野草を食べやソウ!



お婆ちゃんの容体も少し落ち着き、スヤスヤ眠っております。今週中にどうとか、そういう急な事は無さそう。

そうなると、一同安心。元々飲み食いに目がありませんから大変な騒ぎ。

タイミング良く長野から山菜が送られて来て、皆んなで料理して食べました!



こしあぶら、タラの芽、山うどの天婦羅。塩で頂きます。こごみは胡麻和えに。野蒜は巻き込んでぬたにしました。

お庭で摘んだ蕗の煮物。蕗は庭の1/4くらいを埋め尽くしております。



同じく庭から摘んだタンポポのサラダ。

タンポポ、、美味い。アクもないし。



それに庭の三つ葉のお浸し。なんだこれ、全部庭のじゃんかよ。

昆布はさすがにお庭は無理だけど、大量に入って、たったの50円だとか。

シラスと和えてポン酢で頂きます。



もー、羨まし過ぎ。何で庭にこんなバンバン生えてんの?!鎌倉って侮れないわ。

食費はかからないし、季節感あるし安全だし。季節には梅も柚子もレモンもミョウガもネギも紫蘇も取れる。

花は水仙、桜に始まりツツジ、紫陽花、菖蒲、、、とずっと続く。まるで見飽きない。

ハンモックもブランコもあるし、いつも子供が走り回って賑やか。

んー、最高ですな。僕もいつか庭のある家に住みたい。






いいニュースとそうでないニュース



何だか最近、バタバタしております。

この秋、表参道に35坪ほどのレストランがオープンするのですが、そこの内装とコンセプトのプロデュースを頼まれました。

つまり立ち上げです。

最初は悩んだんだけど、「そのままキヌギヌみたいにして欲しい」の一言で快諾しました。

僕は自分なんかのアイディアに店を賭けて下さるという事に、涙が出るほど嬉しかった。

僕の店と同じくらいに愛情を注いで、心を込めて設えようと思います。



施主の方は「好きしにろ」位の勢いなので本当に好きにしようと思ってます(笑)

今まで夢に描いたアホな妄想も、現実化出来るかもしれません。勿論大きな什器も置ける。

思い付いた事をスケッチなぞに書きためております。古びたあらゆる楽器で壁を埋め尽くすプラン。



フランス辺りに買い付けに行くことにもなると思います。

勿論、キヌギヌ優先です。ここで勘違いしたオーナーが見誤って店を潰した事例を知っています。

気を引き締めて参ります。


そして、5/5の大きなコンサートでの演奏。5000人の大きなホールです。ロマン座もノッております。気が抜けません。漏らしたらどーしよ。

(終わったらまた報告しますね)


そして、、。伴侶のおばあちゃんが具合が宜しくないのです。今、鎌倉に向かう電車の中でブログを書いています。

今日は事務仕事が沢山あったんだけど、もしもの事も含めて急遽、向かう事にしました。

奇跡が起こって欲しい。


車窓の景色と同じく、頭の中で色んなことがすごいスピードで同時に動いています。

だからって何も出来ないんだけど。



久々の物欲!


節約キャンペーンを初めて8か月、欲しいものがほぼ無くなっていた今日この頃。

ヤフーオークションでとんでもなく可愛いものを見つけてしまった!!




アコニー、と言うらしい。1965年辺りに国体の鼓笛隊行進用に作られ、その後通算で100台位しか作られなかったという変なアコーディオン。そりゃ売れないわな。

今じゃ何台くらい現存するのか、、。

音が出る部分にラッパが付いていて、ちょっとブーブーいう感じの音。

とにかく見た目が可愛い。こんなの背負ったら遊園地のお兄さんみたいじゃん!チンドン屋感もかなり上がる。

持ち替えたら、曲に音色の変化も付きそう。



んー、130,000円か。修理も必要そう。


ネットで調べたら、所有者が数名いらした。アコーディオン奏者の3名と、飾りとしての個人所有がお2人、ある小学校が展示用に一台。


真鍮のサビを落としたらまた可愛い。




そして、見知らぬ方のお写真(問題あれば消します、すみません)





あー、やっぱ可愛い!!!


