本日と明日火曜日はお休みとさせて頂きます。申し訳ないですが宜しくお願いします。
ここ一年で福岡、長崎、小樽など、レトロを探してウロウロして参りました。かつて繁栄した街の残像。あんまり活気があるよりも少しくたびれた位が僕の好みです。
ふと、岡山県の倉敷に行ってみたい、と思ったのが先週の木曜日。休みは取ったものの、行き先未定でしたの。
徹夜で飛行機に乗り、いつものように窓にへばり付く。眼下には富士山の噴火口なんて見えちゃいました。こんなの初めて!
羽田から岡山空港まではジャスト1時間なのに、倉敷市街まではシャトルバスで45分という地方空港によくあるパターン。
かつては幕府直轄の天領として米の集積地で、そして明治以降は木綿栽培と紡績にて巨万の富を築いた倉敷の街。
そして現在。政治機能は岡山市に移り、今は旧市街として観光の街に移り変わりました。
裏路地を入っても、かなり凝った作りの個人宅が見られます。
相当潤っていたんでしょうか、かつての小樽の開拓景気やニシン漁バブル、そして長崎の開運や炭鉱の隆盛と構図が似ています。
昔のバブルは桁が違うのだ!
特に富の集中した美観地区と大原美術館の辺りを攻めようと思っとります。
美観地区は倉敷紡績の創業者、大原孫三郎が企業メセナの為に建てた日本初の施設西洋美術館を中心に、運河沿いに江戸から明治にかけての街並みが独特の景観を作っている、らしい。
と、期待して来た割には、、、(`_´)ゞ
まだ並木が芽吹いてないのでこんなもんだろうけど、明らかにネットの写真と違うよね、、。どうしてこんなに薄暗いのか。しかも工事中なのか塀に囲まれてるし(涙)
気を取り直して大原美術館隣の老舗カフェ、エルグレコ。
こちらも蔦が散り果てて、まるで呪いの館のような恐ろしさ。しかも休館日っていう。
こちらはネットで見た写真。
モサモサの「こえだちゃん木のおうち」みたいなの見るつもりだったのに、、。あー、しくじった。まだ早かった。
中から見ても、緑に覆われていい感じなのです。異常なまでの緑に乗っ取られた館、大好物です。
近くのアイビースクエアも、この通り。悪魔の城みたいになってます、、。
倉敷は春から秋に来ないとダメですよ!!!
蔦はさっさと諦めて大本命の大原美術館。しかし月曜は休館日。
あー、ガッカリ三連発。明日にかけよう。んで、訪問予定の「えびす湯」さんに行ってひとっ風呂浴びてスッキリしようか。
こんなボロい銭湯なのです。一部マニアには有名らしい、ボロ銭湯。
おー、あったあった。
きゃっ!可愛い電球!!
ん、張り紙が、、、。
閉まってる!長期休暇!!
もー、これはもしや、廃業の予感、、。一人ぼっちの旅先での四連敗は流石に泣きそうになります。倉敷、、嫌いかも。
こうなったらヤケ食いと酒に頼るしかない。
予算度外視で、庭のある割と立派な懐石料理のお店に入る。
普段ならビビる所だけど、こうなったら瀬戸内の肴と地酒でも煽らないと鉾が収まらん。
、、、電話も予約もしてないけど、頑張ってお金使いますから入れてください。僕、ここにフラれたら倉敷の悪口を言いふらしますよ、、、と心の中で呟く。
キャー!大当たり!!
先付けから始まり、写真の八寸、造り、焼き物、煮物に蒸し物、揚げ物に碗、フルーツとシャーベットが付いて3,400円。一体どーなってんのかしら。
日本酒かなり飲んだのでお支払いは6,000円ちょっと。まあええわ。
気分を良くした所で少し先の大橋家住宅。
1796年に建てられた豪商の家で、上記の大原美術館の大原さんと共に倉敷紡績(クラボウ)を創業した方の家です。
1796年ってナポレオンが奥さんと結婚した年らしい。恐るべし日本の木造家屋。
門を入ると、素晴らしい台所があります。その奥に連なる座敷の数々。
いわゆる商家の町家なんですけど、ネットで見たときからここの坪庭が見たかったのです。
僕は坪庭フェチでして、家の真ん中に庭がある様に異常に興奮します。
縁側とか、日本庭園にはそこまで萌えない。坪庭っていう制約とかミニチュア感とな、無理やりな感じが好きなのね、きっと。
京都の坪庭は必ず二箇所、対になります。二個あることで室内に風が通るのですが、こちらも2箇所。同じスタイルですかね。
寛ぐ空間のすぐ側にある、明るい緑。トンネルの先にあるグリーンの明るさは堪りません。
キヌギヌちゃんも、作る際に入り口から見える坪庭的なものを意識しました。前にも書いたかな。
気がつくと2時間も居てしまいました。ずっと貸切(笑)
馴れ馴れしく受付のお姐さんに話しかけ、維持管理の大変さを聞くことが出来ました。
例えば坪庭ひとつ取っても、雨が降るとすぐに雨戸を閉めないと床がびしょ濡れになるらしい。ゲリラ豪雨の時は畳のところまで水浸しになるとか。
個人で維持なさっている広い屋敷は戦後、莫大な相続税で半分になり、御子息は神戸にお引越し。隣にはドーミーインというホテルが建っています。維持管理の為に門の上の部屋にオジさんに住んでもらい、毎日障子や雨戸の開け閉めを何十年もやってもらってたとか。
門の上の部屋とか、何十年も開け閉めだけとか、一々大袈裟でアガる。
なるほど、今日も庭師さんが入ってら黙々と作業していっしゃいました。こりゃ大変だ。何と贅沢な、金のかかる住まいなんだろか。
でも、いつかこんな雰囲気の、もっと小さな家に住みたいです。木造の町家、純和風がいいな。
東京にそんなのあるのかな。
なーんて、景色ゼロの最悪にボロいビジネスホテルでブログを打っています。近年稀に見るボロさ。オバケも近寄らなそう。(ヤバ過ぎて写真は自粛)
あー、大橋家に泊めてくれないかな。僕も雨戸の開け閉め手伝いますから、、。
そういや、大橋家住宅の隣に変な名前の居酒屋があったな。
鬼のくりや、、、あー、怖い怖い。カウンター叩くなとか静かにしろとかネチネチ怒られたりすんのかね。
何だったらここのしんすけと朝まで呑んで語りたいわ。このビジネスホテルよりゃマシかも。
それは置いておいて、考えれば考えるほど僕はレトロでボロくて、鮮やかな緑が溢れた小じんまりした建物が好きで仕方がないんです。寧ろ、それだけでかなり幸せかも。
人生も折り返しの42歳、これからは更に好きなものだけに触れて生きていきたい。特に旅行先なんかは。
明日は大原美術館と隣のカフェにリベンジ!