ロマン座近況でございます



春は何かとリニューアルオープンや、発表の機会が増えます。

ロマン座も、そのお陰様で沢山出番を頂いております。

月曜日は丸の内、新丸ビル7階にてLINEスタンプの発表会。パリ在住の画家、河原シンスケさんの作品です。

ウサギがパリジャンとパリジェンヌという設定なので、是非とも、とご依頼頂きました。




よかったなー、ロマン座はフランス設定で。体験からして日本の方はフランス音楽がお好きな方多いですし、割と、何とも親和性が高いようです。

テレビ番組、アタック25の優勝者の「パリ挑戦権獲得」のエッフェル塔の映像を子供の頃に毎週見て、「ああ、憧れのパリ、、」と、サブリミナル的に刷り込まれている人も少しはいると思います。僕だけかな。

これがもしも、ジンバブエの太鼓「ンゴマ」とかベラルーシの珍しい弦楽器「ドムラ」のユニットだったら、こんなに依頼を頂いていなかったかも知れない。(民族楽器を批判している訳ではないのですよw)


ともあれ、大盛況でございました。






その後、フロアの全店舗を練り歩き。おじさまから千円札を頂きました(笑)

嬉しかったよぉ、、。憧れの昭和の流し。


そして、火曜日は歌舞伎町入り口にある、とんかつ茶漬けで有名なすずやさんのビル竣工パーティー。






昭和30年代のオープン当時、民芸運動に携わっていた先代が棟方志功に依頼したメニューを三十部用意したら、1週間で二部しか残らなかったとか、とにかく面白いエピソードと歴史のあるお店です。

5階建てのビルがどーんと10階建てになりました。おめでとうございます!





そして本日水曜は鎌倉、鶴岡八幡宮の桜並木(段葛)の工事が終わり、中村吉右衛門さんの通り初めの日。

懇意にしていただいている、キビヤベーカリーさんのご依頼で、その並木の前で演奏させていただきました。





お隣のこすずさん(お蕎麦屋さんで、わらび餅で有名)の大将にもご挨拶。昔随分とご馳走になりました(笑)




とまあ、毎日お店を開けながらも、二足の草鞋でバタバタやっております。

そして周年の準備。お馴染みの弦楽四重奏団と新たにしょうじくんコラボの曲など、何やかんや用意しております。





まあ、好きなことやってるので苦ではないのですが、色んな音を聴きすぎて、クシャミすると鼻から音符が飛び出しそうです(汗)

今夜は何故か、狩人のあずさ2号が頭から離れません。困ったな。






さて、もう明日から4月ですね。僕の最も好きな季節であります。


皆さま、お仕事やお勉強、新年度から環境が変わられる方も多いと思いますが、どうか頑張って下さいね!


お店でも、またお話聞かせてくださいな。



僕たちの出勤日は

シンスケ 月曜日、火曜日
しょうじ 水曜日、木曜日

2人で入るのが金、土、日曜日となります。


どうぞよろしくお願い致します。



私は鎌倉から戻り、家でセコセコ紙芝居を書いています(笑)










紙芝居



迷ってたんですが、買ってしまいました、、。




11,000円でした。まあ、店と色も合ってるし、、。


どうせなら4/9の11周年パーティーでやっちゃおうかと。


オープニングとラストはありモノの曲で弦楽四重奏、軽快なシーンはアコーディオン、もちろんピアノも。

戦乱のシーンは太鼓と龍笛。法螺貝もあったな。


飛び切り下品なストーリー考えなきゃ。絵も描かなきゃいけない。


どーしよ。



ってか、ウチは何屋なんだろうか、、。




そうそう、閉じるとアタッシュケースみたいになるんです。





いつか僕が照れを捨てられたら、子供を集めてどこかの公園でやれたりして。


そんな老後も悪くないかも。















ミュージカル「BKLYN」


お馴染み、ジャズシンガーの牧野竜太郎くん。

いつ見ても濃い顔です。





都内のジャズクラブを中心に歌っていますが、さらに最近は、みずほ銀行やポカリスエットのアジア圏でのCMソングでも活躍されています。

今回、彼がミュージカルに出演するとの事です!!


「BKLYN」
(ブルックリンと読みます)




ニューヨークに生きるストリートミュージシャンをテーマにした作品。



【ストーリー】


ある晩。ニューヨーク ブルックリン橋のたもと。日銭を稼ぐために、ストリートパフォーマー達による、「物語」が始まる・・・。
1969年パリ。
夢とギターを抱えてパリに降り立ったアメリカ人テイラーは、ダンサーを目指しつつも小さなカフェで働く、若く美しいフェイスと出会い恋に落ちる。
二人は愛し合い、テイラーは未来を信じてララバイ(子守歌)を作り始める。
しかし、その曲が完成する前にベトナム戦争への招集がかかり彼はアメリカへ戻ることとなった。
フェイスに子供が身ごもっていたことも知らずに…。テイラーは再び彼女の前に現れることはなかった。

フェイスは生まれてきた女の子にテイラーの生まれ故郷である、ブルックリンの名をつける。
やがてパリで有名なダンサーとなったフェイス。
しかし、戻らぬテイラーへの思いは絶望へと変わり、7歳のブルックリンを残して自らの命を絶つ―――。

時は経ち、孤児院で育ったブルックリンはある日 母の言葉に導かれ、まだ見ぬ父に会うため未完成のララバイを手掛かりにニューヨーク ブルックリンへと旅立った。
自らも歌手となり、成功を収めるブルックリン。
しかし、名声を武器に父親を探し出そうとする彼女の前にはR&Bの女王と呼ばれるパラダイスが立ちはだかる…。
愛と、名声。そして信頼。
ストリートパフォーマー達が語る「物語」の結末とは・・・。





牧野氏は5人の出演者のうちの1人で、ストーリーの進行役なんですって。





皆さま、宜しければ是非ご覧ください。因みに僕は15日15:30の回を見に行きます。

赤い字の日程が牧野竜太郎さんの出演日となります。

チケットの取りまとめはキヌギヌではしておりません。大変お手数ではありますが

r.makino.mail@gmail.com

宛に直接お願い致します。




こちらは彼のブログ、ミュージカル関連のお知らせです。


どうぞ皆さん、彼を応援してあげて下さい。


頑張れ!竜太郎!!