でも高いな。どーしよ。ワシの二ヶ月分のお小遣いじゃん。それに修理代も数万は見ておかないといけない。


もう少し悩んでみようか。


(屋形船の宣伝、1人で盛り上がりすぎて語気が強かったです。少し弱めました)




屋形船計画2015


アホのパーティー男が、懲りずにまた企画を立てました。

【キヌギヌ屋形船2015 今年は120名船にてクーラーの下ゆったり掘りごたつ座席確約!恒例邦楽社中も増員、アコーディオン演歌流しも乗り込んでの酒とカラオケ三昧、納涼地獄行きクルーズ!】


と、銘打ちましてお送りします。







7月の第二、第三日曜日辺りを予定しております。

去年、余りにも評判が良かったので、今年も敢行する事にしました!


新橋にてご活躍の日本古来のサービス業のお姐さんと、気鋭のプロの舞踊家をお招きして賑やかにお送りします。

お囃子にはお三味線が三梃、鉦と締め太鼓も付きます。(予定)

そしてアコーディオン二台による演歌流しも登場。江戸から昭和まで自在にタイムスリップして戴ける趣向となっております。

料金は邦楽社中さんへの花代込みの13,000円位の設定なると思いますが、内容からいって絶対に損はさせません。こんな船はなかなかないと思います。

若い子も頑張って来てね。楽しませます。

そして、今年もキヌギヌ側は1円も儲けません。ご安心を。


他の船に見せびらかすよう、窓から乗り出してのお三味線&太鼓の曲弾き、飛び入りコーナーもご用意(予定)

後半はお席の移動自由にて、狂気のカラオケ三昧と参ります。飲むも良し色気も良し、後ろから前からどうぞ。


二、三日中に日程と料金をアップしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。今年は80名位まで乗れますが、去年は60名、あっという間に満席になりましたので、今年はお早めにお取りになる事をお勧めします。

ご予約は料金をお支払いをもって確定とさせていただきます。


それではお楽しみに!




都はるみと仲間たち



都はるみさん、若い人はご存知ないかもしれませんが、有名な歌手であります。

百恵ちゃんさながら36歳の絶頂期に突然引退する。


「普通のオバサンになりたい」というシンプルな名言を残して引退する訳ですが、何のことはないほんの5年でカムバックする。(汗)


ご本人曰く、美空ひばりさんがこの世を去ったことに大きく関係していると言うことです。
ちょうど、ひばりさんの亡くなった年の暮れの紅白から復帰してます。うむむ、、、。



1984.12.30

その引退コンサート。本当の引退は12/31の紅白歌合戦となりますが、その前夜行われた特番より。この後半4分程にドラマが詰まっています。

さようなら都はるみ

大振袖で歌うはるみさん。




今までの着物を眺めながら歌います。彼女は京都は西陣の織元の娘さんなのです。この設え、素敵ですよね。




サプライズで芸能人が続々入場。本当に驚いてそうなはるみ。




先頭は水前寺清子。二番目が松田聖子、その後に八代亜紀、五木ひろしと続く。

誰が順番を決めるのか、とにかく凄い人数。



サプライズに涙がとまらないはるみ。振袖を、裏返して襦袢で涙を拭う荒技に出る。





話している後ろには八代亜紀。僕にはどうも嘘泣きのように見える。




明智探偵の推理風に考えると、はるみが引退して得をするのは誰か?というポイントである。

そうなると演歌の同い年以降、そうなると川中美幸、小林幸子、そして八代亜紀辺りとなる。

まあ、そこは置いておいて。


はるみ、悲しみでMCが覚束ないので、力を振り絞って居並ぶ芸能人の前で泣きながらもう一曲。

客の殿方のしわがれた掛け声は最高潮に!

「はるみっちゃん!」
「みやっこっ!」





川中美幸さん。何やら会釈と握手。ここは本当に別れを惜しんでいる感じがする。




明菜。涙が堪えきれません。とても自然。




啜り上げる明菜。堪える表情はやはり少女A。




左は、、岡田有希子さんかな?誰か教えて下さい。

そして聖子の前に。聖子、完全に涙腺が崩壊してブス顔に。特に気遣うはるみ。



何と!!

