桜便り完結編(+アコーディオン)


今日で、ほぼほぼ満開となりました、桜@中野坂上



いわゆる「通り抜け」のお父さんお母さんが窓の下にたむろして大声で話す。この時期は毎年、大変騒がしい。


そして、近所の橋から。MAXに花盛りですな。




さてさて。


今日はロマン座の強化特訓をしに、代々木公園へ。


平日なのに凄い人、、。春休みだからかな、若い人だらけ。





手始めに歩きながら弾いてみる。なかなか感触が良さそう(笑)

写真は全て花見客に撮ってもらいました。




しかし、何故か緊張する。照れるというよりも押し付ける感じが良くないと思うのか。

この辺で缶チューハイ投入。アルコールに頼るしかない。



酒の力で花見客の中に割り込んでみた。

踊る子供。




子供と犬にも助けられる。親御さんや飼い主はすかさず笑顔で撮影なさる。なるほど。

後は大縄跳びに参加したり。勿論弾けず、、。

そして女子のグループに写り込み。可愛い素直なお嬢さんばかり
( ´ ▽ ` )ノ




シャボン玉が映るまで頑張ってくれました。




ホスト風学生や、ギャルに歓声を送られる。



行先で写真を撮られ、拍手を頂き、笑顔に包まれる。魔法の楽器、アコーディオン。


しかし、調子に乗ってきたその時。


女の子二人組が写真を撮っていた所に少しご陽気に映り込んでみた。そうしたらひとこと、

「邪魔!」

って、犬を追い払うみたいな手付きでシッシッってやられた。


ガーン!!( ̄◇ ̄;)



そんな言い方しなくても、、、。


なるほどね、皆さん全員がアコーディオンに関心を示すわけじゃないですもんね、、。うーん、知ってたけど、、。

いやはや、勉強なりました。



落ち込みつつも、2人でフォルクスにてお疲れ会。





肉の味が心に染みる、火曜の午後でありました、、。






桜便りその5



しつこいですが桜の観察。

早くも9分咲きに!





昼過ぎに、鳥のさえずりで目覚める幸せ。



明日は3時ごろから代々木公園にてアコーディオン二台が練り歩きます。

もしもいらっしゃる方がいましたら、知らん顔しつつも暖かく見守って下さい(汗)

週末はずっと雨なんですって。あー、残念。まあ、散らない桜なんて美しくないんですけど。


一度、弘前城の桜を見てみたいと思っています。思い切って今年は行ってみようかな。

散った花びらがお堀に浮いているあれ。






お堀端で缶チューハイをガフガブ飲みながら弦楽四重奏で演奏、なんて気持ち良さそう!

つまみはメンチカツ、それから卵焼き、唐揚げ、餃子に熱々のおでん。





いやいや、大人らしくいこうよ。



眺めのいい辺りに緋毛氈を敷き詰め、ぼんぼりに火が灯る。

鯉の洗いに辛子の効いたぬた、甘辛く煮付けた里芋の煮しめ、どじょうの柳川鍋。鶉のつくね。

炭火で炙ったバチコも欲しくなる。

酒は辛口の日本酒かな。銀の瓶子に入れて、丁度良い人肌燗。

それに寿司も欲しい。江戸前握りではなく、よく酢の効いた小さめの鯖寿司。キリッと締まった身には脂が乗ってないほうがいい。塗りの重箱に収まっている。

花びらの浮いた大振りのぐい呑みを干しながら、山海の珍味に舌鼓を打つ。たまに鯖寿司を口に放り込む。

そうなると三味線も欲しくなる。崩し目に弾いた端唄に合わせて、若い芸者衆が扇子を拡げて踊り出す。合わせて小気味のいい太鼓が鳴り出す。


「お兄さん、お流れ頂戴しとうございます、、。」


「おお、もうちと近う寄りなさい。そんなに照れてないで顔も上げなさいな、、、」



「へぇ、お兄さん、失礼します、、」












ギエエ!!