ベランダに春が来た



アイアンフェンスを入れて、早2ヶ月。

寒空の下、枯れ枝をフェンスに巻きつけるほど物悲しい作業はありません、、。

早く芽が出ろ、そればかり願っていました。しかしコレばかりはどうにもならない。時間を掛けるしかないのです。


この1週間でどんどん芽が出てきました!


モッコウバラ





アケビの蔦からも。





ワイルドストロベリー。二、三輪花が見えます。楽しみ。





ミントも旺盛に育っています。挿し芽をした5本も植え込んで、更に10株くらい準備しているので、かなり収穫出来そう。



バラ、ピエールドロンサール。こちらもどんどん芽が出てきました。





ミモザも満開、今週いっぱいが見ごろです!




ローズマリーも少し花が付きました。





そしてビバーナム。こちらも花が咲いてます。青い実がなるそうです。





いちぢく。こちらも少しだけ芽吹いてきました。




そしてブラッドオレンジ。こちらは常緑なんですが、やはり春は芽吹きの季節。

今年もオレンジ食わせてくれ。



タイム。緑が濃くなってきました!







どんだけあんねん、、、。と、数えてみたら24種類植わっていました。


とはいえ、まだスカスカです。悲しい、、。






更に、時計草とジャスミンが来ます。これらは常緑で、冬場にフェンスを覆う為のもの。バラと蔦が落ちたら交代でフェンスを隠して貰います。

とはいえ、夏場のゴミゴミした感じをどう処理するかが問題、日当たり悪くなるし、今考えてるのはフェンス外側から誘引してサンドイッチで挟んでしまう計画。

出来んのかいな、、、。




ジャスミン、冬場も葉が落ちずこんな風に目隠ししてくれます。



こちらは時計草。いわゆるパッションフルーツの仲間です。これも冬場もボサボサ。




隙間のない立体的なグリーンに作り込んで、この店の一番の見所は外のジャングルです!って所まで持って行きたい。


日々変化する緑を眺めながら、皆さんにお酒を楽しんで貰いたい。


やって出来ない事はない!!




(・Д・)ノ







夏のこと。






ご報告なのですが恒例の屋形船。


今年で三年目となる筈でしたが、今回は一度お休みしようと思っております、、。


誠にすみません。


と言いますのも、去年、デザイナーの丸山敬太さんのプロデュースする盆踊り大会が伊勢丹屋上にてありまして、そのバンドのキャスティングと編曲、演奏を我々2人が担当させて頂きました。



今年もその続編が予定されており、その予定がまだ見えないのです。

イベントはどれも長く続けたいと思っているのですが、年々色々な事が起こります。有難い事ですが、いつも展開が読めません。

去年は欲張りすぎて詰め込み、少しこんがらがったりもしました。その反省もあります。


屋形船を楽しみにして下さっていた方には申し訳ないのですが、今年はそのようにさせて頂きますので、どうぞご理解下さいませ、、。





昨年の目玉は、しょうじくんが編曲と音源作成をし、バンド10名が重ねて生演奏した、元ピチカートファイヴ、野宮真貴さんの「東京は夜の7時音頭」。


野宮さんのYouTubeアカウントより


大変好評だったようで、今年も伊勢丹の新宿本店プラス地方でも開催されるとのお話です(まだ未定ですけど)










と、屋形船だけをタダ中止する訳には行かない。僕だって浴衣着て夏らしい事したい。


その代替イベントを考えました。


夏の浴衣祭り!@5丁目キヌギヌ。日程は未定ですが、どこかの日曜辺りかな。

昼過ぎくらいから浴衣で集まって邦楽を聞きながら酔える、夏らしいイベントを考えております。

毎度お馴染みフランクフルト(僕が好きなのです)やら、かき氷や冷やしキュウリに塩トマト、流し素麺、、、?も。


射的も、、。


あっ!お酒の棚そのまま使えるじゃんかよ!





そんな中で舞踊もやって頂けたらいいなぁ。でも狭いかな。






ネットでこんなの見つけました。





紙芝居、、、。



一台11,000円。腹話術人形の1/9の予算。うーん、魅力的。


浴衣なので敢えて、清水の次郎長とか森の石松とか、和物の古臭いやつをやりたい。




手作りで絵を描く。セリフはネットから引っ張って裏に書けば覚えなくて済む。

台詞の声色だけだけだと自信ないので、太鼓や三味線など、お囃子を5人くらいお願いしてですね、効果音も付いての贅沢紙芝居にする。


ザルに小豆を入れて波の音。


ザザン、ザザー、、、、


拍子木「チョン!」


シンスケ「お控けぇなすって、、」


三味線「チンチリチン、、トン」


シンスケ「あっしは生まれも育ちも江戸は傾奇者、、、」


紙芝居が次の場面に変わる。春の富士山の絵。桃色の紙吹雪が落ちるとスポットライトが当たる。



シンスケ「こんな所で出逢ったのも、何かの縁、、、」

三味線と平太鼓「チンチリトテ、チャカチャンチャンチャン、、」



客席「待ってましたーっ!!」(拍手と歓声)