聖子にだけ、自分の大振袖の袖(しかも表面)で涙を拭ってやる。他の誰にもしない特別扱い。もしや着物に価値が付くのか。

やはり聖子の瞳はダイヤモンドだったのか、、。



そこへ小林幸子が歌いながらヒョイと割り込む。タイミング読みも角度も完璧。短時間のうちに握手も済ませる仕事の早さ。




八代亜紀とは、軽く握手して終わるはるみ。




チータは、絶対にはるみの側から離れない。梃子でも動かない見事な映り込み。
終始、暖かく見守る五木ひろし。





さっきまで泣いてたのに気を抜いてしまい、真顔に戻る聖子。



カメラが近づくと手で顔を覆い、ピタリと大泣きを始める聖子。この間僅か2秒。

それを氷のような目で見る、八代亜紀。



毎回、涙と映り込みのタイミングが絶妙なのです。先日の紅白の娘の沙也加の歌ったアナと雪の直後もそうですが、「涙芸」とも言えるその技、さらに磨きがかかっています。

すぐに聖子をフォローするチータ。その場のメインが誰かをよく理解し、能面のような笑顔でしっかりと映り込む抜けの目なさ。

三歩進んで二歩下がる精神がここにも見える。



そして、このよく分からん番組は終わるのでした、、。





重ねて書きますが、この5年後にはるみはあっさりと復活します。


何のこっちゃ。



因みに、翌日の紅白歌合戦。大トリの「夫婦坂」歌い終わりでも司会の森光子を抑え、チータが駆け寄ってロックオン&フォローしています。(左から伸びるグレーの着物が森光子)




素晴らしい安定感( ´ ▽ ` )ノ





華麗なる映り込み芸、今後も注目して見直したいと思います。そして、チータだけでなく小柳ルミ子もかなりの映り込み名人。

またアップします(何のために?)




、、そんな事はさて置き、最近の歌番組にこんなドラマがあるでしょうか。歌唱力もない、キャラクターもない、オリジナリティーもない、、、、。

こういう、ソロ歌手が競い合って火花を散らし、勿論歌でもやりあう、そうでないと歌番組は詰まらないじゃないですか。

八百屋で一山幾らで売ってるミカンみたいな小娘がダメ、ではないのですよ。

特売がお得に見えるのは、八百屋の奥の棚にマスクメロンや松茸が並んでいるからこそであってですね、、。



大盛りアイドルだけの時代、いつまで続くのかね。つまんないですよ。


それが言いたかっただけなんですけど。




※ご指摘を頂きまして、明菜の左は早見優だったそうです。


「何だぁ、この店!」



ちょっと自慢ですがお付き合い下さいませ。昨夜は、誠にキヌギヌらしい一夜でした。


最近、パーティーが終わってから予想どおり暇でして、雨の中ボヤボヤと営業しておりました。

日付が変わるその頃、見た事あるお顔の男女連れが来店。おっと、両方とも凄く有名な俳優さんではないですか。


最近この種類のお客さんは多いので慣れてはいたんだけど、二人まとめてとなると緊張する。女性は数回目、男性は初めて。


中々波が掴めず、割と緊張しながら接客をする。取り留めのない話。


2時間後。話が芝居論や劇団のエピソード、日本と外国のお客さんの反応についてと、多岐にわたる。だんだん熱を帯びてきました。

さて、僕も酔ってきた。(笑)そろそろ本領発揮と参りましょう。

芸能人だからって神棚に上げて拝むような特別対応は僕は好きではない。ご高齢か女性以外、椅子を譲るのもきまりが悪い。混んでいれば窓側に座って頂く。

そして、1人一芸をご披露頂くのがウチの決まり。(そんなのあったっけ?)


男性に拡声器を渡して、「音付けるんで何か朗読して下さいよ」と頼む。
んー、と頭をひねりながらも蜷川さんの舞台で演じたというギリシャ悲劇の台詞をやります、とのこと。おー、何だろそれ(笑)


女優さんには、「姐さん何か踊って下さいよ」とお願い。

こういう場合は大抵、95%位の確率で飛び道具を披露して下さる。ウシシ。

僕らアコーディオン二台で、赤いスポットライトをセット。


用意、スタート!!


