いや、敢えてピラフ行っちゃおうかな。パセリの浮いたコンソメスープついててくるのかな、、。ああ、素敵過ぎます。何だか混乱してきました。

いっそ、全部頼みたい。そんな願望すら叶いかねない低価格。



思いを巡らせつつも、冷静を装っていざ着席。


えいっ、とプリンアラモードとコーヒーを注文。僕は決めていたメニューをオーダー直前に替えるのが好きなのです。


決して広いとは言えない店内でキビキビ働く四名のスタッフの方。無駄な動きが排除されていて、素晴らしいフォーメーションです。これこれ、この練られた感じ。これこそ老舗喫茶店の醍醐味と言えるでしょう。


そして、待望のアラモード。




船形のゆったりとした脚付の器。アイスクリームでもパフェでもない、プリンアラモードの為だけに存在する、このメニューの為だけに作られた器。また衝動買いしそうです。

主役のプリンにコクのある業務用アイスクリーム、メロンにリンゴ、そして、缶詰の黄桃にミカンとパイナップル、とどめのチェリー。大英帝国、クイーンエリザベスの光り輝く王冠のようでも、色とりどりの花束のようでもあります。

溶け出したアイスにプリンのカラメル、缶詰の汁と植物性ホイップが絡まり合い、滋味溢れる濃厚な味わいへと変化していきます。こんな幸福な味の取り合わせが他にあるでしょうか。

冷えた口をコーヒーで温める。こちらも素晴らしい、正しい味です。

店内では独自のファッションに身を包んだ有閑マダムと、サラリーマンと思しき人々が思い思いにそれぞれの時間を過ごす。




心も豊かに、ハゲ病院へと向かうのでした。




あゝ、ノスタルジイ



今日も宅配便が届きました。荷物は懲りずに電灯の笠。

いずれも大正の末から昭和の初めまでに日本で作られたもの。秋田、茨城、八王子、京都、神戸の各県地方から取り寄せました。



右手前小さいのは温室用の紡錘形ので、これ一つだけデザインが異なります。あとのは全てマッシュルーム形です。

今日本に売り出されているこのマッシュルームタイプの電笠は、全てウチにある自信がある!(だから何?)

もう見つからないので取り敢えずやめておきます。

マッシュルームは三つが同サイズ、手前の二つが微妙に小さいのです。ちょっとの差だから遠近法で誤魔化します。一番小さなのは喫煙室用。


どうしてマッシュルームにこだわるか、と言いますと、昔よく通った京都の洋食屋さんでホワイトハウスという店がありまして、そこにこれと同じのが4つ、下がっていたからなんです。

(今より更に稚拙な文章ですが読んでみてね)



残念なことにこのお店はもうありません。

このライトの下で、22歳の僕は人生初の窮地を救われました。


かなり体育会系なアパレルに就職し、完全に自分を失っていた時に、この下で時間をかけて自分をチューニングさせて貰いました。

癒しとか慰めとか、そういう優しい形容では足りない、「救い」のレベルでした。


そうして、思い出は僕の中で何度も繰り返され、勝手に増幅され、もはや古いレコードのように擦り切れかかっていました。僕の原風景であり、ノスタルジーそのものです。

単純な発想ですが、いつか広めのお店を持てた時、これと同じデザインの古い照明を下げれば、何か素敵な事が起こるんじゃないか?と真剣に妄想していました。

で、手に入るだけ集めてみたという今回の成り行きであります。


救われました、と言っても特別なにかの作用がある訳ではないのです。

ただ薄暗い店内にこの照明が下がっていて、バターとデミグラスソースの匂いと、たまにレジのチーンという音が鳴るだけ。他はなーんにもない。



昔、お酒のコマーシャルのコピーに「何も足さない、何も引かない」ってのがありましたが、まさにそんな感じです。


取り敢えず数は揃ったので、後は吉報を待つのみ。

そこが難しいのだけれど(汗)

チーン。




ラクダの夢



昼寝をしていたらまた変な夢を見た。

夢の中で僕は部屋でフタコブラクダを飼っている設定になっていた。名前は楽ちゃん。

そうだ、花園神社の夜店で買ったんだっけ。巨大な体を引いて、歩いて連れて帰ったのを思い出した。みんな見てたなぁ(勿論、夢)


夜店のオッさんが(ターバンを巻いた怪しい日本人)砂漠の生き物だから、たまにしか水をあげなくても生きられるよ、人懐っこいし可愛いよ、と勧められるままに衝動買いしたのでした。