ああ、楽しそう。´д` ;




お芝居は衣装も揃えて大変だけど、紙芝居なら何とかなりそう、、。



なんて妄想しながら、4/9の11周年の弦楽四重奏の楽譜を書いてます。



はい、欲張りです。









オモロい本を読んでます。



英会話の先生と会話をしていて(もちろん英語で)今何の本を読んでいますか?という質問に対しての回答。


トーシャ・シルバの「私を変えてください」という本ですって。

調べてみたら、思い切りスピリチュアリズム関連の本なので、むむむ、、と思っていたのです。たいてい表紙のデザインが気味悪いし、あまり最後まで読めた記憶がない。


まあでも、と、連休で読んでみようと手に取りました。


いわゆる「スピリチュアル系」の話なので、苦手な方はスルーして下さい。(笑)


噛み砕くとこういう考え方の本でした。

神が全てを動かしているこの世。人間はそこで役割を与えられ、動かされているだけなんですって。


※神が、、と書くと、急に宗教臭が強まるので「大きな力」と僕流に勝手に書き換えます。宇宙でもお日さまでもご先祖さまでもいいんじゃないかな。


人間は、上手く行ってても、つい自分の保身や嫉妬で逆らって「エゴ」に基づいた行動を取ってしまう。

そこで、エゴを手放して自然の流れに身を任せた瞬間、全てが上手く流れ出す、という内容。


例えば最初の書き出しのページ。

離婚調停中の夫婦。娘がいて家や財産があり、こんがらがってもうどうにもならない。奥さんはあんなに愛した旦那の目も見られない。旦那とは話し合いをしないといけないのに、何か言うたびに癇癪を起こしてヒステリー状態になる。

奥さんはトーシャにアドバイスを求めます。

あなた、本来じゃないエゴの方の自分が全てをコントロールしようとしてるのよ。

エゴの自分はただ怖くてブルブル震えてる自信のない自分。ヒステリーになってもそっと抱きしめてあげればいい。

それより、元々の「大きな力」に身を任せてみたら?その力は全てを自然の方に導いてくれるだけ。離婚も財産分与も、抵抗するとこじれるだけこじれる。逆らってるのはいつもエゴの方なのよ。

困った時はこう唱えるの。「大きな力よ、自分を変えてください。あなたに流されるままに従います」


奥さんは言われた通り繰り返し唱えて、力を抜いてみた。そうすると旦那の目を数ヶ月振りに見られるようになり、あれだけ揉めていた調停が30分で終わった。そして一月経たないうちに支払額と同額の仕事が決まった、という話。




うーん、なるほど。

そう何でも上手くいくとは思わないけど(笑)確かに流れに逆らってるのは事実かも。


自分の思い通りにならない事があったとしても、それをすぐ相手のせいにしてしまうのは自分のエゴであって、周りが全て悪いわけじゃない。


実家の事や、僕の周りに起こる事、、。全てそうかも知れない。


確かにお店を始める時にはネットで美輪さんのブログを偶然読み、親方が融資してくれて、不動産屋の婆さんの案内で全てが3日くらいですんなり決まった。

その時は何も無理はしてない。流されただけ。正に「大きな力」かも。


昨日のブログとリンクするんだけど、最近は自分のキャリアや経験、鈍っている時の勘(これが一番痛いよね)に頼って行動し過ぎていた。それは単なるエゴの隠れ蓑ないんじゃないか。

それに、夜中にお腹減っていないのに毎晩ラーメン食べたり、小雨でもタクシー乗ってたのはそういうエゴのせいじゃないか。

偶然かも知れないけど3月に入ってダイエットしてそれらを止めてから、そんな事を薄々感じてました。

ラーメンを止めた瞬間、スルスル体重が落ちて、気持ちまでスッキリした。

そうするのが当たり前だ!と思い込んでいた呪いがどれだけ自分を支配していたか。

劇的に変える必要はないけど、もうちょっとシンプルに生きたいのよ。







本を読んだ後、こんがらがった事柄をテーブルの上に等間隔に並べられたように感じた。



彼女の本には、流されることと受け身である事は全く別だと書いています。約束を破られたら怒るし、暴力夫に殴られ続ける事が自然に身をまかせる事でもない。それとは別。

でもその時に、自分にも直すべきサインがある、それに気付いてナチュラルなチョイスをしなさい。そういう事らしいのです。


なーるほど。

では、おっしゃる通り僕も大きな力に流されてみようかな。

本にあった、迷った時に唱える言葉の「神よ、、」は苦手なので、さらに砕いてみた。


「では流れに任せます!どーぞ!」


で、いいかな。



ご興味のある方はどうぞお読みください
。特定の神様の名前が一切出てこないのがこの本の良いところ。



そして英語の先生、いつもありがとうございます。





蕗の薹と向き合う



昨日は鎌倉で山菜天ぷら大会でした。

差し入れの山菜を、どこか駅前のデパートで買って鎌倉に向かおうと、家を出て中野坂上駅に向かう途中。


いつも通らないルートを歩いていたら、普段山菜なんて売っていない酒屋さんで、ふきのとうが山盛り売ってたのです。しかも激安!