素晴らしい朗読の後ろで怪しげな現代舞踏。アコーディオンがさらに物悲しいメロディー。

寺山修司の実験劇場さながら、アングラでシュールな空間。


ああ、大好物です。


俳優さんが笑いながら叫ぶ。

「何だぁ、この店!!」


うーん、確かに気持ち悪いですよね、、。



そのうち、即興芝居なんかやれたらいいな。音楽も即興、照明も即興、カーテン巻きつけてマントにしたり、ローマ軍の兜被ったり。

窓に即興で、書き割りの背景描いたりする人がいたら完璧。

そういや前に、結露した窓全面に富士山と松原を指でサラサラ描いてくださった人がいたっけ。そういう即興的なのがテンション上がる。

もちろん、観客もいないと面白くない。それがたったお一人だったりすると俄然、腕が鳴る。



5分後には闇に溶けて消えて無くなる、でも心には一生残るような上質な遊び。


飲みながらクダ撒くのも悪くないけど、たまにはこんな遊びをしたいもんですなぁ。








名残の桜



熱が少しあったのですが下がったので出勤。

昨日はご迷惑をお掛け致しました。

雨ですし、今夜も暇でしょうかね、、。こういう日はお花をいじるに限る。戴いた桜を戴いたベースで活けました。




戴いた桜は普賢象という種類です。

花弁から出る雄蕊が、普賢菩薩が乗る象の鼻に似ているから、なんだそうです。

トンデモなく重厚な桜。


こういう重い花は、花瓶に受け止められるだけの力量があるかが問われる。

まずヒヤシンスの瓶では無理。

たまたま前日にお祝いで戴いた、パリで買って下さったというオールドラリック。(汗)

予想どおり、しっかり受け止め合っている。スゲーな、、。


戴いたもの同士を組み合わせるというのは、貰った子猫同士を交尾させるような不思議な気分になります。

そして、モノによりますけど自分で悩み選んだものよりも評価が高かったりします。これは本当に不思議。今回もその最たる例です。


しかし、名残の桜もいいもんですね。眺めながらボーッとしてみる。





長く準備をしたパーティーも終わり、天気も悪いので心なしか寂しくなります。


なーんて言いながら、実はまた次に向かってゴソゴソ動き出しています。立ち止まると体が鈍ってしまうの。

まずはロマン座。急ですが5/5にめちゃくちゃ大きな仕事を頂きました。楽しみです。

その他にも色々あります。落ち着いて順番に準備します。

また終わりましたら順次、ここにアップ致します。


今夜はこんな嵐ですので、くれぐれも足元にお気を付けてお帰りください。
(店はいつでもやってますから)

本日お休み頂こうと思います



今朝起きましたら喉がパンパンに腫れておりました。
扁桃腺でしょうか、とにかく疲れが溜まると最初の信号が、喉の腫れです。ロキソニンを飲んで寝ていますが、全身が怠い。

雨ですし、大事をとってお休み頂こうと思います。

もし開けるようなら、またここにアップします。もしもいらっしゃる予定の方がいらしたらゴメンなさいね。


どうぞよろしくお願い申し上げます。




落語という小宇宙



僕は、昔から落語が好きです。

関西出身なので、たまに古い柔らかな大阪弁を聞きたくなります。海外で何日か過ごすと無性にざるそばが食べたくなるのと似てる。

今は行かなくなったけど、仕事が終わってから新宿の摩天楼の麓の朝までやってる海鮮居酒屋に一人で行き、刺身を肴に日本酒の熱燗を飲みながらYouTubeで桂米朝さんの落語を聴いていました。

なんとなく、古い江戸の街並みの中で一杯ひっかけてるみたいで(上方落語なのに 汗)楽しいんですよ。

一人で笑ったり泣いたりしてました。気持ち悪いでしょ。


その、米朝さんのお弟子さんで胃癌で亡くなられた桂吉朝さんも、好きでした。


今回、ご縁というのか不思議なんだけれど桂吉坊さんと知り合いました。彼は米朝師匠の孫弟子。直接の師匠は吉朝さん。点と点が線で繋がる気がしました。


この師匠筋の特徴は、落語以外の古典芸能を多く学ばれているというところ。吉坊さんも笛に三味線に長唄、お能まで習ってらっしゃるんですって。

今日は初めて拝聴する事が出来ました。






当たり前だけど広い舞台、あるのは高座と座布団一枚。

袖には見えないけど三味線と太鼓、笛と鐘がいるだけ。



何より吉坊さん、とてつもなく上手い。上手いというより巧い、の字が相応しい。

声色は勿論、キャラクターを使い分けてその間の取り方や、表情まではっきり表現なさる。それぞれが立体的で、勝手に動き出す。

その中で特に驚いたのが早口でまくし立てる芸。

主人公がお喋りをたしなめられて、言い訳するほどに早口でお喋りになるという状況なんだけど、それが機関銃のように、一度も噛まずにやってしまう。まるでテープの早回しみたいに。

男も女も入り混じって、仕草も付いて、息を飲む程の情報量。

マライヤキャリーの高音ファルセットや、マイケルジャクソンのムーンウォークさながら、十八番登場にお客さんは待っていたとばかりに手を叩いて大喜び!