(この写真、気に入ってます)








桜便りその4



昨日の最高気温は21度、四月上旬並みの暖かさとなりました。

桜も一気に開花。もう五分咲き位です。



あー、明日雨なのに。知ってか知らずか咲く桜。


今日は前半ガラガラで(最近、週末が12時位まで暇なのですよ、是非来てね)その後混み合いましたが、誰かがオナラをするというアクシデントが発生。

訝しげに「臭くない?」と声を発するお客様。


慌てて雰囲気を変える為に、エディットピアフの愛の讃歌を爆音でかけながら二人、団扇で仰ぐ。

「オナラくらいいいじゃないですか」と、文字通り空気を変えたくて。

そして思惑どおり、空気は明るく変わった。


そうしたら、ある感受性の強いお客様がいい店だな、と連呼して下さいました。

その人が犯人かはともかく(文字通り臭ったんだけど)何よりいい仕事が出来ました。(汗)


そしてその後、イタリア人の方から今頃貰った去年のハロウィンの写真。

ああ、よく撮れています。


僕らの本質がよく撮れています。









今後ともよろしくお願いします。










桜便りその3


つまんないけど、桜の観察を続けます。(海外閲覧者さま向けコーナー)

只今気温は17℃。早くも2分咲き位になってきました。



今回、写真を撮っていて思ったのですが、桜は下から咲いてくるのですね。

開花ホルモンみたいなのが吸い上げられて、下から順に信号を受け取るのでしょうか。真偽はわかりません。

因みに明日は雨の予報。


あー、代々木公園行きたかったなぁ。


そういえば今回、花見演奏アコーディオン用に「ザックカバー」というのを買いました。お客様のサラリーマン登山愛好家H氏のおすすめ。

アコーディオンケースは馬鹿でかく、重いのでかなり厄介なのです。なのでいつもケースを使わず、移動はほぼタクシー。





これをアコーディオンを背中に背負った状態で、、



装着するとこうなる、はず。




これならチャリで楽々移動出来ます。雨も風もホコリも花粉も、何より周囲の嘲笑の目も防げます!


黒は一点しか在庫がなく、僕はオレンジに、、。




こんな派手なの、困るんだけど、、。500円だし、まあいいっか。




、、、ふと、遠い若き日々を思い出してしまった。





友達100人出来るかなっ?!
(できねーよ!!)




桜便りその2



今日の桜@神田川

裾からだいぶ咲いてきました。0.5分咲きといったところ。




日曜は雨の予報が出てますが、これなら平気でしょう。

楽器を濡らす訳にはいかないので代々木公園にアコーディオン練り歩きは来週に持ち越し。(僕の楽器は古いので特に湿気に弱いのです 汗)


さて、昨日の特売のカルビ。オーストラリア産だったんだけど、これが臭いのなんの。安物のジンギスカンの肉みたいに強烈に臭かった。特に脂が臭う。一緒に焼いた野菜も何もかもこの味になってしまい、その後1日中、口の中がワキガみたいになった。( ;´Д`)

もちろん、食べきれず。



調べてみたら牧草で育てた牛くんはみんなこういう臭いになるんだとか。国産やアメリカ産は大豆やトウモロコシで育てるので臭いなし。

牧草のコストはかなり安くて、だから肉も特売になってたってわけ。

ちくしょー!!もう二度と買わない!

残りはニンニクまみれにしてカレーにぶち込んでやる。


肉はケチるとダメですねぇ。見た目じゃわかんないですし。これからはいい肉を少しだけ買おう。








新宿桜便り



ここを読んでる海外のお客さんがけっこう沢山おります。

このブログで、たまに日本を感じる時があると言われたので少し。


僕の住む新宿区の神田川沿いのマンションからは桜並木が見えます。今年も、今にも咲きそうです

( ´ ▽ ` )ノ





弾けそうなホップコーンのように、パンパンに膨らんでおります。本日は日差しが強い13℃。これからベランダに移動して特売のカルビで焼肉なんてしてみます。





日本はいいですよー。早く帰ってきて!(笑)

また咲いたらアップ致します。




おそめ 伝説の女



最近、あまり時間がなくて本を読んでいなかったのだけれど、本来、本を読む事が大好きです。

書物は偉大な先生です。僕が経験できないような栄華や修羅場を潜った知恵が、順序よく一冊に詰め込まれている。

特に悩んだりした時は、先人たちの体験談は何よりの特効薬であります。


後はそれを手に取って開くか、開かないかだけ。



石井妙子著「おそめ」





彼女は祇園の芸妓としてデビューし、戦争を経て京都と銀座の二軒のバーのママとなり、伝説を作り上げます。

顧客は某宮様から吉田茂、佐藤栄作に田中角栄、中曽根康弘、白洲次郎などの政財界人。青山二郎、小津安二郎らの文化人、服部良一の歌にもなり、川端康成や川口松太郎の著作のモデルにもなり、映画化までされました。