きっと山菜の神様がお土産に持たせてくれたんですね。どうしてそのルートを通ろうと思ったのか、全く思い出せない。

ふきのとうの写真を撮ってると、お母さん大サービスのポーズ。





1.5キロ近く入って2000円。先日、6粒で600円ってのを見たばっかり。やはり旬の終わりには値崩れするのかしら。僕には初物なので、関係ないけど。


11人で天ぷらに。

ふきのとうの苦味がビールによく合う。こりゃお酒がススムくん。




翌朝、フキを明るいところで掃除します。あれだけ食べたのにまだこんなにある。どれだけ入ってたんだろう。

そう、一晩でアクが出て、直ぐに痛んでしまう。キャベツやレタスならこうはならないんだけど。






粗く刻んで、ごま油を熱してザッと炒めます。




砂糖、塩、酒、みりん、味噌を加えて水分を飛ばす。




ほい、出来ました!


白ご飯に載せて、、、



キッチンで立ったままモリモリ頂きます。寝癖なんて気にしない。




美味い!!



安く売っていたらお試しください。冷蔵で一年持つそうです。

常備菜として、旦那さんの晩酌にも、オニギリの具にも。


失礼しました、、。




お店を始めたキッカケ その2



バタバタしてしまい、丸一日引っ張ってしまいました。続きを書きますね。


美輪さんからの突然のお電話。


呆然となる僕に、色々なお話をして下さった。正直、あまりよく覚えていないのです。ビックリしすぎて。

美しいものは栄養と同じだから生きる上で絶対に切らしちゃダメ。それを提供するのよ。

それと店内のタバコはダメよ、歌手の声に良くないから、と。その2つの話だけはよく覚えています。


その後、何度かご連絡を取らせてもらう機会がありましたが、まだご来店は叶っていません。一度昼間にいらしたのだか開いていなかったわよ、という話も(ホンマかいな)


ともあれキッカケとなった方に、僕がお店を始められた感謝だけは伝えられたので、それで充分なのかなと思います。


会うと何かが終わってしまうような気もします。


その頃は水曜日定休、勿論1人で働いていて、1ヶ月、1年があっという間、って毎日でした。

お店で喜んでもらえる仕掛けをいつも考えては、毎日実験ばかり繰り返していました。今思えばお客さんに随分無茶振りばかりしていましたけど。

メチャクチャ忙しく、しかも仕事明けには毎晩朝まで飲みにも行く。とにかくやりたい事が沢山あり過ぎて。若さもあり、なんだか馬車馬のように走り回っていました。


でも、どんなに店が上手くいっても張り合いがないと続かない。誰かに、まるでお母さんのように手放しに褒めて欲しい時もある。

そんな時の美輪さんからの励ましは、とても深く心に染みました。今でも感謝しています。


美輪さんは僕にとって、情緒におけるお母さんなのかも知れません。



あれから10年。


移転して広くなった事と、歳を重ねてしまい、あの頃と比べると失われた「熱」は少なくありません。人生って平等で、誰しもそういうものなのかもだけど、何て残酷なんだと思う時もある。


加えて、店を始めた頃の自分と今とを比較してみると、経験と知恵は付いたけれど、随分ひねくれて身勝手になっちゃったな、と感じる瞬間が多々あります。

長くやってきた事(とは言え11年だけど)が余計な自信に繋がっているのかも知れません。自分が間違っているかも知れないのに、「経験があるから僕は間違いない」。なんだそれ。


その割に、すぐに人のことを羨ましがって僻んだり。


実は最近、自分に少し自信を失っていました。


もう戻る事は出来ないけど、せめて素直な頃の自分を思い出せたら、なんて思い、こんな日記を書いてみました。

書いていると、工事のニスの匂いとか、大昔に演奏した曲のメロディなんかが蘇ってきて、まだまだ若いな、なんて思ったり。


あの頃は偉く思われたいとか、お金が欲しいとか、モテたいとか、そんなんじゃなかった。

キレイ事ではなく、お客さんに心から楽しんで笑って欲しいだけだった。そしていつも、評価は後から付いてきた。


全てを年齢のせいにはしたくないけど、少なからず年月を重ねた事とそれは関係があるような気がします。



話が逸れてだんだん雲行きが怪しくなってきました、、。(汗)



いつかまたチャンスがあれば、やはり美輪さんに御来店頂きたい。そしてもう一度お礼が言いたい。

僕には今の仕事しかないし、普段からお店の事しか考えていない。そんな熱中できるものと出会えたのは、あの時頂いたキッカケがあったからだと思います。

今度機会があれば、良い歳の重ね方を聞きたいな。

彼は気管支を長く患われた人生の中で、4回も5回もブレイクを果しました。ちょっと他の人では思いつきません。そして最近の紅白でも少しも声量が衰えていない。


実際に歩んできた人の歩みほど、説得力のあるものはありません。


まだまだ頑張らないといけないですね。目覚めればまた新しい1日が始まり、生きている限りは何度でも、何回でもチャンスがある。






さて、今夜は寝るとします。皆さん、お仕事頑張って下さい。僕は連休ですけど(笑)



変な〆になってしまいましたが、昔話はこれにて終わり。



お店を始めたキッカケ その1



僕がお店を始めた辺りのお話。

ふと思い出しました。暇つぶしになれば(笑)


