少し過ぎてしまいましたが、人生初めて金沢に行って参りました。
この記事は分割していないので割と長めです。ゴメンね。
周年パーティーの翌日は店に一人こもり、掃除をしまくる。これは毎年恒例の行事。気持ち悪いんだけどカウンターを撫でながら「ありかとうね」と何度も問いかけたり、帰り際にはドアにキスして帰ったります(笑)
売上が異常に良かった日も、必ずドアにキスします。誰かに見られてたらヤバいんだけど、店も生き物。おまじない的な儀式と化しております。
その翌日からは自分へのご褒美。少なくともカニを一匹は食べたいと言うわけで金沢へ。
早朝の羽田より、徹夜で降り立った小松空港を経て金沢に入りました。
朝ごはんを抜いて向かったその先は、近江町市場!!
両側にカニやらウニやらがビッシリ!!テンションはマックスでございます。
この近江町市場、アーケード街になっておるのですが、テントの色が他人とは思えない親近感。
まるで我が家に戻った時のような色合いと、市場独特の機能美に包まれたゴチャゴチャ感に既視感を覚える。
あるお店に目が止まる。魚屋さんの店先が屋台風になっていて、そこにはショーケースがあり、カニやらが詰まってます。ここにしよう!
まずは越前蟹のボイル、一杯で2,500円。そこにウニを一舟、こちらは3,000円くらいかな。
そして、ハマグリの浜焼き3個で300円!!
越前カニ。まずは味噌からぺろっと行っちゃいます。ご馳走様。
ウニもスプーンで掬ってぺろぺろ。ビールが止まりません。
隣の親子がジロジロ見てらっしゃるけど、気にしない。こっちは鶯谷の出張バーからゴールデンウィーク、周年までの2ヶ月間に対するご褒美なのだ。真剣に魚介類と向き合う。
下品だけど、カニの殻をカニ汁で洗います。隣の息子さん、気味が悪いのか、落ち着かない様子で何度もチラ見する。ごめんね、少年よ。
カニの前ではマナーなんて吹っ飛びます。しかもこちらは徹夜明けの上に深酒しているのだ。
と言うわけで、いつも通りのクオリティにてカニを平らげる。
お給仕のお母さんが、「こんなに綺麗に食べる人見たことない!みんなすごく残すのよ!!」と、柔らかく明るい金沢言葉で褒めてくださった。
僕は初めて金沢言葉というものを聞いたんだけど、柔らかくて陽気で、歴史が詰まってる感じがしてとても心地よかった。良いなぁ。金沢。初めて来たなぁ金沢。
カナザワ、と何度も呟いてみる。
僕としてはすごく不思議な街なのです。太平洋ベルトの仙台、東京、名古屋、大阪とも違う。札幌、博多はともかく、北陸に気高く鎮座する孤高の加賀百万石。
前田家は外様大名ながら、大名トップの100万石(実際には119万石)の財政を誇ったそうな。
今まで深く考えたことなかったけど、この立地と規模なら、独自の誇りの高さ、メンタリティに包まれてるに違いない。
酔った頭で金沢について考えるも、ここにいると夜まで海鮮を食い尽くしそうなので、お会計してみると、6,500円!!
毎週来たい位のお値段に驚愕。百万石くらい払う覚悟してたんだけど。
街をブラブラ歩きます。とにかく美しい街並み。電柱が少なくゴミが落ちていない。
暗渠も掘り起こされ、適度に美しく整備されてます。
旧赤線と思われる(気のせいか)街を歩いてると銭湯発見。
旅先では、たいてい到着して昼飯にご当地グルメ&飲酒、その後散歩してから銭湯、がセットになっております。
酒を抜くためにも一風呂入らせて頂きましたが、湯船のガラスの向こうに植え込みが広がり、温室のような美しく銭湯でした。写真撮れないのが残念。
お次は金沢兼六園。ここは外せません。
もっと平らな公園状のお庭かと思いきや、かなりの急勾配。坂を上ったり降りたり、中々の高低差でした。
頂上に、有名な池が複数広がります。
古い茶室が点在したこのお庭は、とても居心地が良かったです。ただし観光客が多すぎ。今度は早朝に来ようっと。
兼六園から金沢城を抜け、駅の方向に向かって歩きます。お目当が有りました。
昭和初期の三田商店、という古いビルの中にカフェがあります。全国レトロファンには有名なこの建築、中に入れるケースはカフェでもない限り難しいのです。是非とも見て見たかった。
カワイイ!!
突き出したバルコニーの作りとかたまらん。
煉瓦積みの外壁にテラコッタで装飾された入り口部分。大好物の様式です。
東京の江東区、佐賀にある村林ビルと似ています
もしも神様が願いを叶えてくれるなら、この二つとも欲しい。新宿に移築して、一つは予備に(笑)
ドキドキしながら中に入る。
あれ、、、(汗)テレビ付いてて、なんかあんまり、、。新聞や荷物が積んである。横のステンドグラスが可哀想じゃんかよ。
個人的な好みの話ですけど、割と気取った内装のクセに、見えるところにダンボールとか積んである店が凄く苦手です。
多少なりとも夢を見に来ているお客さんに、どんな事情があろうと荷物は見せちゃいけないと思うのです。詰めが甘い。
超レトロな、老夫婦の営む食堂なんかは別ですよ。気取るならしっかり気取る、汚いならとことん汚い(笑)、どっちかにしてよ!