僕なりに、かいつまんで書いてみます。



大正12年、京都は三条高瀬川に上羽秀、という一人の女性が生を受けました。

裕福な炭問屋の父と美貌の母の元に生まれた秀は、幼少期から多難な人生を歩みます。母に欲情する祖父、それに嫉妬し、腹を立てて暴力を振るう父。

生粋の京女の秀は、様々な事情を経て新橋にて芸者修行をさせられます。

3年後、母が寂しいという理由からまたも急に引き戻され、急遽祇園からお披露目となります。芸者名はおそめ。





おそめはおっとりした性格と類稀な美貌にたちまち祇園一の売れっ子となります。

この頃の美貌は後の語り草で、道を歩くと人だかり出来たとか、後光を発していた、まるで観音様のように神がかっていたというような証言が複数あったそうです。

しかし、新橋での修行が災いしてか祇園の踊りに上手く馴染めず(新橋では藤間流、祇園では井上流を習っていた)おそめの人気への嫉妬も相まって周りの先輩から凄惨な虐めを受けます。

おそめは文句一つ言わずに勤め上げますが、家中のものを庭石目掛けて投げつけるといった行動でストレスを発散し、何とか自分を制します。(母が「次は上等の花瓶どっせ、ほないきまひょか」と渡す始末)



そして昭和17年、旦那に落籍されます。
相手は松竹創業家の末っ子、S。

Sはおそめを溺愛し、戦時中にもかかわらず着物から帯から与えまくり、一家は木屋町仏光寺の一軒家にて苦労もなく生活する。そんな生活に感謝するどころか、退屈さを抑えられないおそめ。


やがて戦争が終わり、旦那の経営するダンスホールにて踊っていたおそめは、居合わせた男に一目惚れし、その後妊娠までしてしまう。

それこそ生涯のパートナーとなる俊藤。彼はヤクザ同然の博打打ちで、しかも奥さんと子供が三人も居る男。(随分後に映画プロデューサーとして活躍し、仁義なき戦いシリーズなどを製作する事となる。)

その男の子供の一人が後の富司純子さん。寺島しのぶのお母さんです。(凄い)

Sとも縁を切り、手切れ金や家まで与えられたおそめは、食べるために自宅でバーを開くことを思いつきます。まだこの時代、祇園の芸妓などがBARを経営するという前例はありませんでした。

昭和23年開店。バーの名前はおそめ。


「おそめがバーを出したぞ!」

かつての祇園の旦那衆はこぞって通い、またも噂になります。

たった6席の狭い会員制バーはたちまち噂になり、はんなりした優しい性格と際立った美貌のおそめを見ようと東京からも作家や各界の名士が挙って押し寄せます。



仕事をしないで店の金で呑んだくれて女を作る情夫。実母と情夫の確執。情夫の家庭に仕送りをするおそめ。

それでも彼女は天真爛漫に働き続け、「おそめ」は益々繁盛します。

そのうち、常連に請われて東京に店を出さないかという話が持ち上がる。

おそめは若い頃に暮らした東京のサバサバした物言い、人情が恋しかった。


「うち、東京行きとうおす!」



すぐさま錚々たる常連による応援団が結成され、皆が手分けして場所探し、内装、宣伝、案内状、酒の手配をします。


そうして昭和30年、「おそめ東京店」を銀座三丁目にオープンします。毎夜信じられないくらいの人が押し寄せ、高級外車が晴海通りまで並ぶために辺り一帯が渋滞する。顔ぶれは歴代総理から経済界の重鎮、文豪に映画監督、俳優、スポーツ選手まで様々。

おそめは京都と東京という、国鉄の特急つばめで7時間半かかる距離を週に半分づつのスケジュールで往復するという考えられない生活を始めます。ついには毎週飛行機に乗るようになり「空飛ぶマダム」と呼ばれてマスコミを賑わせる事となりました。これにより日本一飛行機に乗ったお客として日本航空から表彰されたりしてます。
(乗り遅れそうな飛行機に直接電話して、待たせたりもしていたらしいです)