最初は可愛がったのに、後は全然世話をしなくなった。

オシッコもフンもしないおとなしい性格。自分が好きな時だけ撫でてあげられる、都合のいい存在。

頭を撫でてあげると楽ちゃんは目を閉じてウットリ首をもたげ、独特の鳴き声をあげながらスリスリしてきます。

その優しく、可愛いこと。





僕が移転のドタバタなんかで忙しくしており、水さえ与えていなかった。そのせいでラクダはすっかり小さくなっていました。

その体はグランドピアノの影に隠れていて、ピアノと同じ色だからよく見えなくなっていたせいもあり、気づいた時には僕の背丈より低くなっていました。


気づいた時にはもう遅かった。

「ゴメンね!!大丈夫?!」


僕は慌ててバケツに水を汲んでラクダの楽ちゃんにあげる。彼は頭を突っ込んで凄い勢いで飲み干しました。喉が渇いていたんだね、ゴメンなさい。


飲み干すと、いつものウットリした目で弱々しく僕にスリスリしてきた。けれど、体力の限界なのかそのまま床に倒れてしまった。黒い瞳には涙が浮かんでいる。

「大丈夫?!!ラクちゃん!!」



全く動かない。すると、倒れた体が液体になりドロドロ動きだし、ピアノに吸い寄せられる。見ている間にそれは完全にピアノに吸い込まれて影も形もなくなってしまった。


「楽ちゃん!!」

僕が叫ぶと、ピアノがひとりでに鳴りだした。あの鳴き声と同じ、優しいウットリとした、聞いたこともないような甘美なアラビア風のメロディー。

最後のメロディーに差し掛かったあたりで、ネジの切れたたどたどしいオルゴールのようにテンポがゆっくりになり、途切れ途切れになり、そして完全に止まってしまった。


ありがとう、楽ちゃん。本当に部屋で飼っていたのかもしれないね。



僕は涙が止まらなくなった。

危機一髪!



昨日はお休みさせて頂き、ご迷惑をおかけしました。

寝溜めもしていざ!と自転車でいつもの坂道を登っていたら、、


ガガガガガガ!と凄い音と共に、車輪が何かに引っかかって止まってしまった。

そこへ車が向かってくる!!

もう終わり、あー、楽しかったなこの人生。あの人にサヨナラを言いたかった、なんて考えてるのと同時に歩道に向かって倒れて、難を逃れた。


自動車は音もなく走り去っていく。残された自転車と私。


自転車をよく見てみると、、、


ダイヤのカバーが外れてタイヤに巻き込まれていたのだ。

くっそー!!この野郎!


頭にきて、力ずくでカバーをへし折ってやった。その後、カバーをグチャグチャになるまで踏みつける。通行人の目も気にしない。こうでもしないと気が収まらない。

あー、スッキリ。

我ながらストレス溜まってんなー。



踏みつけた亡骸は、きちんと分別して捨てました。(地域の分別収集所のカンの篭)





あー、怖かった。

本日お休みさせて頂きます



本日月曜日はお休みさせて頂きます。少し風邪っぽいようです。

ご迷惑をおかけいたしますが宜しくお願いします。


シンスケ

寝床でゴロゴロ、、


こんなに天気のいい日は窓を全開にして、玄米茶を濃いめに淹れ、小さめの音でブラームスが何か聴きながら布団の中で本を読むのです。(布団派)

並木の桜の花弁が風に乗って部屋に入ってきます。んー、春ですな。

お陰様を持ちまして、丸10年目に突入致しました。ありがとうございます。

僕はいつものように眈々と仕事しております。旅行行っても落ち着かないし、そんなに特別な遊びをしたいとも思わない。結局働いて必要と思って頂ける事が一番なのね。

電気の笠、またヤフオクで見つけてしまいました。落札出来れば五個目と六個目。これで目標達成。




今度、六個並べた写真をアップします。既にキノコ園みたいになっています。(´・_・`)


そうそう、布団でかなり古い本を引っ張り出して眺めていたら(英語なので深くは理解できず)こんな写真が!!



昨日書いた移転先のプランとそっくり!!こんな昔の本、、。

温室風の部屋にグリーンがあって、楽器の色まで一緒。

しかし、いい部屋だなー。やるなー、こやつ。

うん、納得。この線で行こう。



この何とも安らいだ感じを出したいんですよね。洋風趣味な元学者のお祖父さんの住む家に里帰り、みたいな。

季節は今頃。上大崎あたりの高台にある洋館作りで、バラ園と暖炉と頭のいい大型犬がいて、ばあやの名は梅子。

「お祖父さま、ご無沙汰致しております。只今戻りました」

「おお、晋輔や、おかへり。なんだ、髭を蓄えてゐるのか、誰か判らなかつたよ。」

「はい、私ももう三十八歳になりましたからね。お祖父さま、いつもの温室に入つてもも宜しいでせうか?」

「おまへは小さい頃からあの部屋が好きだつたね。何も變はつておらんよ、行つておいで」

「はい、ピアノを彈いても宜しいでせうか?」
「ああ、彈いておくれ。ブラアムスが聽きたいと思つていた所だよ」



、、、っていうのがしたい。

うちのお祖父さん、いつも酔っててトンデモなかったからなぁ。

憧れます。




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