2005年のお正月、前職である青山の大きなインテリアの会社が、さらに大手企業に売却される事になりました。急な事業拡大に、資金繰りが悪化したらしいのです。


いわば青天の霹靂。不採算事業は整理され、僕が継続して働けるのか、それともクビになるかもまだ分からない。その前に予想される山のような整理業務。

既にかなりのハードワークでして、代官山にバーのようなクラブのような飲食店をオープンさせたばかりで泊まり込みが続き、精神的にもかなり参っていました。

会社の運営が怪しいのは秋頃から噂が流れ、その表れとして店の備品なんかを買うために決済を求めてもなかなか下りなかったりしていました。

仕方ないので家からそれぞれ持ち寄ったり。オイルサーディンの空き缶の灰皿だったり、不揃いのグラスだったり。

そうそう、その代官山のお店がとても面白かったのです。

元々潰れちゃった地下のハンバーガーレストラン(地下でハンバーガーレストランってのがちょっと、、)の跡地を、持て余したオーナーが使ってくれとの依頼で工事費もないので巨大ハンマーで穴を開けて瓦礫のまま見せる。廃墟の中に本体の家具屋から持ってきた大きな古いシャンデリアやソファを配し、継接ぎのビロードのカーテンにローソクを焚く。

手作りにしては中々荘厳でユニークな雰囲気でした。

沢山のミュージシャンや、アーティスト、映画関係者、モデルの山口小夜子さんも生前、いらして下さいました。


ただ、余りにも労働環境が悪く、僕は会社売却のニュースを聞くと、直談判してさっさと辞めてしまいました。

管理職の身分で、です。(汗)


辛くて逃げ出したのが本音なのです。自分の健康も不安なのに、お店の残務整理と、(当然クローズ対象でした)それに元々立ち上げた代々木上原の店舗も関わっていたので、体力的に持たない予感がしたのでした。


辞めてしばらく、旧知のヴァイオリン屋さんのビラ配りなんかをさせて頂きながら、文字通り毎日腐っていました。


だって、今まで戦友みたいに働いていた部下や仲間を裏切って、自分だけ楽になって申し訳なくって。

それに、やりたい事もないし。また勤めに出るかななんて考えながら。そう、まだ29歳でした。

半分鬱みたいになりながら、ビラ配りをする以外は家で起きるでも寝るでもない、海に漂うクラゲのように呆然と生活していました。


そんなある日、ネットをいじっていると美輪明宏さんの書いた「新宿」にまつわる文書を見つけました。

新宿をテーマに、沢山の人がエッセイを寄せていました。新宿に関係のある、何かのサイトでした。



読むうちにどんどん引き込まれました。とても面白く、エネルギッシュなお話。

要約すると、戦後の新宿は世界三大歓楽街だったという話。パリのサンジェルマンデプレ、ニューヨークのグリニッジビレッジ、そして東京は新宿。

新宿の界隈には沢山の古く狭いバーが軒を連ねて、そこには文化があった。そして、金持ちも学生も売春婦も文化人も入り乱れたサロンが形成され、人々が毎夜、熱く語っていたという。

美輪明宏さんが言うには、土地には固有のパワーがあって、それは何にも勝るモノらしい。新宿にはそれがまだ残っているのに、どんどん無機質なビルが立ち並び、安酒と安易な会話とカラオケが氾濫する。

新宿のパワーが消え失せないうちに、若い人があの頃のような文化の灯をともさないと、そのうちコンクリートの塊に成り下がってしまう。

文化と文明は違うの。今の若い人に、それを伝えたいのです、と。





!!!





何度も繰り返し読み、感じた事のないエネルギーが体の奥から湧き出して、僕の体を駆け巡る。


僕の向いている事、したかった事、すべき事。その三つともが、少しだけど全て含まれているじゃんか。


その翌日、ヴァイオリン屋さんの親方に「僕、新宿でバーやってみたいんです!」と告げた。そうしたら親方、早く企画書を書いてこいと仰る。


ん、、。ええ?


イラストと夢の溢れた、まだ見ぬ僕のお城を書きなぐり、数字の裏付けを添えて徹夜で40枚くらい書き上げる。興奮して翌日持って行くと、長い時間をかけてじっと目を通される。


そして、直ぐに希望の金額を貸して下さったのです。

僕がビビって呆然と立っていると、

「バカっ!その金でタクシー飛び乗って新宿の不動産屋に向かえ!」

と怒鳴られました。

そうなんです、動かなきゃならないのです。


半泣きで向かった不動産屋は奇しくも今の店の商店街を入る角の大通り沿いの右手、今はガラス張りのバーがある場所にあった小さな不動産屋さん。

小さなお婆さんがちょこんと座っておられました。正直言ってかなり不安です、、。

まあ、不動産屋さんには10軒は回る覚悟だったので半ば諦めつつ「バーがやりたいけど予算がありません。自分で工事しますので」と簡潔に告げると、お婆さんがよっこらしょ、と腰を上げてファイルを開いた。

中々動きの早い婆さま。


三軒の資料を出してこられて、そのうち2件は居抜きのバー物件。


さっそく見に行きました。

お墓が見える屋根裏部屋付きのバーと、居抜きの大理石風のダサいスナック跡地。

まあ、有りといえばありだけど、、。値段がべらぼうに高い。

お婆さんは、「3つ目はちょっと面白いよ、、手がかかるけどねぇ、、」と、笑みを浮かべつつ意味深な事を言う。

黙ってついて行くと、並木の向かいに建つ三角の薄いビル。

ひょいひょいと階段を登る婆さま。


アルミのドアの鍵を開けると、、もう何の文句もない事務所物件。

丁度いい狭さと景色、駅からの距離。家賃は6万円。


ここで働く自分の姿が見えた。婆さま、ワザとここを最後に見せたな(笑)