おそめの人気を面白く思わないのが当時銀座一の格式を誇る人気バー、エスポワールのマダム、川辺るみ子。

「おそめ」の客はエスポワールとほぼ同じ層。京都だからと静観していたものの、銀座に来るとなると話は違ってくる。

しかもこの頃の銀座のママは皆叩き上げで、戦前のカフェの女給から始まり、戦争前後には人に言えない苦労もあったらしい。

おっとり清楚な箱入りの芸者上がりの彼女が、白洲次郎を始めとする一流の常連客を味方に付けて出店した事が許せない。(るみ子は白洲次郎の愛人でもあったらしい)


ついにるみ子は酔って「おそめ」に乗り込む。

「この泥棒猫っ!カマトトぶりやがって!!」

頬を打たれたおそめは、涙を流しながらにっこりと微笑み返した。

(るみ子についてもっと書きたいのですがキリがないので)


その確執は川口松太郎(第一回直木賞受賞者)の小説「夜の蝶」のモデルとなり、山本富士子らによって映画化されます。それらは大ヒットし、連日取材陣が両マダムの元へと押し寄せます。


店はさらに隆盛を極めます。誰もがおそめを崇め、一目見たいと願う。作家の水上勉は紀伊国屋書店社長の田辺の同伴で初めて店に足を踏み入れた時に感激し、人目も憚らずおそめに跪いて白足袋に接吻をした。

この頃のおそめの金銭感覚は芸者時代からさらに磨きがかかり、もはや崩壊していた。電車の車掌が通るたびに一万円札を渡すとか、自分が食べもしない寿司屋の配達の小僧にまで数万円単位で渡していたとか、ポーター達がおそめの荷物を持ちたがって日々殴り合いをしていたとか、そんな調子。

その事を周りにたしなめられると

「うちはお金や物なんか残しとうおへん。残したいのは名前だけどす」

と言い放ったという。おそめは着物こそ凝った誂えをしてはいたが、宝石の類にはまるで興味がなく、稼いだ金は紙切れのように直ぐに使い切るのだった。


「お金ゆうもんは流れているもんや。流してあげたらまた流れてくるのやから。特に水商売は」



更にこんなエピソードも。

客の倒したグラスに悲鳴を上げて身を引くホステス達。皆、着物を汚したくないのだ。

下ろし立ての大島を着ていたおそめは酒の溢れたテーブルに覆いかぶさり「大丈夫どしたか?お洋服にかからしまへんでしたか?」とお客に聞いたと言う。

唖然とした客が着物を心配するとおそめは「こんなん、どういうことおへん」と風のように笑った。

この話はあっという間に銀座に広まり、男たちが目を細めながら「おそめらしい」と語るも、銀座の女たちは「全部計算よ、よくやるわね」とやっかむのであった。


おそめの負けん気からか、手狭になったと感じた「おそめ」は昭和32年、さらに銀座八丁目の巨大な店舗へと移転をする。

バンドが入るような大型店はもはやエスポワールを上回る広さ。そこにズラリと並んだ生え抜きの美しい女の子達。


更に昭和35年、木屋町仏光寺の6席のバーを売り払い、御池通りの土地を用意して総面積320坪の「おそめ会館」を建ててしまう。

インタビューに対して「なんやもう、ブレーキがきかんのどす、、」と答えている。


心配する周りの声をよそに、中にはナイトクラブおそめ、レストランおそめ、バーおそめなどが入り(全部おそめじゃん 汗)壁にはマリーローランサン、東郷青児の絵がかけられていた。




ナイトクラブでは雪村いづみや美空ひばりが歌ったそうで(美空ひばりがナイトクラブで歌ったのはここだけ)名実ともに押しも押されぬ日本一のマダムになった。


幸せもつかの間、おそめに、高度成長期の新たな波がやってくる。

社用族の経費での接待に銀座の客層はとって変わり、やがておそめの両店は格式だけ一流の時代遅れな店となり、売り上げがどんどん下がり始める。

面白いことにおそめの凋落と時を同じくして、事実婚の夫、俊籐は映画プロデューサーとして頭角を現し、東映の幹部になって多額の金を稼ぐようになり、おそめは複雑な安堵感を感じる。