まあいいや、とお店を後にしました。階段なんか素敵なのになぁ、、。
お、人が住んでいる様子。いいな。僕も一部屋貸して欲しい。
道を歩いてると、加賀藩ご用達と思われる商店が軒を連ねる一角に。
きっと、昔は大店だったんでしょうか。どこも黒光りして、見るからにツヤツヤしてます。
中の匂い嗅ぎたい。
なんて思いながらガラス越しに中を覗いていると、奥さんが出てこられた。あら、ご旅行?なんて話しているうちにお茶どうぞ、と。
酒臭さを誤魔化すためにフリスクを17粒位喰らい、お邪魔する。
すごーくダイジェストで身の上話をお話ししているうちに奥にピアノあるのよ、と中に連れていかれ、一曲弾かせていただきました。(笑)
集まる近所の皆様。
なんだか色々ご馳走になってしまいました。
このウルルン滞在記のような展開は何だろうか。早くも金沢、好きです。
そろそろホテルにチェックインしなきゃいけないので後ろ髪を引かれながら素敵なサロンを後にする。このまま居たら翌日の朝ごはんまでご馳走して下さりかねないご親切な旧家の皆様。
寅さんだったら泊まるんだろうなぁ。僕はまだ無理でした。
そして目的のホテルに。今夜は日航金沢さんにお世話になります。
あんまり詳しく言えないのですが、ここのすごく偉い方と懇意にさせて頂いており、ちょっと遊びに来い!との嬉しいお誘いを頂いたのでした。
時間外のバーにてシャンパンを頂きます。向こうには兼六園と金沢城が見える。
と、、、ありゃりゃ、またかよ。
完全にピアノ芸者です。丁寧にミスティを弾かせていただきました。僕は頼まれたらどこでも弾きます。
ピアノ弾く人って二手に分かれると思います。ウォーミングアップしてないから勘弁して!っていう人と、ピアノを見たら触りたくなるタイプと。僕は完全に後者ですね。
車が好きな人と話をしていて、ハンドルやアクセルがどんな反応なのか、エンジン音はどうなのか、と無性に気になり、運転したくなるそう。それと似てますね。
この時点でかなりベロベロなんだけど、部屋に戻り、ホテル内の寿司屋に向かう準備をする。またしても一人です。
ビルの中なのに、向うに庭園があって新緑が清々しい。あー、ガラス越しの緑、なんでこんなに僕を狂わせるのか。
高級な寿司屋なんて数年ぶりです。本当にケチなので、普段はチェーン店のや回転寿司で充分なのです。
先客は老夫婦。大きな声で健康法を話してらっしゃる。千葉からいらした、かなり裕福そうなご夫婦の様子。
カウンターあるあるで、少し釣られて笑いつつも会話に入らない、聞いてますよ感を前面に出した空気感。
とはいえ、お顔を見たりはしない。この感じ、割と好きなんですけど。
黙々と平らげる僕をよそに、ご夫婦が体験された戦前のお話になる。戦前のサイパンで生まれ、奇跡的にバンザイクリフの玉砕を免れて孤児として帰国し、聞くにも涙の東芝の工場勤務を経て会社を起こされ、今の成功に至るんだとか。
サイパンの辺りでちょっともらい泣き。その後はご夫婦と全力で語ってしまいました。謙虚で上品なお年寄り、大好きです。
うーん、いつもよりかなり旅先らしい展開。やっぱ金沢好きかも。
あんまり写真撮るの好きじゃないんだけど、この蒸し寿司は美味しかったです。
その夜、例のお知り合いと飲みに市街に繰り出す。この辺りは割愛しますが、素敵な方が沢山でした。
翌朝は日航金沢名物の朝ごはん。トリップアドバイザー全国2位の実力は素晴らしい。本気で美味しいのです。
しっかり頂いて、飛行機にて金沢を後にしました。
余計な考察を挟む余地もなく、一つ言えるのは金沢は民度の高い市民が誇り高く生活なさってる街だということ。
街並みの美しさ、人の持つ格というか、優しいながらも毅然となさってる感じが、京都出身の僕には不思議と親近感を感じました。
京都ついでに言えば、全国の方が京都に来る理由がやっと分かった気がするのです。
僕は京都はただの実家の土地というイメージでしかないのだけれど、金沢に来て、あまり知らない古い日本の街の空気に包まれる快感を知りました。
懐かしさと、おもてなしと、歴史と、普遍の情緒のようなものがとても心地よかったです。
いやー、深かった、濃かった一泊2日でした。
また行きたい、なんて言ってる一週間後にはベトナムです。
遊んでばっかりで申し訳ないですが、今年はしっかり遊ばせて貰います。すみません。