翌日に契約を済ませ、直ぐに準備を開始した。

友達と京都、神戸に買い付けに行く。荷物を満載にして東名から京都に戻る。自己資金と借りたお金を全額使って勝負に出る。

時は新宿御苑のお花見の頃。仲間の参加する200人位の大きなグループに混ぜてもらい、ヴァイオリンを弾かせて貰い、友達とビラを配らせて貰ったりもした。mixiにも毎日開店日記を書き、工事や許認可申請もしながら、久しぶりのピアノも練習した。

なんせ1人でずっとやって行かなきゃいけないし、お金もあまり残ってない。あらゆる状況を想定して、1日でも長く続くように色んな角度からシュミレートする。


まるで天守閣に立てこもる最後の生き残りの武士のような気分。




そんなこんなで無事オープンして、悩みながらも何とか順調に毎日を過ごしておりました。借金も返済が終わり、益々身軽になる。

やりたい事をどんどん実験して、口コミでお客さんも増え、自分の方向性に根拠と自信も持てた。

目まぐるしく過ぎていく毎日の中、ふと美輪さんのエッセイを思い出した。


僕の店はいつしか彼の時代のサロンのようになっていて、毎晩個性のある人で溢れていた。

歌舞伎役者さんが名場面を演じたり、イラストレーターと絵描きが似顔絵を描き合ったり、手品師にダンサーにストリッパー、もちろん生の音楽も溢れている。



もしあの時、美輪さんのエッセイを読んでなかったらこうはなっていなかった。是非お礼のお手紙を書こう、と。

筆不精の極め付けみたいな僕でしたが、彼の髪の色と同じイエローのアルバムを用意し、よく撮れた店内の写真を貼り付け、綺麗な紙を貼ってコメントを付けた。

店での演奏や、活けた花々、シャンデリアや並木の緑。

そして、最後のページに自分が燕尾服の正装で立つ写真を貼り(わざわざ作った)携帯番号と名刺、地図、そして一文を添えた。


「いつか僕の店にお越し下さる時には、必ずこの服装でお出迎え致します。今の若者はあなたの頃と、ちっとも変わっていませんよ」






***




更に一年くらい過ぎたある夜。


僕の携帯に知らない番号から着信が鳴った。

誰かしらと思いながらも出ると、エコーのかかったような声で「・・です」と名乗る。


変な声の人、、。



銭湯から電話してんじゃないかってくらいの残響で、よく聞こえない。



「はい?どちらさまですか?」




「美輪です。前に素敵なお手紙下さってたでしょう?」










続く






二重まぶたその後...



衝撃の告白、二重まぶたにしてから12日が経ちました。

まるで植物の成長日記みたいに気楽に書いている風ですが、決して楽しんではいないのです。少し気になるところもあります。


なのに、何でまたブログに書いてるか、は、また後半で。


取り敢えず見て参りましょう。



1日目
手術直後はこんな感じでした。




2日目


腹話術の人形みたいです。アゴに線引きたくなる。





6日目くらい。段々と馴染んできました。まだ二重の段差がクッキリしてます。




そして今夜。面倒なので布団に横たわったまま撮りました。ブログ初のベッドシーン。(汗)



かなり落ち着きました。自分でもとても気に入ってます。正直言いますと、少し昔のいい頃の顔に戻りました。






インドの人みたいだけど、そこそこいい男じゃん(笑)

最近ダイエットしてまして4キロほど痩せたので、それも関係あるかも。



手術では、瞼と皮膚の間の毛細血管をかなり壊してしまうので、完全に元に戻るには2週間とか3週間程かかるという事。あと10日か。

今回、衝動的に誰にも相談せず、連勤のど真ん中に受けてしまった辺り、計画性のない自分の至らなさがありました。しょうじくんも伴侶もさぞ驚いたと思います。メンタル面でも迷惑掛けてしまいました。ごめんなさい。




さて、何を気になっているか。




整形なんて接客業をしていればどうせバレます。影で言われるよりも、自らバラす方がずっと楽だというのは前回書いた通りです。

そこもクリアしました。そして、仕上がりも気に入っています。


その先で気付いた、お客さんに対してのこと。


「話を聞いて欲しくて」行ったのに、整形の話ばっかかよ、ってタイミングもあったかもしれません。

そして思いました。

毎回お店で繰り返し整形の話をするのは本意ではないという事。

したくないのではなく、本来すべき話が出来なくなるのが歯痒いのです。


バーにはもっと、すべき楽しい話が沢山あるじゃないかと。


お客さんの中にはブログなんて存在を知らない方も多くいらして、毎度一から説明するわけにもいかなく、その場合??となる。それはとても申し訳ないのです。


一緒に働くしょうじくんにもそう。僕らには、するべき会話が沢山あるのに、毎度巻き込みたくありません。




今回、経過をここに書いた事に免じて頂き、店ではシラッと参りたいと思います。


とはいえ、その事を聞かれても、まさか怒ったりしませんよ。僕は全然平気なのです。寧ろ、とても満足しています。自分の事も見つめ返す事が出来たりもしました。

相変わらず馬鹿だな、とは思いますが、、。


特にじっくり聞きたい方は月、火曜日の早い時間にどうぞ。僕の経験を踏まえてみっちりお話しします。(笑)