とはいえおそめの衰退は止まることがなく、長年の周りからの嫉妬や、週刊誌の興味本位の加熱報道、支えてくれた一流常連客の高齢化による世代交代、全てがその理由なった。

多額の借金に追い詰められる中、ついにおそめの経営に止めを刺すようなある事件が起こる、、、。






とにかく、かなり内容の濃い本です。山口組の組長から銀座の女、白洲正子、小津安二郎に川端康成、銀座のクラブ「姫」の山口洋子や宇野千代、寺島純子さんまでありとあらゆる人が出て来ては、おそめと絡み合います。おそめが隠居してからもまだまだ波乱があります。


僕の読む限り、全盛期のおそめさんは仕事をしている意識はなく、ずっと遊んでいるというか、楽しんでいたんじゃないかな。人と関わり、好かれる天性の才能。稀有な人かもしれません。


しかし、おっとりした性格なのに負けん気が芽生えて、いつしか拡大路線に向かってしまう。

仮に、もし最初の京都の6席のままだったら、せめて銀座の手狭な規模の店のままだとしたら、おそめさんはどういう人生を送ったんだろうか。

なーんて、他人事とは思えない。(笑)




この本の面白さは、BAR「おそめ」の爆発的なヒットと、意外と早く訪れる凋落の構図にあると思います。マダムの持つカリスマ的特性と店の広さが関係しているのではないでしょうか。

これだけ勘のいい彼女が見抜けなかった拡大路線の落とし穴。年齢への不安や自尊心も理由としてあったのかもしれません。

とにかく、一代限りのマダムが時代に乗ってテンポよく挑戦する様は商売の面白さそのものであり、「小説より奇なり」の一言に尽きます。自信に満ちてぶっ飛んだ女ほど面白くて怖いものはない。


筆者が、毎日新聞の囲碁欄を担当しながら五年かかって書き上げた渾身の一冊。




ああ、僕も心の中におそめを抱いて頑張ろう。








本日22時からとなります


またまた、ロマン座の出演のため、開店は10時からとなります。

大変申し訳ありません。

お店の開店時間をズラすのは心苦しい限りなのです。が、頂く仕事は夕方スタートのケースが大変に多ございます。

なるべく月一度くらいに留めたいと思います。本業はBARですので。

どうぞよろしくお願いいたします。



(昼間の仕事くれー!)





隠れ家という幸福


さて、本日は告知通り熱海の隠れ家に来ております。

ここ、空いていれば離れの一軒家を独り占め出来ます。

とにかく静かで、お庭からはウグイスの鳴き声や蛙の声が、そして絶妙な音量で近くを流れる川のせせらぎが聞こえます。

あ、梅の香りがしてきた。


この旅館のお隣に昔、谷崎潤一郎が住んでおり、そこで細雪を書いたそうです。なるほど、風光明媚な訳だ。



ここがメインの12畳、広縁付き。一人でこんなに要らないんだけど。






風呂へと続く小間。ここに布団を敷いてご飯までの間、昼寝してみました。暗くて落ち着くわ。





風呂場の手前には脱衣所。木の香りがします。





お風呂はこんな感じ。レトロ好きなら問題なし。76℃の源泉が24時間使い放題!





飯も美味い。よくある旅館の安懐石風ではなく、きちんと手の入った豪華な家庭料理といったところ。

伊勢海老の焼いたのに新鮮なお刺身、鯛の焼いたの、ふっくら炊き上げた里芋と椎茸、茄子の田楽、渡蟹の味噌汁、、。

とにかくお米が美味い。甘くてツヤがあり、それでいてモチモチしてる。前回もそうだったけど炊きたてなんでしょう。手製のぬか漬けで、三膳もお変わりしてしまった。


その後は温泉祭り。入ったり出たりを繰り返し、日本酒飲んだり寝転んでミカン食べたり。


これで、どうして二食付いて1万円なんだろうか。しかも、盆暮れ年中同じ値段。


デートで泊まりに来て、もし2人分支払っても財布が痛まない。

孝行息子が母を連れて来たら、よくこんな広々とした宿をと、きっと褒められるに違いない。

新宿から小田急使えば片道1300円。



ああ、ここがある限り生きていける!