そんな芸を美しく繋ぐのが袖に控えるお囃子。桜並木の下を散歩、というと「チントンシャンー」と始まり、なんとも優雅な気分。
吉坊さんは膝で立って、交互に歩く仕草をする。本当に歩いてるみたいだ!!


その時、僕にはちゃんと肩に積もる花吹雪が見えました。

お囃子も素晴らしい。お化けの音から雪の音、お寺の風情からモノが転がる音まで何でも来い。





そして、圧巻の、ある二人のやり取りの場面。

髪結いと客の旦那が両方とも歌舞伎通で、話が歌舞伎の方にばっかりになって、肝心の髪が中々結えない。

忠臣蔵の台詞の真似に熱中する髪結いに「おいおい、手が止まってるじゃないか、早くしなさい」なんてたしなめるんだけど、旦那もそれが楽しいもんだからついつい乗せられてモノマネをし、なかなか作業が進まない。


さらに真似事のラリーが続いてどんどん本気になってくる。凄い技術だな、なんて感心していたところ、、


急に吉坊さん、声色がもう一段階シフトチェンジし、本気の歌舞伎役者みたいな声色を使い出した。

何と、更にレベルを上げてモノマネし始めたのだ。今まででも充分素晴らしいのに、それでもまだ抑えてたのか。

こんなの見たことない!

みるみる顔まで変わり、真剣な眼差しで忠臣蔵を語り始める。姿まで物凄く大きく見える。お囃子も物凄く神妙で文句無しに上手い。

僕みたいな歌舞伎を見慣れていない奴が目をつぶったら、本当に歌舞伎座にいると錯覚してしまうくらいに迫力がある。

驚愕して呆然と聞き惚れていると、パッと少年のようないつもの顔に戻られ、「おい、いい加減にしなさい!」と旦那が髪結いにツッこんで現実に戻る。

ここで会場は一気に解放されて大爆笑。

ほー、これこそ憑依芸。もう骨抜きです。惚れた。

その後の髪を結う仕草も落語のそれというよりはパントマイムで食べて行けるレベル。何故こう、連続で畳み掛けるのか。


平面が立体になり、それが複雑に積み重なって縦横無尽に動き出す。遂には三次元を突き抜けてイメージの世界まで到達し、凡ゆるテクニックで心を掻き乱す。

たった一人で数人を演じ分け、時間の経過も場所移動もシンプルに説明することだけでも如何に大変なことか。

更に現実ではない「概念の世界」に聴き手をトリップさせてしまう構成力と技量、そして恐ろしい程の度胸。


僕はこういう芸に触れると、胸がカーッと熱くなります。

つまり大好物なのです。



吉坊さんの足元にも、爪先にも及ばないけれど、楽器やiPadの音源を使って営業していたのは、知らず知らずだけどこんな事がしたかったんだな、と再認識させられた。

所謂、「口先一つで聴き手をあらゆる場所に連れて行く」芸。


もし吉坊さんがアコーディオンを弾ければ、すぐさまパリのカフェになるだろう。ヘンデルを弾けばロンドンのお城の中にもなる。
鍋を叩いて京劇の音楽を流して中国の阿片窟だったのがフレッドアステアでハリウッド。インドだってアフリカだって行ける筈。


悔しい。羨ましい。僕も憑依したい。


僕もそんな事を出来る人になりたい。僕も歌舞伎の声色出来たり、早口でまくし立てる事が出来たらお客さんは大喜びなんだろうなぁ。

( ;´Д`)



本当は今日は疲れていたんだけど、凄く大切な忘れかけていたモノを突きつけられた気がする。

心地よい充足感。いやはや参りました。


万難を排して、またお伺いしたい。




フードにまつわるエトセトラ



パーティー関連ラスト。そろそろ切り替えないと前に進めません。

常日頃から、店でフードを出したいと願っておりました。今でも思ってます。面倒だから出さないとかではなく、狭いので収納が確保できないのがその理由。


僕は、お酒を飲むときには必ず何かを摘みます。塩分がないと唾液が出なくて、気のせいかお酒が入っていかないのです、、(笑)