居合わせた人を毎回巻き込む程の話ではないな、と思ったのでした。何だか申し訳なくて。


自分の蒔いた種ですし、ほとほと勝手な話ですが、キヌギヌのお客さまならきっとわかって下さると思います。どうぞさり気なく、よろしくお願いします。










calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< March 2016 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

recent trackback

recommend

南の島に雪が降る (知恵の森文庫)
南の島に雪が降る (知恵の森文庫) (JUGEMレビュー »)
加東 大介
太平洋戦争末期、赤道直下の戦地ニューギニアで慰問団を結成し、7000人の兵士を楽しませた元歌舞伎役者の実話。ジャングルの中に歌舞伎座を建て、馬の尻尾や棕櫚の繊維で結いあげた鬘、パラシュートの打ち掛けや緞帳、ガーゼの糸を間引いた紗幕、そして紙吹雪を用いての雪景色に、遠い故郷を思い出し、兵隊たちは声を上げて泣く。究極の状況下での知恵と優しさの詰まった人々の心の触れ合いを描いた温かい作品。

recommend

伽羅の香 (中公文庫)
伽羅の香 (中公文庫) (JUGEMレビュー »)
宮尾 登美子
何不自由なく育った主人公は、何気なく始めた香道の奥深さに知らぬ間に溺れてしまう。免許皆伝の暁には、と始めた会合。気がつけば彼女の自宅は時のサロンに変貌し、有力者が訪ねて来るまでになる。しかし少数の仲間はそれをよく思わず、時を同じくして太平洋戦争の足音が忍び寄る、・・・・。
蘭奢待を始めとする平安から連なる奥深くも豪華な数多くのエピソードが、読み人を香りの世界へと誘う。
安いもので構いません、お好みの香木を焚き締めながらの拝読をお勧め致します。グッと気分が出ます。

recommend

グロテスク〈上〉 (文春文庫)
グロテスク〈上〉 (文春文庫) (JUGEMレビュー »)
桐野 夏生
悪気もなく、ただ人の不幸を喜びに生きる「私」と、類い稀な美貌を持ち、出会う人々を皆驚嘆させてしまう実の「妹」、人に勝利する事でしか自分の存在意義を見いだせない、容姿に恵まれない和恵。その三人を中心に描かれるQ女子高(私立慶應女子高校がモデルになっている)の超閉鎖的階級社会を舞台に、途中入学組に対しての、富裕層からなる内部進学者からの壮絶ないじめを軸とした数々のエピソードは圧巻。物語全体は東電OL事件を主軸にして描かれており、後半は生生しい売春婦の日常が詳細に描かれている。店主がここ最近の著書で、久々に気骨を感じた作品。

recommend

一の糸 (新潮文庫)
一の糸 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
何不自由ない造り酒屋の娘茜は幼き日に目を患い、その時連れられて聞いた文楽、露澤清太郎が奏でる三味線の音に恋をしてしまう。大正から太平洋戦争後にかけた女の一大抒情詩。乗馬を好む娘、宝石や宿屋を惜しげもなく買い与えるおおらかな母、その後の茜の命を賭けた壮絶な苛めとの戦い、本物の芸に賭ける壮絶なエンディングと、読みどころが随所に散りばめられた文句なしの女流文芸娯楽作品。

recommend

悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))
悪女について (新潮文庫 (あ-5-19)) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
公子という一人の貧しい女が中華屋の仲居からスタートして何百、何千という嘘を重ねて戦後の混乱期にのし上がる様を描いた作品。嘘を重ねると言っても、無論、それだけでは決して成功はしない。夜学に通って簿記の試験をパスし、自らの美貌を磨いて出会う男を翻弄し、汗まみれになり生き抜くさまは寧ろ潔い。とある事件後の週刊誌記者による聞き取り調査と云う一風変わった文体で綴られる全編は、時を忘れ、あっという間に読めてしまう。中でも、登場スr数々の大粒の宝石の描写は秀逸。「取材魔」の異名を取る有吉文学の中でも比較的軽めな現代もの。特に初心者にお勧めの一品。

recommend

女系家族〈上〉 (新潮文庫)
女系家族〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
山崎 豊子
船場に続く大商家の物語。入り婿の父が突然亡くなり、残された三姉妹が遺産相続を期に豹変を始める。狡猾な大番頭、突然現れる妾の存在に、三姉妹は関係を結んだ男の入れ知恵や様々な駆け引きを繰り返し、遺産を減らさぬよう奔走する。団結した三姉妹と叔母が妊娠したと思しき妾を抑えつけ、懇意の医師が器具を用いて検査を始める妾宅での描写は、昭和女流文芸史に残る陰惨な情景と云えるだろう。

recommend

 (JUGEMレビュー »)

昭和初期の船場に三代続く女系の老舗足袋屋に生まれた男の半生を描く。女親に反発するかのように愛人を4人も囲いながらも商売に精を出す主人公。迎え入れた新妻の妊娠を探るために肥溜めを棒で掻き回す姑と大姑の陰惨な嫌がらせ、襲名披露の配り物がたった足袋一足だと聞いてケチだと馬鹿にする参加者を尻目に、実は踵の留め金具が純金製で帰宅した一同を仰天させるエピソードなど、船場の粋と意地が詰まった珠玉の作品。

recommend

針女 (新潮文庫)
針女 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
出征した帝大出の弘一が残した青春の遺書を胸に、パンパンや闇成金の持ち込む針仕事に打ち込む孤児の清子。彼女は過去に踏んだ針が体を周り運悪く跛(びっこ)になるというハンディキャップを持つ。復員した夫は戦争のせいで性格が豹変しており・・。パンパンや気違いといった現代では禁止用語の登場人物が行き交い、戦後の混乱期をそのまま原稿用紙の上に広げたような生々しい作品となっている。