僕のカバンの中にいつも入ってるポーチ。リップクリームとかティッシュが入っている中に、渋めのポチ袋が入ってます。滅多に使わないアイテム。

ここに来るといつも二千円ほどを心付けとして渡します。「お母さん、少ないけどコーヒー代です」

他では絶対渡さない(笑)


駆け引きなく何かお礼がしたくなる、そんな宿です。




もし辛いことがあったらここに逃げればいい。もしいつか、良いことがあったら、ご褒美に二泊くらいしよう。


僕のお守りです。無くなったら寂しいじゃ済まないなぁ。





熱海市西山町 連月荘




金子國義さん


金子國義さん。そんなに沢山ではないけれど、たまにいらしては絵を描いて下さったり、僕の大好物の界隈の昔の話を随分聞かせて下さいました。

今日、亡くなられた事がニュースに出ていて驚いた。だって、少し前はとてもお元気だったんですよ。



最初にいらしたのは2007年。壁にスルスルと絵を描いて下さった。今はもう擦れて消えつつあるけど。










そして一昨年かな。また壁に男性を描いて下さったのはいいけど、大家さんから苦情が来て、ほんの一週間で消すことになりました。










気さくで、陽気で、本当にお酒のお好きな方でした。酔うとバレエを踊るのがお好きで、チェロとピアノの白鳥に合わせて踊って下さったり。


最後までウチの店の名前は覚えて下さらなかったけど、誰かに電話をなさって「ホラあの場末のピアノの処にいるのよ」なんて仰ってて、場末なりの誇りというか、僕はそう呼んで貰えることが何だか嬉しかった。


僕からしてみれば、今もセピア色の時代を生き続ける、絵の世界そのままの方でした。

僕に、「とにかく、美しくないものはダメよ」と仰ったのを今でも覚えています。


はい、僕もそう思います。




心からご冥府をお祈りします。







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佐賀藩主鍋島家令嬢伊都子。彼女はのちに梨本宮に嫁ぐが、明治から昭和に渡って77年間日記を残していて、その様相は「書き魔」と言わんばかり。初の洋行先のパリで買い物の様子や婚礼、即位式などの華やかな思い出を経て、戦中戦後の倹約の様子や時代に対する落胆ぶりなど。往時の匂いが漂ってくるかのような生々しさ。著者、小田部雄次の解説が当時の世情をわかりやすく補ってくれる。

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写真集 酒井美意子 華族の肖像
写真集 酒井美意子 華族の肖像 (JUGEMレビュー »)
酒井 美意子
加賀藩前田家令嬢の酒井美意子。マナー講師として厚化粧キャラでメディアに登場した姿をご存じの方もいらっしゃるであろうが、彼女は戦前まで駒場の前田侯爵邸に居住していたことを知る人は少ない。莫大な財産と華麗な人脈を、膨大な写真とコメントで紐解く、いわば現代版歴史絵巻的な写真集。必読。

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極楽商売―聞き書き戦後性相史
極楽商売―聞き書き戦後性相史 (JUGEMレビュー »)
下川 耿史
戦後の性関連産業を裏側の視点から取材した戦後風俗史。進駐軍専門のパンパン宿や性具の販売店、愚連隊、ゲイバー、カストリ情報誌、個室喫茶・・・。戦後の性に携わった人々の汗や息遣いが聞こえそうな一冊。

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京セラ、auの創始者ににして仏門に入った稲森氏が、街の小さな碍子工場を一代にしていかに大企業へと成長させたかを描く。単なるサクセスストーリーに収まらない哲学や思想を散りばめた珠玉の一冊。

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芝桜〈上〉 (新潮文庫)
芝桜〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
我らが有吉佐和子先生の長編。戦前の花柳界を舞台に、二人の女が艶やかに力強く生き抜く。温厚で情緒的な梅弥、狡猾で気ままな蔦代。共に授かった類い稀な美貌を武器に、ただひたすら戦前、戦後の花柳界を生きる。花柳界独特のお茶屋の仕組みや旦那制度、一本や水揚げなど、判りにくい独自の世界がこの一冊でよくわかる。ストーリを彩る、旦那からの贈り物の三越謹製三百円の帯や、大粒の翡翠の簪、英国土産の巨大ダイヤモンドなど、随所に登場する豪華絢爛な衣裳拵えと、それを取り巻く年増女将との丁々発止のやりとりの描写は必見。店主のバイブルと同時に、不動の一位たる女流文芸作品。

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書いた記事数:1517 最後に更新した日:2024/03/25

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