今回のパーティーでは、どうしてもフードを提供したかったんです。お酒と音楽と設えがあったら、そこにはフードがないと、満足出来ない。外出してご飯食べることも出来るけど、雰囲気が壊れるからなるべく内部に留まって欲しかったのもありました。

逆に椅子とかエアコンは、最初から切り捨ててました。まあ、階段だしそもそも無理もあるんだけど、、。



で、今回、友人5名にスペシャルフードチームを結成して頂きました。皆さんプロ料理人ではないがお料理自慢の人々。

プロの料理はそりゃ素敵だけど、こういうパーティーだといまいち可愛気が足りない気がする。あくまで僕の好みだけど、こう、角がピンと立った一皿よりは、少し不揃いでもより愛着が湧く気がする。これは好みとしか言いようがない。


凄い長い時間をかけてやり取りをして、出揃ったのがキヌギヌロールという名の特製お寿司と、新鮮なキュウリ、スナック詰め合わせ。

お寿司は具沢山で、手焼きの卵焼き入り。








当初は豚汁とかお吸い物、他にも色んなアイディアが出ては消え、結局食中毒などのリスクを考えてこうなりました。

合わせてメンバーの所縁の鎌倉のパン屋さんから特注ベーコンパン、ラスクにココスティック。



そしてフードチームとは別で、真上のお店からはコーヒーとお茶、お饅頭。この日の為に誂えた特注品らしいです。センス良すぎ。凄いこだわり。泣ける。




キヌギヌからは夏のお決まりメニュー、フランクフルト。こちらはヤン先生の絶妙な焼き加減。





これだけあれば皆さんの胃袋も満たせる筈。


かくして、パーティーはスタートしました!


写真は控えますが、皆さん僕のリクエスト通り(済みません)パリのマルシェ風な古風なコスチュームにお揃いのエプロンとバッヂ。

敷物から包み紙から、一々こだわって下さって。それは勿論僕の好みを察して下さったんだと思います。




最初は眺めるだけの方が多かったけれど、1人が食べ始めると売り場に殺到、その後はバカ売れ!(笑)


僕らも負けてられないと、アコーディオンを担いで援護射撃。

優雅なミュゼットに乗せて「さー、パンのいい香りがして参りました。特製キヌギヌロールもございます、、瑞々しいキュウリは如何すかー?」


(まあ、僕はこれがしたかったんだけど)

お寿司やパンを頬張る人の横でアコーディオンを弾くと、なんとも言えない笑顔でこちらを見て下さって、目で合図を下さる。僕には「最高!」と読み取れた。


んー、生きる喜び。


手作りの美味しい食べ物を、作った人たちが自ら可愛い服を着て販売する。
設えもあって、生の音楽があり、そこに人が取り囲んで美味しそうな笑顔で腹を満たす。

綺麗とは言えない雑居ビルの踊り場、ほんの2畳ほどの空間ですが、僕の10年かかってしたかったことが実現しました。

写真には映らない、暖かい何か。

好きな要素全てが詰まってたといっても過言ではない狭い踊り場。

キヌギヌのガラクタを寄せ集めた内装を持ってしても、それより強烈に幸福なものを感じました。

こういうのを味わうと、場所とか道具とか店とか、無力ないんじゃないかと思ってしまう、、。

それこそ、同じメンバーでフリマなんかで弾きながら荷車引いて売り歩いたら、その場を完全に制圧出来そうな気がする(笑)


、、まあ、そんなこんなでかなり大量にあったんですが、完売となりました。


( ´ ▽ ` )ノ


僕は不器用なので、ちゃんとありがとうと伝えられずにいました。片付けとかでバタバタしちゃったけどゴメンなさいね。


梨花さん、サテロー、サイゼリ、ユッキー、竜さん、本当にありがとう。


あ、もちろん、演奏の皆んなや五階の両オーナーさま、スタッフ全員に感謝してますよ!


フードはとりわけ準備が長かったので、ちょっとブログに書いてみました。




パーティー関連、ご来場を賜りましたお客様と関わって下さったスタッフの皆様、長々とお付き合い下さいましてありがとうございました!





次回のブログはまた、戦後の銀座ホステスの半生に戻ります(笑)






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明治のお嬢さま (角川選書) (JUGEMレビュー »)
黒岩 比佐子
明治期の令嬢の実態を探る。たしなみ、学力、美醜の葛藤、結婚生活まで多岐にわたる。面白いのは多くの令嬢は今と変わらず贅沢品に執着したらしく、友人の持ち物を嫉む生々しい手紙なども解説入りで紹介されている。その他、当時の流行の髪型や美人術、痩せる薬などの広告資料も収録。

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宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして
宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして (JUGEMレビュー »)
高谷 朝子,明石 伸子,太田 さとし
千代田の森の奥深く、宮中賢所に57年お住まいの神職の女性の半生を描いた作品。下界と分断された森の中で祈りを捧げる日々。厳格な穢れの区別(下界のものに触れると潔斎しなければいけない)、四足のものは食べてはならない、毎朝数時間かけて髪おすべらかしに結うなど驚愕の生活と共に、日本古来の自然に寄り添った質素な習慣を紹介する。

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朝香宮家に生まれて
朝香宮家に生まれて (JUGEMレビュー »)
北風 倚子
渋谷・松濤の鍋島公園一帯は戦前、広大な鍋島侯爵邸であり、著者の住まいであった。大空襲で火の海になった屋敷を逃れ、昭和という時代を生き抜いた、旧華族のお姫様の生涯。

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社長 島耕作(8) (モーニングKC)
社長 島耕作(8) (モーニングKC) (JUGEMレビュー »)
弘兼 憲史
言わずと知れた島耕作シリーズ単行本。長い経緯はさておき、弊店が表紙になっております。店主もタキシードでモデルを致しました。
是非お買い求めくださいw

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梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫)
梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫) (JUGEMレビュー »)
小田部 雄次
佐賀藩主鍋島家令嬢伊都子。彼女はのちに梨本宮に嫁ぐが、明治から昭和に渡って77年間日記を残していて、その様相は「書き魔」と言わんばかり。初の洋行先のパリで買い物の様子や婚礼、即位式などの華やかな思い出を経て、戦中戦後の倹約の様子や時代に対する落胆ぶりなど。往時の匂いが漂ってくるかのような生々しさ。著者、小田部雄次の解説が当時の世情をわかりやすく補ってくれる。

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写真集 酒井美意子 華族の肖像
写真集 酒井美意子 華族の肖像 (JUGEMレビュー »)
酒井 美意子
加賀藩前田家令嬢の酒井美意子。マナー講師として厚化粧キャラでメディアに登場した姿をご存じの方もいらっしゃるであろうが、彼女は戦前まで駒場の前田侯爵邸に居住していたことを知る人は少ない。莫大な財産と華麗な人脈を、膨大な写真とコメントで紐解く、いわば現代版歴史絵巻的な写真集。必読。

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極楽商売―聞き書き戦後性相史
極楽商売―聞き書き戦後性相史 (JUGEMレビュー »)
下川 耿史
戦後の性関連産業を裏側の視点から取材した戦後風俗史。進駐軍専門のパンパン宿や性具の販売店、愚連隊、ゲイバー、カストリ情報誌、個室喫茶・・・。戦後の性に携わった人々の汗や息遣いが聞こえそうな一冊。

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 (JUGEMレビュー »)

京セラ、auの創始者ににして仏門に入った稲森氏が、街の小さな碍子工場を一代にしていかに大企業へと成長させたかを描く。単なるサクセスストーリーに収まらない哲学や思想を散りばめた珠玉の一冊。

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芝桜〈上〉 (新潮文庫)
芝桜〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
我らが有吉佐和子先生の長編。戦前の花柳界を舞台に、二人の女が艶やかに力強く生き抜く。温厚で情緒的な梅弥、狡猾で気ままな蔦代。共に授かった類い稀な美貌を武器に、ただひたすら戦前、戦後の花柳界を生きる。花柳界独特のお茶屋の仕組みや旦那制度、一本や水揚げなど、判りにくい独自の世界がこの一冊でよくわかる。ストーリを彩る、旦那からの贈り物の三越謹製三百円の帯や、大粒の翡翠の簪、英国土産の巨大ダイヤモンドなど、随所に登場する豪華絢爛な衣裳拵えと、それを取り巻く年増女将との丁々発止のやりとりの描写は必見。店主のバイブルと同時に、不動の一位たる女流文芸作品。

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書いた記事数:1517 最後に更新した日:2024/03/25

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