recommend

連舞 (集英社文庫)
連舞 (集英社文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
昭和初期の日本舞踏の一大流派、梶川流の栄枯盛衰を描く。先代家元の妾の子に生まれながらも伸び悩む自分の踊りの才能、踊りの天才と謳われる性格の悪い妹、妹しか愛さない母に悩まされる青春時代。しかし、GHQ接収後のアーニーパイル劇場での歌舞伎ショーにてストリップを強要され、大逆転の末成功となり、家元夫人にまで上り詰めてしまう。忌わしい過去と出自に翻弄されつつも、過去をねじ伏せるかのように踊りに邁進し、遂に芸の道に境地を見出す主人公、月の直向な横顔が涙を誘う。

recommend

明治のお嬢さま (角川選書)
明治のお嬢さま (角川選書) (JUGEMレビュー »)
黒岩 比佐子
明治期の令嬢の実態を探る。たしなみ、学力、美醜の葛藤、結婚生活まで多岐にわたる。面白いのは多くの令嬢は今と変わらず贅沢品に執着したらしく、友人の持ち物を嫉む生々しい手紙なども解説入りで紹介されている。その他、当時の流行の髪型や美人術、痩せる薬などの広告資料も収録。

recommend

宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして
宮中賢所物語―五十七年間皇居に暮らして (JUGEMレビュー »)
高谷 朝子,明石 伸子,太田 さとし
千代田の森の奥深く、宮中賢所に57年お住まいの神職の女性の半生を描いた作品。下界と分断された森の中で祈りを捧げる日々。厳格な穢れの区別(下界のものに触れると潔斎しなければいけない)、四足のものは食べてはならない、毎朝数時間かけて髪おすべらかしに結うなど驚愕の生活と共に、日本古来の自然に寄り添った質素な習慣を紹介する。

recommend

朝香宮家に生まれて
朝香宮家に生まれて (JUGEMレビュー »)
北風 倚子
渋谷・松濤の鍋島公園一帯は戦前、広大な鍋島侯爵邸であり、著者の住まいであった。大空襲で火の海になった屋敷を逃れ、昭和という時代を生き抜いた、旧華族のお姫様の生涯。

recommend

社長 島耕作(8) (モーニングKC)
社長 島耕作(8) (モーニングKC) (JUGEMレビュー »)
弘兼 憲史
言わずと知れた島耕作シリーズ単行本。長い経緯はさておき、弊店が表紙になっております。店主もタキシードでモデルを致しました。
是非お買い求めくださいw

recommend

梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫)
梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和 (小学館文庫) (JUGEMレビュー »)
小田部 雄次
佐賀藩主鍋島家令嬢伊都子。彼女はのちに梨本宮に嫁ぐが、明治から昭和に渡って77年間日記を残していて、その様相は「書き魔」と言わんばかり。初の洋行先のパリで買い物の様子や婚礼、即位式などの華やかな思い出を経て、戦中戦後の倹約の様子や時代に対する落胆ぶりなど。往時の匂いが漂ってくるかのような生々しさ。著者、小田部雄次の解説が当時の世情をわかりやすく補ってくれる。

recommend

写真集 酒井美意子 華族の肖像
写真集 酒井美意子 華族の肖像 (JUGEMレビュー »)
酒井 美意子
加賀藩前田家令嬢の酒井美意子。マナー講師として厚化粧キャラでメディアに登場した姿をご存じの方もいらっしゃるであろうが、彼女は戦前まで駒場の前田侯爵邸に居住していたことを知る人は少ない。莫大な財産と華麗な人脈を、膨大な写真とコメントで紐解く、いわば現代版歴史絵巻的な写真集。必読。

recommend

極楽商売―聞き書き戦後性相史
極楽商売―聞き書き戦後性相史 (JUGEMレビュー »)
下川 耿史
戦後の性関連産業を裏側の視点から取材した戦後風俗史。進駐軍専門のパンパン宿や性具の販売店、愚連隊、ゲイバー、カストリ情報誌、個室喫茶・・・。戦後の性に携わった人々の汗や息遣いが聞こえそうな一冊。

recommend

 (JUGEMレビュー »)

京セラ、auの創始者ににして仏門に入った稲森氏が、街の小さな碍子工場を一代にしていかに大企業へと成長させたかを描く。単なるサクセスストーリーに収まらない哲学や思想を散りばめた珠玉の一冊。

recommend

芝桜〈上〉 (新潮文庫)
芝桜〈上〉 (新潮文庫) (JUGEMレビュー »)
有吉 佐和子
我らが有吉佐和子先生の長編。戦前の花柳界を舞台に、二人の女が艶やかに力強く生き抜く。温厚で情緒的な梅弥、狡猾で気ままな蔦代。共に授かった類い稀な美貌を武器に、ただひたすら戦前、戦後の花柳界を生きる。花柳界独特のお茶屋の仕組みや旦那制度、一本や水揚げなど、判りにくい独自の世界がこの一冊でよくわかる。ストーリを彩る、旦那からの贈り物の三越謹製三百円の帯や、大粒の翡翠の簪、英国土産の巨大ダイヤモンドなど、随所に登場する豪華絢爛な衣裳拵えと、それを取り巻く年増女将との丁々発止のやりとりの描写は必見。店主のバイブルと同時に、不動の一位たる女流文芸作品。

links

profile

書いた記事数:1517 最後に更新した日:2024/03/25

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM